やがて君になれたなら 『やがて君になる 佐伯沙弥香について』感想

クソほどセンスのないタイトルから失礼致します。

「安達としまむら」を読んでみた結果、どハマりしてしまいこうなったら入間人間作品を読み漁ろうということで手を出したら、自分を見つめ直す機会を得てしまうほどの作品だったため纏まらない感想をnoteに書いてみる。

作品の感想より自分語りが大部分を占めている上、こういった感想文を書くことに慣れていないためお手柔らかにお願いしたい。


まず先に作品の感想から。

冒頭で入間人間作品を読み漁るために『佐伯沙弥香について』を読み始めたと書いたが、当たり前のことだが作品に真摯に向き合うために原作である『やがて君になる』は読み終えた状態で『佐伯沙弥香について』を読み始めている。

『やがて君になる』を読んだ時点では正直そこまで作品にハマったという感じはなかった。


……

感想を捻り出そうとしたがなかなか文章にならないので『佐伯沙弥香について』の感想に入る。


佐伯沙弥香

正直言って佐伯沙弥香の印象は良いものではなかった。
好きなくせに友達としての一線を守り続けたために燈子の特別にはなれなかった。
そりゃそうなるだろうと思った。
だが、『佐伯沙弥香について』を読んでいくうちに佐伯沙弥香が見えてきた。

幼い頃から両親に求められている事を理解していたから勉学や習い事に励み成果を上げようとしていた。
正直、佐伯沙弥香は人に求められていないと行動できない人ではないかと思っている。
同じスイミングスクールに通っている少女に恋愛を求められるが拒絶し、合唱部の先輩から恋愛を求められそれに応える。
七海燈子から"良き友人"を求められそれに応え続けた。

「理解が早いということは臆病になる」という台詞を佐伯沙弥香の祖母が言う。
これも佐伯沙弥香を表している箇所になる。
水泳少女からの恋愛を拒絶したのは同姓から恋を受け入れるのは現実的ではない事を理解していたから。
柚木先輩が恋に恋する少女で自分が恋人役になっている事に薄々察していても自分が好きな人を信じたくて連絡を取り続けた。
七海燈子への告白は友人関係を断ち切られる事を理解していたから友人としての行動を続けた。


ここで自分語りが始まるが、
佐伯沙弥香の受動的で臆病な行動を見て、そこに自分と重なる事に気づいた。

自分のことを理解が早いと自画自賛できるほどの頭があるわけではないが、理由をつけて前に進めず自発的な行動をする人間ではなかった。
私は自分のことが好きではないし、なんなら嫌いと言い切れる。
自分の名前が好きではないから名前を呼ばれても一応自分が呼ばれた体にして返事をする。
鏡に映る自分の顔が自分の顔だと思えない。
自分の魂はこの体に宿っておらず別の場所からこの体を操作している。
そんな風に思える時がある。

沙弥香がここまで自分のことを嫌っているとまでは思っていないが、過去のことで自分を許せないと思っているのではないかと感じた。
過去の選択によって生まれた後悔。それを許せなく感じるのは皆にも経験があるだろう。私も過去の選択を後悔し、自分が許せなくなっていき自分を憎むようになっていた。

水泳少女との向き合い方、柚木先輩との恋愛
それらは沙弥香の過去の後悔として残り続け己を憎む。

私は1巻を読み進めていくうちに沙弥香が後悔していく様を自分と重ね自分のことを許せなくなっている事に気づき、2巻を読みながら自分の内面について悩み、3巻を読んでいくうちに自分を許して良いことに気づいた。
この心境の変化は沙弥香にも当てはまるのではないだろうか。
小中学での選択から後悔を生み、高校では過去のトラウマや七海燈子への接し方に悩み苦しみ、大学で枝元陽と出会いことで過去との決別、即ち己を許すことが出来た。

沙弥香と自分の心境の変化がリンクしているように感じていた。
読んでいる中で自分と沙弥香は重なっていたように思えていたが、3巻で枝元陽と付き合う辺りで沙弥香が自分から離れていき現在ではもうお互い前を向きそれぞれの道を歩み出している感覚がある。

もう何を言っているのか自分でも分からなくなってきたが、佐伯沙弥香の内側を見ることで自分を客観視し変えるべき箇所を見つけることができた。
その事に気づいてから私の心は軽くなった。
これまで形のない思考として在り続けたものが数年前から重さを感じさせる形として胸の中に積もっていたものが一気に崩れ去った。

『佐伯沙弥香について』を読むことが出来て良かった。
最後まで謎の文章になっていたがこれで感想を終わりにしたい。

最後に、舞台『やがて君になる』encoreとてつもなく楽しみにしています。
(キャストさんの再現度高くないですか???)
舞台までに作品についての理解を深めこの体を仕上げていきたい。

あと、冒頭で「やがて君になれたなら」というタイトルをクソセンスないと書いていますが正直結構気に入ってます。
意味はよく分かってませんが多分大丈夫です。


以上です。

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