ニコンを救いたい

ニコンは一時、もう駄目かと思った。
ニコンはとにかく丈夫、頑固、ニコ爺と言う言葉もあるほど。

祖父から譲り受けた双眼鏡は現役だし、New FM2、D40、D90、D700、D3、Nikon 1 V1、Nikon 1 V2、Nikon 1 V3、Nikon 1 J5、D300s、D500、D3400、Z6を使用した経験があるが、一度たりとも故障した事はなく、どれもほぼ満足できるカメラでした。

しかしいつの頃からか伝統の頑固さが薄れ、今風になると同時に欠陥隠しが表面化したりしました。職人気質の消滅の時でした。

デジタル時代になって、ライバルキヤノンにソフトウェア面、特に色味の点でニコンは遅れをとっていた。色作り、好ましい印象色に見せる技術の点で僕自身も違和感を感じていた。ハードウェア面では絶大な信頼を置いていたから、どうしてそんな色になるんだ!、と残念でしかたなかった。これはデジタルカメラに限らずフィルムスキャナーのCoolscanの頃から同じ傾向でした。アメリカの家庭にお邪魔した時に感じた、日本人の感覚とは異なる部屋の照明と似た感覚。聞いた所によるとワールドワイドに使用されているニコンの機器の色味の決定は外国人がしているからと言う話でした(瞳の色が違う)。そう言えばコダックとフジ、小西六のフィルムの色味は明らかに異なっていましたね。RAW現像で修正できるとは言っても手間がかかりすぎてしまいます。今ならカスタムでJPEGをコントロールできますが。

存亡を賭けてマウントをZに変更したが、ぱっとしない展開だった。もう終わりだなと僕は完全に諦めていた。ところがどうだ、最上位機種のZ9はニコンが持つ技術を次々とファームアップで提供し、他メーカーが技術の出し惜しみをする中、背水の陣とばかりに最上位機種Z9を育てた。

その結果、Z9は非常にコスパの高い最上位機種として人気を得た。最上位機種のカメラが売れると言う事は最上位の高級レンズも売れると言う事だ。カメラを買うのは何もプロだけではない。お金持ちのアマチュア写真家も鳥や乗り物などを撮る為に銭金を惜しまない。

最近フィールドで見かけるカメラはニコンの割合が多い。主にアカショウビンなどの鳥を撮る人はこんな超高級望遠レンズを高級三脚に載せて高級車の横で優雅に写真を撮っています。同じ場所で大勢が同じ写真を撮る気持ちと言うのはどうにも理解できませんが、きっとプロ並みの写真が撮れているに違いありません。今のカメラはよくできています。

こんなのを持っているアマチュアカメラマンがゴロゴロしています。
当然よく写る。

幼稚園の頃だったかに祖父に渋谷の五島プラネタリウムに連れて行ってもらってから、あそこで展示販売していたミザールの天体望遠鏡が欲しくてたまりませんでした。丸い会場に入場待ちの列が出来て、その際に必ず展示品を見るような仕組みになっていたのです。毎月あれを見ていた子供は親にねだって買ってもらったに違いありません。

その後地方のきれいな星を観て育った僕は再び中1から東京で暮らすようになり、最初に板橋の高橋製作所と新宿ヨドバシカメラに足を運びました。天体写真を撮る為です。小学生の頃に藤井旭さんの『天体写真の写し方』

を読み込んでいましたので、ヨドバシ地下の暗室コーナーで引き伸ばし機などの用品を物色し、まずはフィルム現像一式を買い込みました。あさはかな僕は宣伝に感化されて肝心のカメラの選択を失敗しキヤノンのAE-1をFD 135mm F2.5とともに購入しました。君は何がやりたかったの?星を撮るのにAEは要らんだろ、と今なら聞くところですが、子供のやることです。しかもそんな事をしているうちにタカハシの望遠鏡を買う予算など無くなっていました。本来なら明るい広角レンズとバルブができるカメラなら中古でもなんでも良かったのです。

そんな事でカメラとの付き合いは長く、最近もちょっと気になるカメラとレンズがニコンに有ったのですがたぶん見送ると思います。その理由が本題です。

見送ったとしても将来はニコンを買いたいのです。少なくとも今のキヤノンやソニーよりはニコンのほうが好きです。理由は商売が下手で職人気質を残しているように感じるからです。しかし皮肉なものでそれが理由で買う気が失せたのです。

でも正直なニコンさんには感謝しています。無駄なものを買わずに済んだからです。

カメラは置いといて、気になっていたレンズがこれです。

それほど安いレンズではありませんが、この上となると、

こうですから、これでもコスパが高いとされているのです。
コンパクトで画質のレビュー評価も高いものが多い。

ところがニコンさんは自社のウェブサイトでこんな説明をしてくださっています。非常に親切で正直で参考になります。

なんと僕が狙っていたレンズの画質を実写画像で旧レンズと最上位レンズと比較してくれているのです。これを見て一気に購買意欲が失せました。下のクラスとは言っても50万円のレンズです。明らかに画質が劣るのを見せられて買う人はどんな人なのかと思ってしまいます。三倍以上の価格のレンズなのだから当然でしょうと言う人もいると思いますし、メーカーの担当者もそう考えたのでしょう。でもそれは写真を撮らない人の感覚でしょう。画質が劣っていていいなら50万円も出すでしょうか。僕なら10万円でも出したくありません。

レンズはF値、即ちレンズの口径が大きく明るいほど一般に高価になります。また、ガラスの質などによって性能の違いも目立ちます。ただし一般的に明るくなれば大きく重くなり持ち歩いて撮る用途には不向きな場合もあります。

僕はそうした意味で高性能でコンパクトなレンズを探していてこのレンズが目に止まったのです。コンパクトになればレンズは小さくなり暗くなるのですが、三脚不要で持ち歩けます。それでいてシャープなものを探していたのです。ところが割と高価な割に性能に妥協していると言われてはこれではないとなる。

ニコンさんは昔から商売が下手です。写真を撮らない技術者や営業がカメラやレンズを造ったり売ったりするとこうなるのでしょう。あるいは声の大きな分からず屋の上司が幅を利かせているか。文句は言いません。いずれニコンに戻る為に次のモデルのアドバイスをさせてください。

コンパクトであれば多少暗くても、開放のボケが少なくても結構です。
次のモデルはF5.6 でお願いします。50万円でもいい。
428と同等の最高の画質と幅広のねっとりしたフィールのフォーカスリングにしてください。
実現してくれたらニコンに戻ります。

ついでにZ8からAFを抜いたようなNEO FM、FMDのようなカメラもお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?