イタリア盗難すずめ

2023年の暮れ、なんとなく29になり、そこそこの会社に勤めて、イタリア留学させてもらったりなんかして日本に帰国し、付き合って5年ぐらいの恋人がいた。

なんていうか順風満帆だった。
自炊も好きでお金もそんな使わないし美味しいもの食べてたまに旅行なんかできたらそれで最高に幸せなんじゃないかと思った。

2022年の夏から1年イタリアに留学していたが生ハム食べてワイン飲んでデザインの学校に行って、トルコやタイからきた学生たちと仲良くしていた。しかし社会人になってから一度学生に戻るというのは思っていたより苦痛であった。段取りの悪さにすこし苛立ちながらも英語はあまり得意ではなかったので基本はオッケーを出し続け、会社に帰ったら報告はしないといけないので、なんとか形にしようとせっせっと作業しながらも日本で仕事をするのが待ち遠しかった。

やっぱりやったものが形になって販売されて、給料までもらえるっていうのは大変幸福である。

待ちに待って帰国し、さて働くぞと思った瞬間、ここでまたグダグダの段取りを浴びせられる。何でもやっていいよっていわれて、いやいや私は何でもやるほど仕事大好きじゃないですよ。ある程度決まった仕事を切り分けてくれたらちゃんとやりますが。と思いながら鬱々と仕事をしてみたりした。
いや、正直あんまり仕事していなかった。何でもしていいっていわれても大事なところは先輩がやっていて私が何でもやっていいっていわれた部分は大抵がやったところでどうなるの?無駄では?ということが大半で、まあ上司に意思確認しながらも進めてやはり無駄になった。

これは一体何をしているんだろう。もう働きたくない。そう思うのも当然の流れであろう。

なんかもういい歳だし5年も付き合ったんだからそろそろ結婚とかしてくれてもいいのではという下心が湧いてきた。しかし、この恋人もなんだか最近冷たい。どうしようかなと思いつつもまあちゃんと大切にしたら向こうも大切にしてくれるかもと思い大切にしてみた。結果よりしっかり蔑ろにされた。
ということで別れ話をしてみてそしたら向こうも乗り気で、「次付き合う人とは最後までいたいと思っている。1番辛いときに一緒にいてくれたけど好きになれない。もっと好きになってもいいと思うんだけど」などと言われた。
うーーーーん、厚かましい。何が次会う人とは最後までいたいと思っているだ。失礼にも程がある。というのも、この恋人はバツイチで35歳で転職を繰り返しながらも安定した給料は続いているが仕事は転職のたびに辛そうになってきている。なにを幸せになる気満々でいるんだコイツは。でもなんだかんだ5年もいたのでかなり悲しく、元旦にしっとりとお別れしてみたりした。

そして今年はなんでも好き勝手やってみようかと思い、毛糸をたくさん買って、本を買って、ベースとアンプを買って、脱毛の予約をして、歯のホワイトニングに行ってみた。

はじめてのことがたくさんあるがこれがなかなか楽しいのではと思い始めてみたものの、そうやっていろいろ新しいことに挑戦してるのいいよねとか言われると、それは違うなと思った。
精神的に天邪鬼であるせいかもしれないけども、なにかに挑戦することがいいことのように騒がれる現代だとは思うけども何にも挑戦しなくたって別にいいじゃない。好きにしたらいいのになんでも。大体のことは他人の勝手でしょう。

そんな率直に生きられないひねた人たちが損をしたり幸せになれそうもない性格だと他人に呆れられつつ自分でも悲しくなるときがあると思うがそれなりに生きて生きたらいいなと思う。

タイトルはイタリアでもし手荷物を盗難されたらつけようと思っていた名前です。
まあでも何かしらイタリアで失ったものがあると感じるのでそれがそのうちわかったらいいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?