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世界フィギュア2023:現地雑感

たまアリで世界選手権。4年前の蘇るあれこれ。
あの時は羽生さんがいて今はそうではない会場、色々思い起こすかと思いきや「あの後、秋にもう一度さいたまに来ることになるなんて全く思っていなかったな…」というサポーター根性の記憶の方がむしろ強く出てきたのは自分でもどうかと思った。いやちょうど土曜日ルヴァン磐田戦やってたし(言い訳

というわけで強いロス感こそないものの、猛烈に肩入れしている選手もいない。なので出る選手みんながいい演技してくれたらいいな~って緩く思ってた。終わってみれば神大会に過ぎてハワワワワだった。

2019のたまアリは羽生さんの4Loチャレンジと劇的巻き返し、ネイサンとの火花散る一騎打ちを堪能したけど、2023のたまアリは選手それぞれが自分との戦いに挑みそして勝っていくのをこれでもかというほど見せられた。どっちも現地で見られてよかったなってとても思ってる。全日本の後の界隈のゴタっとした雰囲気には流石に嫌気がさして行くのやめようかなって思ったけどねえ。

4年前のワールドと違って今回はチケットが入手困難、ではなかった。NHK杯もそうだったけど日によっては空席のほうが目立つほどではあった。過去の国内の大会と比べると確かにはっきり目減りしている。でも今季他の国で開催している各種大会の客入りと比べると日本開催は段違いに観客が多いなとも思う。

ほとんどの日を1万人以上、土曜日はほぼ満席の18千人で埋める。声出し応援が解禁されたそんな会場で演技することは、選手にとってはすごく楽しいことだったんじゃないのかなあ。って思うほどには終始いい雰囲気の土曜日でした。

目の肥えた観客が転んでも励まし、成功しては称賛し、国を問わず拍手を送るって本当になかなかできることじゃないと思うんすよ。過去何度も書いてると思うんですけど行くたびそれは本当そう思う。競技をよく理解し愛している観客が1万人以上いるって、競技規模を考えると大したもんじゃないですか。それなのになんでネットの中はファン同士の削り合いで年中無休で殺伐としているのか、一体どうしてなのか悩むまでが毎試合のテンプレ。(まあ真面目な話、愛が深くて純粋で正義感が強いひとが多いという気はしています。環境として抗争が起こりやすい…)

今大会の立役者のひとり

とものくんはこのワールドではっきりと、「現地行ったらとものくんの演技に手拍子するのが楽しみ」から「この選手の演技に手拍子したいから現地行きたい」ぐらいまで多くの人に思わせる選手になったんじゃないかなあ。

転倒したとしても演技の世界が崩れないから見ている方もずっと引き込まれたままでいられるし(なんなら転倒も振り付けのうちくらいに脳内補正できる)、仮にクリーンならコレオ時に会場がどんな手拍子祭りになるのかと想像するとやばい(やばい)。そんな今季のラストチャンスは国別。可能な方は是非。カズキトモノはあなたに損をさせません。

左の一番上の黒い一角の中のでかい日の丸私なんですが。
とものくんの熱気から、まさかそのあと連続スタオベ祭りになるとは。6打席連続ホームランみたいなものですよマジで。私のいた席はとものくんのインスタからもわかるように大変な上の方で、一列目だから立ち上がると眼下が崖のようでまあ怖い。立ち上がるたびに怖い。怖いけど立ち上がらずにいられない。

ジェイソン、エイモズ、キーガン、ジュンファン、マリニン、そして昌磨。
いくら声を出せるようになったとはいっても、3年にわたる制限の世界からすぐに声を出して応援するという気持ちになれない人は少なくなかったと思うんだけど、黙っていられない演技が次々と続く。隣の席の人たちもどんどん立ち上がって声を出している。場内の熱が上がっていく。

キーガンの最後の演技に寄せられた場内のあの空気感というのは一体なんというか…一言でいえば多幸感…その選手のスケート人生を集まってる人達はだいたいみんな知ってて、リスペクトして、笑って、拍手して…思い出すだけで目頭が熱くなります。表現する語彙が私にはない。放棄。

競技だから最終的に採点というものがあるけれど、場内からの眼差しと拍手と声援という、ジャッジとは関係なく観客が選手に贈れるものがあり、これはこれで尊いものだなと。あ、ジャッジはわかってないとかそういうことを言いたいのではなく、立場が違うというか。観客に出来ないことをジャッジがやって、ジャッジが出来ないことを観客がやってる。というイメージです。

蛇足のようですがダンスも見てましたよ。しかし私のあまりよくない目には500レベルから見るダンスはさすがに遠すぎたのでテレビでちゃんと見返したいです。それでもかなだいは凄かったな。ひとつの作品、ひとつの演目を見ているようだった。他のペアとアプローチが違いますよね。いいもの見せてもらいました。普通に泣けたよ。

テレビと正対するテーブルと椅子という気の利き方

今回の宿はR&B上野広小路。4年前と同じ宿。ちょうどお部屋がリニューアルされた直後で大変によかったです。ホテルのテレビで配信見られたからフジスケ動画次々堪能したよ。ありがたいわ~

ホテルに入った時にエレベーター内で居合わせたお客さんに「世界選手権帰りですか?」と声をかけられたんすよ。私のカバンがゆづるショーのものだったので推察されたようで。
「よくわかりましたね」
「私もそれ(ゆづるショー)行ってたんで」
「!」
羽生は試合にもういないけど、遠征してまで試合を見に来る人が私の他にもいる。会場にもきっとたくさんいたことでしょう。同志よまたどこかでお会いしましょう。

心にそれぞれ、今はもう競技会にはいない「一番好きな選手」という強く輝く星を抱きつつ、さも全員応援なスケオタの擬態をして誰にも手拍子をして国旗をタオルバナーを振り試合が終わったら喧騒を他所に「あばよ、また次の会場で賑やかすぜ…」とコートの襟を立てて颯爽と立ち去ろう。襟立てられるコート持ってないけど。

新千歳のふく亭で~す

新千歳帰ってきて24時間以上ぶりのまともなごはん。
フィギュアの試合は昼から晩まで長いのでろくな飯が食べられないなんらかの修行。そんな修行をまた来季もどこかでしたいと思っていますが、限られた予算の中で羽生プロと競技会の両方を見に行く、そんな奥義を見出すことができるかどうか。オタクには選手と違う戦いが待っている…。


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