悪くはないよ

調子はどう?

俺は割といい感じ

あんた今日は仕事?俺は休んでる

もう一ヶ月ばかりはこんな調子で

マイナスとプラスを行ったり来たり

交流電流だってもうちょっと安定してんじゃない?って思ってるけど

これが俺なんだから仕方がない


いつもくだらないことに夢中になって

枝葉に目が行って根本が気に留められない

喉の底から叫んでて

もう勘弁してくんないかなって思ってるけど


生きてるのはどうしてもやめられないから

まだ薄汚く這いずってる

夢を見るたびに

ちょっと明日起きれないんじゃねえのって感じがするけど

夢のせいで死んだりはできないから

いつも命からがら飛び起きてるよ

ロックスターならこんな気持を

適当に歌にでもしちまって

100万ドルにでも変えちまうのかな

俺にはちょっと無理そうだ

だってギターの引き方も知らないし

音楽の成績はいつだって1だったから

カッコつけて文字にしてみればいいんだろうけど

カッコつけるだけ滑稽になるって知ってるから

今日もこんなふうに言葉にしてる


ラジオから流れてくる「フィガロの結婚」より

クリーグの「朝の歌」のほうが好きなんだけど

楽器の引き方は一つも知らないから

今日もそっちの方を聞いてるんだ


クラシック・オペラのことなんて一つも知らないのに

俺を抱いたやつが俺のことをソルヴェイグみたいだっていうから

少しばかり覚えちまったし、歌のとおりに出ていったあんたは帰ってこない

ペール・ギュントっていうよりピーター・パンって感じだったよ、あんた

いい意味じゃないよ

恨んでるんだ

でも俺もあんたにひどいことをしたから

忘れることにしたよ

忘れっぽいのが特技なんだ

あんたの名前も、もう思い出さなくなったよ

嫌なことは忘れられる

そうだろ?

ずっと怒ってるのは大変だし

いつまでも憎もうとすると、うっかり間違えて泣いちまうんだもの


女々しいやつってみんなが指差して笑うけど

まあいいかな。

セクシャルもマイノリティも考えつかれたから

あんたが好きだってことだけ考えることにしてる

抱いてくれたときの感じは、もう感触も覚えてないけど

肌に立ててた爪の感じは忘れてない

あんたみたいにかっこよくなりたかったって言ったら信じる?

信じないかもね

あんたが好きで、あんたに殺してほしかった

いつまでも一緒にいようよなんて

言えないことはわかってたよ

あんたは人でなしの人殺しで

俺はただのガキだったから

多分そうなっちまうしかないんだろうってことは

わかってたのさ

愛してたよ

もう過去にできるから


いい加減生きるのを諦めたいけど

やせ我慢はまだ出来てるから安心して

生きたいって思わせたあんたが先にいっちまったんだからしょうがないよな

ラベリングで知ったような気になってる奴らの知ったかぶりも

俺のことを本当にはしらない誰かの善意も

考えるのは疲れたから

ちょっとだけ眠ってもいいかな?

一人の寝床は辛いけど

慣れちゃえば筋肉痛が減っていいんじゃないかなって

今は思えてるから

悪くはないよ

悪くはないんだ

ただどうしても、モヤが晴れないだけ

晴れないだけさ

木曜日はそういう日なんだ

それだけなんだよ

多分




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