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マネージャーにはできないこと、マネージャーにしかできないこと

この「私家版ビジネスフレームワーク読本」で紹介するのは、私が実際に何年も使い倒しているものばかりです。実際に使うだけでなく、誰かに説明する機会もしょっちゅうあります。だったらウェブに置いておいたほうが使い勝手がよいんじゃないかと思って公開しはじめたのですが、今回のものはそのなかでもスタメンから外れたことのない出番の多いフレームワークです。

マネージャーにはできないこと

マネージャーにはできないことは、精神的支援。安らぎや息抜きのサポートをすることです。もしそういう目的で食事やお酒の場に誘うとしたら、無意味です。でもそれはあなたの能力の問題ではありません。マネージャーとメンバーという人間関係がもつ統計的に優位な特徴として、そういうものだと思ってください。

マネージャーにしかできないこと

一方、マネージャーにしかできないことは、内省支援。客観的な意見のフィードバックや対話を通じて、メンバーが自分自身を振り返るサポートをすることです。これは、メンバーにとっての同輩や後輩には難しいことで、上司や先輩といった立場でないとできないことです。代わりを務める人がおらず、それゆえにとても大事なことです。

さて、これらから導き出される「マネージャーがやるべきこと」がもっとも大事な部分です。

マネージャーがやるべきこと

一、メンバーが普段の仕事から離れて、立ち止まって内省を行うための時間をデザインする。ときには長い休みをとらせる。自分のプライベートを開示し将来についての対話を行う

一、メンバーが当事者となった組織間のコンフリクト解消を率先して行う。また、自分が支援をできない分だけ、メンバーが人間関係を作っていくための環境をデザインすることに知恵と時間を使う。

上に書いた2つのこと(太字部分についていえば4つのこと)はピープルマネージャーとしての必須のことで、もしこれらを何もやっていないとすれば、あなたはピープルマネージャーの仕事をしていない、ということになります。「やれたらいいね」ではなく、「やるべきこと」です。

ちょっとくどいですが、表にしたほうがわかりやすいという方もいるかもしれませんので、同じ内容を違う表現で作ったものを置いておきます。

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補足としての参考資料

話はこれで以上なのですが、こうした考え方の根拠になっているものを参考資料としてご紹介します。

中原さんと金井さんによる『リフレクティブ・マネージャー』(2009)という本のなかにいろんなアイデアが出てくるのですが、そのなかに組織内に存在する支援を分析したものがあります。富士ゼロックス総合教育研究所『人間白書2009』(中原淳・松尾睦)からの孫引きになりますが、こういうものです。

なぜ精神的支援ができないのか、なぜ内省支援が大事なのか、内省支援につながる言動や行動とはどういうものか。そうした研究が読み取れます。

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ここでの研究を、何度も読み返して、使ってみて、人に説明して、うまくいかなかった部分をまた修正して使う。ということをしてきました。考えや行動のもとになる原則やヒントがつまっていて、おすすめです。

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