囲碁将棋、Breaking Down、笑い

世間の流れと同じく、コロナ禍になってラジオやポッドキャストを聞く時間が長くなった。改めて考えると「よくもまあ」と自分に言いたくなるくらい、ご飯の時、家事をしながら、電車のなかで、散歩中に、あらゆる場面で聞きまくっている。そして、そのほとんどがお笑い芸人と呼ばれる人たちの番組で、自然な流れで「お笑い」そのものも大好きになり、わたしはM-1やキングオブコントを“にわか”として支える最下層のお笑いファンとなった。

ただ、なぜか劇場に足を運ぶことは躊躇している自分がいた。落語などの古典芸能ならまだしも、「30を超えた独身女が、ひとりでお笑い芸人にワーキャーするために劇場に行くってイタすぎるんじゃないか」というのがその主な理由である。いま考えると、何様だという感じだし、別にいいじゃんと思うけど、世間の声を内包して生きている自分はとにかくそのように思っていた。

しかし、そんなわたしの心を融解し、劇場へ通う熱量をたぎらせてくれたコンビがいる。それが「囲碁将棋」だ。

囲碁将棋は、文田大介さんと根建太一さんの高校同級生コンビで、東京吉本の実力派漫才師として、多くの後輩芸人から熱烈に支持されている。両者180cm超えのデカすぎる身長。大喜利好きが窺えるネタ。コンビ結成10年を越えたため、もうM-1の出場資格はなく賞レースで見る機会はほとんどないが、洗練された漫才と、垣間見える人間力の高さで、とにかく推せるのだ(先日、根建さんは「水曜日のダウンタウン」でバズっていましたね)。

親友の彼氏に「お笑い好きなら、囲碁将棋の情熱スリーポイントは聞いた方がいいよ」と言われたことをきっかけに、ラジオアプリ「GERA」の存在、そして囲碁将棋が番組をやっていることを知った。そこでは、猛者とも言えるリスナーたちと、縦横無尽なフリースタイル大喜利が繰り広げられており、番組コンセプトからしてとにかくふざけ倒しているスタンス、それでいて嫌味で下品な感じはなく(だが下ネタは多い)、瞬く間にファンになってしまったというわけだ。

ラジオだけでは足りない。2人のネタが見てみたい。そうして勇気を出して1度劇場に行ったら、恐くも怪しくもないクリーンな場所で、数カ月ほど前から、堰を切ったように通い出している。すぐにガス欠するわたしなので、どこまで続くかは正直あまり自信がないが、「今週末楽しみだ」と思って過ごせる平日はとても健全でよいものだと思う。

都内にある吉本の劇場は比較的リーズナブルなお値段で、さくっといろんな人が見られるので、機会があればぜひ。レコメンドします。

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「囲碁将棋」の魅力が筆舌に尽くしがたく、予定していた「Breaking Down」と笑いの考察まで全然たどりつかなかったので、そちらは明日以降書きます。続

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