人のこと嫌いって言うな。 その人のこと見ると 君の嫌いなその人になる そう顔に磔されて拭えなくなる。 その人に対する私だけのバロメータが侵略されて故障する、 人のこと嫌いって言うな。 きみのバロメータ、ぐちゃんぐちゃんの けちょんけちょんになってしまえ。 誰かのこと嫌いって言うな。
そうか、きみ、でもいつか死んじゃうんだね もういいよ、何も喋らないで 死んじゃうの? いつかね いつか死んじゃうのか うん うん
人をパノラマみたいに覗きながら、 私は大人になった。 人であることにやっと追いついた頃、 もうこの世界とはおさらばしたくて、 そして私は、 カラスのあの綺麗な羽になりたかったです。 でもね、 切り離す瞬間、一つだけ器用にすくい取るつもり。 それは誰の涙なのか知れないけど。
不忍池の黄緑色を横目に歩く。 そういえば、 母は私を不愉快に思うらしい。 そうして、 私はかかとをコツコツ鳴らす。 人生は夢だらけと口ずさむ。 それから、 水たまりを飛び越える。 ちょっと下手くそに飛び越える。 午後からは晴れるかしら。
これちょっと持ってて、一瞬もってて、 >もつよ? いいよいいよ。 >そう、じゃあまた辛くなったら言ってね。 うん、でもそれちょっと癪だなあ。 あ、合図決めよ、辛くなったときの合図。 >なにそれ うーん、 高速まばたき。 >なにそれ
君のつむじの匂いを 別の人から感じ取った。 それはちょっと退屈で、でも懐かしい色の風。 あんなことがありました、 こんなこともありました。 そして最後に一つ言づけるとしたらさ、 梅雨の日にはちゃんとリンスするんだよ。 そこでぱちんとつむじ風。
オママゴトみたいな世の中で 君の手のひらだけは本当だと思うんだ。 一欠片も落としたくなくて目をつむる。 それで新宿駅で目をあけると、 沢山の人が見えるでしょ。 その情報量の多さは参るんだけど。 君の手のひらが黄色やオレンジ色や桃色や ときどき群青色なんかにちらちら輝いているのは ちっとも煩くない。 きっと、もっと燃えたって構わないよ。 お月さまがちょうど満月の頃合いだった。 窓ガラスはお月さまを朧月に変換してて、 じゃあ君の放つその色たちは あちらか