けさのまにえふしふ59
夕星(ゆふつつ)も通ふ天道(あまぢ)を何時までか仰ぎて待たむ月人壮子(つきひとをとこ)(10-2010)
夕星毛 徃来天道 及何時鹿 仰而将待 月人壮
けさのまにえふ。「宵の明星も通う天上の道を仰ぎながら、いつまで時を待っているのか、月人壮子よ」
秋の雑歌。それ秋だ、とばかりに、七夕歌のラッシュですよ。紙、とか手紙、とかいうとヤギが出てくるように、秋、言うたら七夕、みたいな。大きいイベントだったのでしょう。
これもそうで、さあ金星も通っていったよ、つぎはあなたなのに、いつまで待ってんの?
という歌なんだけど、このあなた(月人壮)って誰やねん、というのが、諸説あるらしい。
シンプルなのは、月の擬人化。月は、天の川を渡る舟なので、月の舟守を指す説から、もう舟に乗っている牽牛の説。そうでなくて、牽牛は月に住んでいて、月で待っている牽牛の説もある。
要するに万葉びとの天体知識がいかなるものだったか、が分からないんよね。
昼間は熱を与える強烈な光があって、夜はチカチカする点が撒かれている。丸い大きな光は、球体みたいな影の切れ方をしながら、上がっては落ちる。宇宙はシュール過ぎる。
このシュールさに意味を与える為に神話はあるのだけど、どこまで擬人化してたんだろう。「擬人化する」と意識した途端、それは比喩(人でない)であることが確定するので、神話は解(ほど)けるのだ。
月人壮という言葉は、この歌で突然出てきたらしいが、月も当然人が住める場所と思っていたのだろうか。
いや、逆だ。むしろ現代人の方が、空気の薄い、真っ暗な、不毛の土地の想像しか出来ないのだ。知識が邪魔して。
これは、高畑勲のかぐや姫も微妙だったところだ。月のイメージがガリレオ以降なんだよね。ドラゴンクエストXの、宇宙人の都市的な描き方は、あれは奇妙に違和感がなかったけれども。
照屋へんかん。
地球生まれははじめぴょんぴょんしてるからお前らの方がうさぎじゃねえか(照屋conv.)
月棲人をウサギよばわりするのは、差別ですからね! 悪意がなくてもですよ!(笑)
(20161014)
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