きれいなもの
落ち込んでばかりもいられないから
明るい言葉を選ぼうとしたんだけど
素敵なものが見つからないから
知る限りのきれいなものを書き連ねてみるよ
君がはにかんだときのえくぼ
黒くて長い髪
虚無的な眼差し
赤くて滑らかな唇
君のことばっかり書いてて
ちょっとはずかしいんだけど
俺が知る限りのきれいなものって
全部君だから仕方がない
二人で初めていった水族館を覚えてる?
イワシがサメに食われてて二人でぽかんとしてた
君のあんなバカみたいな顔、あれっきりじゃないかな
彼岸花の赤色が好きだったよ
二人でどこまでも歩いたら
一緒に地獄に落ちれるんじゃないかって思ってた
俺も人殺しになったらそっちに行ける?
だめだろうね、知ってる
大事な記憶はいつも取り落してばかり居るから
葦に言葉を吹き込むんだ
ロバの耳をした王様みたいに
そしたら風が、いつまでだって君のことを歌ってくれるはずだ
僕はいつも死にかけていて
泣きすぎて溶けそうなことさえあるけど
今は割と明るい気持ちで居る
その割に胸の中が空っぽで
びゅうびゅう風が吹いてるみたいなのは
君が埋めてた場所がもうないってわかるために必要なんだろ?
痛みがいつも教訓を与えてくれるわけじゃないことは
もう分かる程度には大人だけど
何も学べないのは悔しいから
今日も君のことを思って、星空みたいに笑うんだ。
きれいなものにはちっともなれかったけど
一つは残せてたら嬉しいよ
またいつか、アイスクリームを食べに行こうよ
甘ったるくて、食べきれないぐらいにおっきいのを
君とかじりたいんだ
君とかじりたいんだよ
シュガー
一人ぼっちじゃ、ちょっと寂しすぎるんだ
寂しすぎるんだよ、ねえ
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