<うま>かくこと

思えば、かくことの多い27年でした。

つい最近、無人島で一泊をしまして、足を虫に刺されまくりました。
非常に痒いであります。
寝るときに、足が痒くて寝られない。
かかとの部分の皮が、少し厚くてザラザラしているので、そこでもう一方の足をザリザリと掻くのが気持ちいい。ただ、掻いてから1〜2秒もすると掻いた部分が熱を持って、また痒い。また掻く。
無限ループが苦しいようで、実は掻いている瞬間というのは、ある種の心地よさといいますか、瞬間的な快楽を味わえて、なんだか悪くないなと思うことすらあります。
毎晩、掻いて掻いて掻きまくっております。

昔から体をよく掻きました。
生まれついてはアトピーで、とにかく体が痒かった。
掻いたらもっと痒くなる。と母に戒められましたが、我慢できず、血が出るまで掻きに掻いた。
乾燥肌も持って生まれ、体を掻くと表皮が削れ、カスのようなものが舞って、それが不潔だとイジられるんじゃないかと、嫌だった。でも痒くて痒くて、掻かずにはいられない。
母が言った通り、掻けば掻くほど痒くなりました。

「かくこと」で言えば、
昔は絵も結構「描いた」し、
新卒ではライティングの仕事だったのでたくさん「書いた」。
思いやりに「欠いた」時期もあったし、
恥は特にたくさん「掻いた」なあ。
とまあ色々と「かいて」きましたが、ここ数年でいうと、一番掻いたのは足かな。
毎日毎日「足掻いて(あがいて)」おります。

前職を辞め、教育と企画の仕事を始めて3年。社会と接続性の高い教育を。だなんて言うのは簡単だけれども、これがなかなかどうして難しい。
日々ウンウンと唸りながら、アイディアを出し、実装し、またウンウンと唸る日々です。
うまくいかないときはうまく行っている人にちょっとした嫉妬を抱いて、うまく言ったときはちょっとだけ調子に乗ったりしながら、夜中には焼酎を飲んでラーメンをすすっています。
時間でいうと、大変だなあ、なかなか辛いなあ、孤独だなあと思っている時間の方がずっと多い気がしますが、何かがうまく行った時の「脳汁ドバァッ」で全部チャラになる。そんな日の焼酎は最高にうまい。

ただ、うまくいったとこで満足しときゃあいいんですが、次の日には物足りない気持ちが出てきてしまうから困ったもので。
あれもやりたい。もっとこうしたい。と、新しい欲がふつふつと出てきてしまう。
どうせまた大変なことがたくさんあるはずなんだから、大人しくしてりゃあいいものを、何故だかやっぱり何かを始めてしまう。

27年生きてきた今のところの結論では、これはなかなか治らない。
虫刺されの痒みのように、掻いても掻いてもよくならない。
やっぱり母が言うように、掻けば掻くほど痒いものなのだ。

「ライブハウスの後ろで腕組んで見てるやつ一番格好悪い」と誰かが言いました。
「踊る阿呆に見る阿呆。どうせ阿呆なら踊らにゃ損損」と昔の人も言いました。
本来は結構、後ろで手を組んで格好つけているタイプなんだけどなあ。と思いながら、今日も踊り狂っているわけです。

いつだろうなあ。いつだかははっきりわかりませんが、きっとどこかで虫に刺されたんだと思います。

ああ、今晩も痒いなあ。(ザリザリ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?