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ジャコビニ彗星の日 No. Y003

ユーミンは既にFMを聴き、電話を待ち焦がれていた頃、
僕はAMでロイ・ジェームスの不二家歌謡ベストテンを聴いていた。
意中の人はいたが、誕生プレゼントも渡せずにいた頃。

タイトル写真は2020年ふたご座流星群時の大火球流星

たしか、あれは朝日小学生新聞で見た。

ジャコビニ流星群、
ジャコビニ流星雨、
ジャコビニ彗星、

今ならググれば正しい知識がこどもでも瞬時に得られるが、あの頃は疑問を抱えたまま、放置している事も多かった。

曲のタイトル中ではジャコビニ彗星。
新聞記事はジャコビニ流星群だったか、ジャコビニ流星雨だったか、
はっきり記憶していない。おそらくジャコビニ流星群は流星雨になるかもしれない、と書かれていたはずだ。

彗星は、太陽系の遠くから惑星の軌道を縦断するように太陽に向かい、通過するとすぐに戻るような軌道を描いて運行する天体で、別名ほうき星とも呼ばれる。子供の頃は流星と彗星の区別が付かず、同じようなものだと思っていた。流星群は彗星が通った軌道を地球が通過する際に見られる。彗星の尾のように見える部分(放出した氷や泥等の大量のチリ)が軌道上に残され、そこを地球が通過する際に、チリが地球の大気圏に突入し、燃えて流星になる。2021年のペルセウス座流星群では、1時間に千個近い流星が流れたシーンがハワイマウナケア観測所からの生配信によって見られた。

ご存知のように流星はながれ星で、一瞬から長いものでも数秒間でスッと移動しながら消える。小さな星の欠片のようなものが大気圏に突入して燃え尽きる。大きなものだと、燃え尽きず地球上に到達落下して隕石となる。屋根に穴を開ける小石程度のものから、クレーターを作るようなものまである。

一方、彗星は肉眼で見えるようなものは滅多に無く、有っても正確な位置が分かる人でなければ見つける事は難しい。それに見ている間に移動するようなものでなく、惑星の動きと同じようにゆっくり移動しているので見かけ上は止まっているように見える。写真で長時間露出すれば、簡単に写るような彗星は年に数個はある。ただし簡単には見つからないものだ。

『ジャコビニ彗星の日』はユーミンの勘違い

「ジャコビニ流星群の日」が正確

 流星群の規模が大きく、流星の数が多くて雨のように見える時

「流星雨」と呼ぶが

 流星群自体が見えず
 当然、流星雨にもならなかった

もっとも「流星群の日」と言っても1日限りと言う訳ではなく、彗星の軌道を通過している間はチリが広い範囲にあるので、一両日はまだかなりの数の流星が見られる事が多い。因みに流星は明るいものから暗いものまでさまざまなので、月齢が新月に近く、高山などの暗い、空気が澄んだ場所ほど、沢山の数が見える。都会の空だと1時間に数個の場合もある。

アポロ月着陸から3年。まだ宇宙ブームは続いていた。その後、僕は天体写真が撮りたくて、望遠鏡や写真、カメラにハマる事になる。エンジン付き模型飛行機を飛ばす為に新聞配達したり、オーディオを検討したり、忙しくも楽しい日々だった。

結局、ジャコビニ流星群を観る事はできなかった

しかし、その後の人生では流星群をいくつも楽しみ、沢山の彗星の写真を撮影することができた。ジャコビニ彗星のおかげかな。国立天文台副台長になられた渡部潤一氏も似たようなエピソードをお持ちらしい。一度遭遇した事もあるが、あちらはずいぶん出世された。

もうすぐ10月9日。


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