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ひなたよ りりよ ぱんちゃんよ

出し惜しみは業界を衰退させる

先の事は誰も分からない。一人の選手の引退で一気に女子キックボクシング界の熱が冷めた。女子キックと言う、ジャンルの中心人物が突然引退した。

怪我の状態は詳細に伝えられたので、ファンは何も言えなかった。続けた場合、もう一方の股関節も同じ状態になるリスクを抱えていると言う。本人も辛かったに違いない。どんな怪我であれ、病気であれ、その苦しみは本人にしか分からない。

寺山日葵さんは意外にあっけらかんとしているように見えた。怪我は辛いが、キックボクシングにそれほど未練があるようには見えなかった。本人曰く、他の世界を経験してみたい、レジ打ちをしてみたいとの事だった。自分の人生である。他人がとやかく言える事ではない。厳しい練習に耐え、RISEの王者に輝き、あとは追われる者の厳しさが待っていた。他にモチベーションを保つほどの目標も無かったのか。

熱心なファンの心には、ぽっかり穴が空いてしまったのではないだろうか。寺山日葵選手のファンだけでなく、女子キックボクシングファン、寺山日葵選手を目標にしていた練習生、ライバル視していたプロ選手ら、多くの人が喪失感を味わったはず。僕もその一人。

最もショックを受けたと思われる人がいる。那須川会長はその筆頭だろう。まだ幼さを感じる少女時代から、天塩にかけて育てた選手だ。親同然、寂しくないはずがない。キックボクシングに適性のある素材を王者にするのは、那須川会長の生きがいであっただろう。

那須川会長には娘がいる。その内の一人は寺山と同じように王者を目指していた。そして王者にあと一歩と迫った所でキック界を去ってしまう。そしてその事はRISEも那須川会長も、その後触れる事は無かった。RISEらしい体質と言えばRISEらしい。未だに那須川梨々選手がどのような経緯でどうなったか、引退したのかは正式に知らされていない。少なくとも一般ファンが最も情報源としているAbemaの番組中やRISE、TEAM TEPPENから正式に引退の報は無いと認識している。噂では事実上引退していると聞く。そんな有望な娘たちに去られた会長の胸中はきっと穏やかでは無かっただろう。この後、さらに那須川会長はキック界の至宝、神童とも言われた、実子那須川天心にもキックを去られてしまう。またさらに、寺山日葵の弟、寺山遼冴選手にもジムを去られる事になる。何があったのだろう?

選択肢は

もう一人、何とも言えない青天の霹靂と感じたであろう選手がいる。ぱんちゃん璃奈選手。グラビア出身のスタイルと天真爛漫、破天荒な可愛さで、ダントツの人気を誇る、女子キックボクシング界スター候補筆頭の選手。しかし所属団体KNOCK OUTには力と相手が無い。そこでRISEの王者寺山日葵に対戦要求をしていた。しかしRISE伊藤代表は駆け引きなのか、積極的な姿勢を見せなかった。今考えると、駆け引きなどせず黄金カードを躊躇無く実現させていれば、今とは全く違った景色になっていた可能性があった。残念のひと言。強く言いたいのは、今のキック界に出し惜しみは男も女もしている余裕が無い事を、経営者は強く感じて欲しい。黄金カードを考え、実現する事に心血を注いで欲しい。つまらん業界内でのイジメや駆け引きをしている暇はない。

結局、寺山日葵選手は怪我による引退、ぱんちゃんも大怪我をしてしばらく戦列を離れなければならなくなった。運命はどこでどう変わるか、誰にも分からない。新生K-1には菅原美優やMIO、RISEにはAKARI、と人気選手はいるが、どこも層が薄い。これからと言う時期の二人の超スター選手の離脱は女子キックから一気に熱を奪ってしまった。

もし寺山日葵 vs ぱんちゃん璃奈が決定していたらと思うと残念でならない。THE MATCH 2022で二人が対戦していたら、今とは全く異なった女子キックボクシング界になっていた可能性がある。キックを目指す少女も増えたのではないだろうか。

ぱんちゃんはヒザの大怪我から順調に復活しているようだ。2022年年末に向けて、体を怪我以前に戻し、以前を越えようと努力している。復帰戦はどこで、誰と戦うのだろう。もういきなりトップ選手と戦っても良いのではないかと思う。勝とうと負けようと、未来に繋がる復帰戦にして欲しい。

復帰戦の場として考えられるのは、次の選択肢がある。選択肢と言っても自由に選べるわけではない。場があると言うだけ。RIZIN、RISE、新生K-1、ONEChampionship、ONE Lumpinee、そしてKNOCK OUT。はんちゃんの復帰戦は彼女本人の為なのは当然として、ジャンルの存亡にも関わると言う認識を、女子キック界が持つべきだと思う。それには最も話題性のある選手との対戦が望まれる。

黄金カードには誰が相応しいか?

今現在の女子キックボクサー中、世界レベルで最も有名なのはONEChampionshipのMMAで活躍しているスタンプ・フェアテックス選手だろう。しかし将来的にはそこや、UFCを目指すにしても、復帰戦でいきなりは無理だろう。国内選手で最も相応しい選手は誰だろう?

ぱんちゃん璃奈選手の復帰戦の相手はこの選手

ぱんちゃんは女子キック界の至宝と言っても過言ではない。もしくはそうなるように育てなければ女子キックの未来は無い。朝倉兄弟や他格闘家とのコラボ動画での露出は他の女子選手を圧倒して、レベルが違う。実力に関しても、王者寺山日葵との対戦が期待される程の実力は既に有った。そこで人気と実力を兼ね備えた対戦候補と言えばこの人しかいないと言える選手が何人かいる。

今はこの二人しかいない

その一人はRISEのAKARI選手。

RISEの伊藤代表はかつて、ぱんちゃんが寺山日葵選手に対戦を要求した際に、来るなら来ればいいと、あまりフレンドリーな対応はしていない。KNOCK OUTからしてみれば、看板選手を相手の条件でいいように使われるのでは能がない。RISEは女子キックボクシングでは一時盛り上がっていたので、ちょっと天狗になっているように感じた。そして今では寺山日葵の引退で全く話題に上らなくなってしまった。本当に能がない。

AKARI選手は、ぱんちゃんと仲の良い erika♥を倒せないでいる。もし、ぱんちゃんがAKARI選手に勝つと、 erika♥と対戦しなければならなくなる可能性が有り、その対戦は今やっても盛り上がらないと思われる。将来はやらなければならない時が来るかもしれないが、それにはそのためのストーリーが必要だろう。AKARI選手が erika♥選手に勝ってからが良いと思う。

もう一人の候補選手は?

新生K-1の菅原美優選手。

彼女は層のまだ薄い新生K-1女子の中でも最も高い人気を持ち、実力も安定してきた。以前は接近戦で頭を下げてバッティングになる癖で話題になったが、今では改善された。せっかくヒジを禁止してもバッティングによる凄惨な試合が女子で行われれば人気にも響く。責任の一旦はレフェリーにもあった。厳正なレフェリングが有れば事故は防げたはず。レフェリング技術の向上と安定も求められた。

話が反れたが、菅原美優選手はライバルに設定された元シュートボクシング王者のMIO選手も退け、45 kg では相手がいない。そろそろ階級を上げて、高梨選手との対戦を視野に入れても良い時期。48 kgに上げればダウンを奪える機会も今より増えるだろう。そして何よりぱんちゃん璃奈選手と階級が揃う。高梨Knuckle美穂選手としのぎを削って、ぱんちゃん璃奈と対戦すれば良い。

年末にも恥ずかしくない黄金カード

上背も有り、ルックスもスタイルもぱんちゃん璃奈選手の永遠のライバルとして相応しい選手の筆頭と言える。体重さえ合わせる事ができるなら、黄金カードとして年末に組んでも恥ずかしくないカードだと言える。各団体の責任者は柔らか頭で対応して欲しいと、切に願うところである。

海外団体に持っていかれる危機感を持て

国内団体同士が小競り合いしている暇はない。この二人はいつ、海外団体からお呼びが掛かっても不思議ではない事を忘れないように。いずれそうなった方が選手の為でもあるのだが、そうなるとぱんちゃん璃奈 vs 菅原美優がいつの事になるのか、また分からなくなる。年末が最後のチャンスだと思って事に臨んで欲しい。それが実現すれば、次も観たいとなるはずだから。そしてそこに新しい選手が絡んでドラマが続いていく。出し惜しみしているうちに全ては流れ去ってしまう。



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