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ブスの妹が兄を許せない話。

ずっと、そんなことは無いと、それを理由にして良いのかと思って書かないでいた胸の内を今日遂に書こうと思う。それは、私が散々言ってきた「結婚願望がない理由」「自分が不細工な理由」。誰かを呪うみたいになってしまうので、今まで口に出さずにいたのだけれど、言葉にしたら少しは気持ちが軽くなるかなと思って。


私は不細工だ。とても不細工だ。兄弟は整っているのに、私一人だけ不細工だ。容姿の長所がひとつもない。子どもの頃、2つ上の兄に「ブス」と呼ばれていた。私はその時強がって返事をしていた。だけど辛かった。恥ずかしかった。後にも先にも私のことを面と向かって「ブス」と呼んでいたのは今現在兄だけだ。私の知らないところでブスと呼んでいた人もいるかもしれないが私が把握している限りでは兄だけだ。つまるところの、血のつながっていない友達やクラスメイトでさえ、私のことをブスと呼ばなかったのに、身内に言われる惨めさと遠慮のない関係性だからこそ兄の発言は事実なのだと分からされる。そのことが更に私の心をむしばむ。

思い起こせば、兄とロックバンドのライブに行ったことがあった。私は初めてのライブだった。兄弟で出かけたこともなかったのでそれも楽しみだった。記念に写真を撮ろうと言った。兄は嫌そうな顔をした。開場までの時間も私が近くにいることにいい顔をしなかった。ずっと、誰かと電話をしていた。私は人生で初めてのライブだったのでとても心細かった。ちょうど、同じ公演に私たちと同じく兄と来た友達がいた。待ち合わせをして一緒に写真を撮った。友達とそのお兄さんは仲がよさそうだった。うらやましかった。どうして、私の兄は私と一緒にいることにずっと微妙な顔をしていたのかその時は分からなかった。しばらくして気づいた。こんな芋臭くてブスな女と一緒にいるとカップルと勘違いされたらいやだったからだと思う。私は兄妹で来たしか考えていなかったが、兄は周りからどう見られるか気が気でなかったんだと思う。だから、私が近くにいてもいなくてもずっと誰かと電話をして私とは親しい関係ではないという雰囲気を出したかったんだと今更になって気づいた。兄は私と一緒に歩くことを嫌がる。それは私がブスだからだ。

そんなできごとがあって、1年半ほどか。私は垢ぬけたとまではいかないがまあ、人並みの服装をするようになった。コンタクトをつけてみた。(その後、コンタクトがつけられない体質と分かり、それ以降メガネなのだが。)年末に帰省したとき兄が「垢ぬけたね」と優しく声をかけてきた。

長男ぶった声色で。腹が立った。兄弟にお世辞を使い、それを兄として善行をしたみたいな風に振る舞う姿に。バカにしてるのかと。お前は、私をバカにしているのかと。思ってもいないことをいけしゃあしゃあと。社会人になって何を学んだのか知らないが。たかだが社会人1年目のお前が何を大人ぶってんだと。そういうところが幼稚なんだと。社会人になっただけでオートで大人になったとでも思ってんのか。お前のそういう浅はかな、自分が気持ちよくなるためだけに他人を利用する配慮の無さが、思い出せば思い出すほど私をイラつかせる。思ってもいないことを言うな。バカにするな。容姿が優れて、お前と付き合いたい女が後を絶たない立場のお前が、私に「垢ぬけたね」と。それは、自分はモテて容姿に優れていて、妹はブスで自分より劣っていることを自覚した上で掛けた言葉。ハゲていない人がハゲて育毛した人に髪が増えたねと言っているような。明らかに上からものを言っていることに気づいていないお前の無遠慮さに腹が立って仕方がない。もう、お前はしゃべるな。何かをいっちょ前に語ろうとするな。私に訓話を垂れるな。私に対して兄ぶろうとするな。お前が私に与えられるものがあると思うな、

申し訳ないが、私はお前よりよっぽどいろんなことを考えて、悩んで、抱えて生きてきた。お前みたいに人生イージーモードではない人間だから。こっちはお前よりも置かれてきたハードルが多いんだ。

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