けさのまにえふしふ91
里中(さとなか)に鳴くなる鶏(かけ)の呼び立てていたくは泣かぬ隠妻(こもりづま)はも(11-2803)
里中尓 鳴奈流鶏之 喚立而 甚者不鳴 隠妻羽毛
けさのまにえふ。「人里の中に飼われて鳴くような鶏とは違って、呼び立てて大声で泣くこともない隠り妻よ」
この感性なあ、と思う。これ、隠り妻へのいじらしさみたいなことをうたってるんだよね?
鶏のこと「かけ」って、まんま鳴き声やん、という感想がすっとぶね。
ただ、あまりに演歌的なので、本当にその読みでよいのか疑問はある。ポイントは「隠り妻」だろう。言葉の意味としては、人目を避けるべき関係にある妻、なんだけど、いわゆる不倫浮気の関係とみてよいものか。
他に考えられる意味としては、身分の違いとか、単に親にまだ告げられていない関係をそう呼んだかもしれない。
もっと言葉の元の意味を辿ると、隠(こも)るというのは、元は神事に関わる語で、神職または斎み事に関わっている状態の相手かもしれない。そうすると気丈さ、というか、ちょっとリスペクト入ったニュアンスにならないか。
ただなあ、「いたくは泣かぬ」って、「甚者不鳴 」なんだよなあ。その「鳴」の漢字、なんとかならんのか。やっぱりジェンダー規範が言語化されてる歌なんかなぁ。
照屋へんかん。
ネクタイを自分で締める、Slaveだが奴隷ではないスレイブとして(照屋conv.)
(20161207)
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