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三陽山長 源四郎 ドレスシューズ

世の中にはキラキラネームと呼ばれる名前がある。

一般的に、出自とは関係ないのに外国風の名前を付けたり、まず読めないような当て字をあてたり、突拍子もない名前を指すようだ。
明治期などにも流行っていたようで、定期的に流行っては廃れてゆくのだろう、キラキラネームも最近は下火になってきた。
その振り戻しか、現在では伝統的な日本風の名前に人気が出ているようで、僕の子供にもそのような名前を与えた。

一方でドレスシューズには、きちんとした名前が与えられないものも多い。
例えばJalan Sriwijayaの顔となっているモデルには98321という味気ない名前が与えられているし、Union ImperialなどもSU001のような味気ない名前をつけている。

とはいえ、以前記事にしたCrockett & JonesやEdward Greenなどは英国の地名・都市名を冠する事が多い。
変わり種だと、Church’sは職業や各国の主要都市名をモデル名にしていたりする。
しかし三陽山長に関しては、靴界のキラキラネームだろうか、または伝統的な名付けであろうか、判断が難しい。

三陽山長 源四郎

これは源四郎というモデルだ。
人名を冠していると思われがちだが、「○○郎」はこの靴の木型であるR2010(厳密にはその系統)を表し、「源四○」はキャップトゥ・ダブルモンクストラップであることを表している。
このルールが把握できれば、実物を見ずとも名前を聞いただけでデザインと形が分かるという、非常にロジカルなネーミングだ。
唯一の欠点は、誰もそのルールを把握していないという事である。

名前に関しては賛否両論あるものの、この靴の美しさに関しては文句のある者は少ないと思う。
これもしばらく履いた甲斐があり少し幅が出てきていて、色気がある。
革はよく光り、誰がどう見ても上質な革だ。
小ぶりなトゥキャップもクラシカルで良い。
写真はないが、ソールも手が込んでいて本当に高級感がある。
ここまでの作りだと、おそらくJohn LobbやEdward Greenと並べてもどちらが高価か判るような人はかなり少ないのではないだろうか?

少しキザな感じがするが、そこがまた良いと感じる

肝心の履き心地だが、はっきり言って良い。
小ぶりのヒールカップ、突き上げるようなフマズ、そして適度な幅のボールジョイント。
今回も例に漏れずギュウギュウに足を詰め込んで履いていて、サイズは6hにした。
僕は特に右足が幅広なので馴染むまではかなり苦労したが、たまに気が向いた時に幅出しを頼んだ甲斐もあってか、今では激痛を伴うことはなくなった。

ちなみに、三陽山長のメインラインはソールのトゥ部分に削れ防止の釘が打ってある。
これがまた洒落ているのだが、紙で作った鎧のように、見た目だけのもので実用としては本当に無意味だった。
よって、今ではラバーを張って保護している。
しかしこのようにリペアを加えながら履くのが、男の靴なのである。
これもまた、結果として別の美しさを生む。

最近は定期的に磨き屋さんに磨いてもらうことにした

そして例に漏れず、これもセールで買った。
確か定価が7万円だったが、伊勢丹メンズの年始のセールで5万円だった。
CHEANEYと迷ったが、案内してくれた店員さんが源四郎をかっこよく履きこなしていたので、かなり影響されてしまった。
果たして、僕も同様に履きこなせているだろうか?

ここまで三陽山長に魅せられてしまうと、次はエプロンフロントの勘三郎が欲しいと思う。

そう思って「勘三郎」でGoogle検索をすると、三陽山長の三の字も出てこないまま、中村勘三郎さんの記事がズラーと並ぶのだ。
三陽山長。
やはり靴としては、かなりのキラキラネームなのかもしれない。

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