創造記事の併置について(2)

 天、暗黒という言葉で天照大神を思い出す。天照は、地の暗黒(黄泉だろうか)の神に対立する名前のようだ。
 アマテラスは、夫はいないが子を生んだという。マリアのようである。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%85%A7%E5%A4%A7%E7%A5%9E

天照大神―アメノオシホミミ―ニニギーホオリ―ウガヤフキアエズ―神武天皇

 アダムの肋骨からイブが造られた話は有名だ。
 関根正雄訳の創世記では、アダム(アーダーム)を人と訳している。アダーマーで、ゴータマ(ブッダ)、日本語のアタマを思い出した。
 アダーマーが地、アーダームが人のようだが、「アダムの肋骨」ではなく「地の肋骨」の可能性はないだろうか。
 創造記で、草、水の生きもの、鳥、地の生きもの、昆虫の創造が記されているが、現在の生物学の分類に継承されているように思える。哺乳類は、鳥類から進化した、と聞いた。
 「男の肋骨と肉で女を造った」という言説は、現在のiPS細胞を予言していたのだろうか。

 創世記の祭祀資料、エホバ資料の併置は、古事記と日本書紀の神話記事の相違に対応するように思えてきた。

「旧約聖書 創世記」(1956年、関根正雄訳、岩波文庫)
関根正雄「註釈」

一 創造
 一章二章は天地万物の創造の記事であるが、一章一節―二章四節前半と二章四節後半―二章二五節の両部分に分かれ、前の部分が祭祀資料、他の部分がヤㇵウェ資料であることは、用語、思想その他から明瞭である(「解説」参照)。
ロ ヤㇵウェ資料の創造記(二ノ四後半―二五)
「地」は「アダーマー」、「人」は「アーダーム」で関連する。

一 創造
イ 祭祀資料の創造記(一ノ1―二ノ四前半)
第一章
 一 始めに神が天地を創造された。
二 地は混沌としていた。暗黒が原始の海の表面にあり、神の霊風が大水の表面に吹きまくっていたが、
三 神が「光あれよ」と言われると、光が出来た。
四 神は光を見てよしとされた。神は光と暗闇との混合を分け、
五 神は光を昼と呼び、暗闇を夜と呼ばれた。こうして夕あり、また暗があった。以上だ最初の一日である。
 六 そこで神が、「大水の間に一つの大空が出来て、大水と大水の間を分けよ」と言われると、
七 ロ そのようになった。
七 イ 神は大空を造り、大空の下の大水と大空の上の水とを分けられた。
 八 神は大空を天と呼ばれた。神はそれを見てよしとされら。こうして夕あり、また朝があった。以上が第二日である。
 九 そこで神が、「天の下の大水は一つの所に集まり、乾いた所が現われよ」と言われると、そのようになった。
一〇 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はそれを見てよしとされた。
一一 そこで神が、「地は青草と種を生ずる草と、その中に種があって果を実らす果樹を地に出ぜよ」と言われると、そのようになった。
一二 地は青草と各種の種を生ずる草と、その中に種をもつ各種の果を実らす樹とを生じた。神はそれを見てよとされた。
一三 こうして夕あり、また朝があった。以上が第三日である。
 一四 そこで神が、「天の大空には明かりが出来て、昼と夜との間を分けよ。それらの明かりはしるしとして、季節のため、日のため、年のために役立つであろう。
一五 またそれらは地を照すために、天の大空にある明かりとなるだろう」と言われると、そのようになった。
一六 神は二つの大きな明かりを造り、より大きい方の明かりに昼を司らせ、小さい方の明かりに夜を司らせ、また星を造られた。
一七 神はそれらのものを地を照すために天の大空におかれた、
一八 昼と夜とを支配するため、光と暗闇を分かつために。神はそれを見てよしとされた。
一九 こうして夕あり、また朝あった。以上が第四日である。
 二〇 そこで神が、「水には生きものが群生し、鳥は地の上に、天の大空の面を飛べよ」と言われると、そのようになった。
二一 神は大きな海の怪物と水の中に群生するすべての種類の泳ぎまわる生きもの、さらに翼あるすべての種類の鳥を創造された。神はそれを見てよしとされた。
二二 そこで神は彼らを祝福して言われた、「ふえかつ増して海の水に満ちよ。また鳥は地に増せよ」と。
二三 こうして夕あり、また朝があった。以上が第五日である。
 二四 そこで神が、「地は各種の生きもの、各種の家畜と這うものとと地の獣を生ぜよ」と言われると、そのようになった。
二五 神は各種の地の獣と、各種の家畜と、すべての種類の地に這うものとを造られた。神はそれを見てよしとされた。
 二六 そこで神が言われた、「われわれは人をわれわれの像の通り、われわれに似るように造ろう。彼らに海の魚と、天の鳥と、家畜と、すべての地の獣と、すべての地の上に這うものとを支配させよう」と。
二七 そこで神は人を御自分の像の通りに創造された。神の像の通りに彼を創造し、男と女に創造された。
二八 そこで神は彼らを祝福し、神は彼らに言われた。「ふえかつ増して地に満ちよ。また地を従えよ。海の魚と、天の鳥と、地に動くすべての生物を支配せよ」。
二九 それからさらに神が言われた、「見よ、わたしは君たちに全地の面にある種を生ずるすべての草と、種を生ずる木の実を実らすすべての樹を与える。それを君たちの食糧とするがよい。
三〇 またすべて地の獣、すべての天の鳥、すべての地の上に這うものなど、およそ生命あるものには、食糧としてすべての青草を与える」と。そこでそのようになった。
三一 神がその造られたすべてのものを御覧になると、見よ、非常によかった。こうして夕あり、また朝があった。以上が第六日である。
第二章
 一 こうして天と地と、その万象が出来上がった。
二 神はその創作の業を七日目に完了し、七日目にすべての創作の業を休まれた。
三 神は第七日の日を祝し、それを聖しとされた。何故なら、その日に神は創造のすべての業を終わって休まれたからである。
四 イ 以上が天と地が創造された時の、天地の成立の由来である。

ロ ヤㇵウェ資料の創造記(二ノ四後半―二五)
 四 ロ ヤㇵウェ神が地と天を造られた日――
五 地にはまだ一本の野の灌木もなく、野の一草も生えていなかった。というのはヤㇵウェ神が地に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからである。
六 ただ地下水が地の下からわきあがって、土地の全面を潤していた――
七 その日ヤㇵウェ神は地の土くれから人を造り、彼の鼻に生命の息を吹きこまれた。そこで人は生きた者となった。
 八 ヤㇵウェ神は東の方のエデンに一つの園を設け、彼の造った人をそこにおかれた。
九 ヤㇵウェ神は見て美わしく、食べるによいすべての樹、さらに園の中央には生命の樹と善悪の智慧の樹を地から生えさせた。
 一〇 一つの河がエデンから発し、園を潤し、そこから分かれて四つの源琉となる。
一一 第一の名はピションで、それはハビラの全地をめぐるもの。ハビラの地には金が産出する。
一二 その地の金はよい。そこにまたブドラクの樹脂と紅玉髄が出る。
一三 第二の河の名はギホンで、それはクシの全地をめぐるもの。
一四 第三の河の名はヒデケルで、それはアッシリヤの東に流れるもの。第四の河、それはユーフラテスである。
 一五 ヤㇵウェ神はその人を取って、エデンの園におき、これを耕させ、これを守らせた。
一六 ヤㇵウェ神は人に命じて言われた、「君は園のどの樹からでも好きなように食べてよろしい。
一七 しかし善悪の智慧の樹からは食べてはならない。その樹を食べるときは、君は死なねばならないのだ」。
 一八 さてヤㇵウェ神が言われるのに、「人が独りでいるのはよくない、わたしは彼のために彼に適わしい助け手を造ろう」。
一九 そこでヤㇵウェ神は土からすべての野の獣と天のすべての鳥を造り、人の所へ連れてきて、人がそれにどんな名前をつけるかを見ようとされた。すべて人がそれ(すなわち生きもの)に名づける名はそのままその名前になった。
二〇 こうして人はすべての家畜、すべての天の鳥、すべての野の獣にそれぞれ名前をつけた。しかし人に適わしい助け手は見つからなかった。
二一 そこでヤㇵウェ神は深い眠りをその人に下した。彼が眠りに落ちた時、ヤㇵウェ神はその肋骨の一つを取って、その場所を肉でふさいだ。
二二 ヤㇵウェ神は人から取った肋骨を一人の女に造り上げ、彼女をその人の所へ連れてこられた。
二三 その時、人は叫んだ。
  「ついにこれこそわが骨から取られた骨、
  わが肉から取られた肉だ。
  これに女という名をつけよう、
  このものは男から取られたのだから」。
 二四 それゆえ男はその父母を離れて、妻に結びつき、一つの肉となるのである。
二五 人とその妻とは二人とも裸で、たがいに羞じなかった。

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