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サウナ「な」バス

関西のとあるバス会社が路線バス車両を改造した「動くサウナ」を始めたとかで一時話題になりましたが、ここではそのバスの話はしません(笑)

今や夏の「必須アイテム」になったバス車両の冷房。各家庭についているエアコンと同じく電気を使って動くものなので、長いこと使っていれば当然故障や不具合は生じるもの。

とはいえ、夏の盛りに冷房が故障したまま運行に出ることは旅客サービス低下につながるだけでなく、間違いなく苦情の嵐に…ということで各バス会社きちんと整備をしてそのようなことがないようにしてくれています。

今でこそ、コロナ禍でバスの本数が減り、車両運用に余裕が出ているので仮に出庫前や運行中に冷房が故障したとしても、代わりの車両を用意するなどの対応は比較的柔軟にできるようにはなりましたが、以前は車両運用も以前ほど余裕もなく、やむを得ず故障したまま運行に入らざるを得ないケースも多々ありました。

長くこの趣味をやってると、そういうケースに遭遇するんです。

「まさか」の連続

とある夏の良く晴れた暑い日の話です。ある大都市の郊外にあるバスの車庫から車庫を起点とする路線に乗った時のこと。

発車時間になり自分が乗るバスが車庫から出てきました。扉が開いておもむろに乗り込むと…

凄まじく車内が暑い。

それも無理はありません。今は環境対策と経費節減のため、車庫に止まっている間はエンジンストップ。炎天下でエンジンを止めた状態の車内は40℃を超える温度に。

そんな車内環境ですから、当然ながら冷房はフル稼働。それに合わせてエンジンも高回転で稼働しているためエンジン音も明らかに違います。(※冷房用の電源はエンジンから供給されるため、冷房を稼働させるとエンジンの回転数が上がり、車種によってはエンジン音に明らかな変化が出ます。)

しかし…吹き出し口からはそよ風のような弱々しい風しか出てこず、しかもそれが

生ぬるい…

そうです。冷房が故障していたんです。おそらく、乗務員さんも「まさか」だったと思います。

その時乗った路線は郊外にある車庫から市の外れにある私鉄駅までの路線で所要時間は約1時間。

時間はちょうど昼前。一番暑い時間帯です。

まさにサウナと化した車内で1時間耐えて、終点の私鉄駅へ。

「お昼ご飯は冷房の効いた立ち食いそば屋で冷たいそばでも食べよう」

と思い、その私鉄駅の構内にある目的のそば屋へ。

入ろうとした私の目に飛び込んできたのは…

「ただいま、店内の冷房が故障しております。申し訳ございません」
という張り紙。

「まさか」の連続とはこういうことを言うんですかね。

特殊な車両ゆえ・・・

路線バスの車両には様々なタイプがあります。基本的には皆さんが良く見る大型の車両が使われていますが、路線環境によってはひと回り小さな「中型車」と呼ばれる車両や、さらに小さな「小型車」といった車両が使われたりもします。

それらの中・小型車は用途が限られていることもあって保有台数は全体の10パーセント程度と少ないことがほとんどです。それゆえ、それらの車両で冷房が故障した場合、容易には車両交換ができずやむを得ず「サウナなバス」のまま運行を続けざるを得ないケースもあります。

中型車の一例

とある夏の良く晴れた暑い日。小型車両を使った路線に乗った時の話です。

始発停留所でいつものようにバスに乗ると車内の様子がどうもおかしい。

夏なのに窓という窓が全開になっているんです。コロナ禍になるずっと前の話ですから、窓が全開というのは明らかに不自然な状況。

冷房の吹き出し口に手をかざすと・・・

風が出てない・・・

そうなんです。冷房が故障していたんです。

自分が乗ったバスの車両はその路線専用で使われている特殊な車両。路線を担当する営業所には数台しかしないという特殊な車両なんです。

乗り合わせた乗客もみんな「暑い」といいながら扇子でパタパタあおいだり、けげんな顔をしたり。

「営業所には車両を交換してくれとお願いはしているんですが、特殊な車両なもので…ごめんなさい」

と乗務員さんは平謝り。

この時は窓が全開になっていたこともあって暑さはさほど感じませんでしたが、やはり冷房が故障したバスの車内はサウナと化すわけで。

最近は、車両性能も良くなったこともあり冷房が故障したバスに乗ってしまうということは少なくなりましたが、いくらキチンと整備をしてくれていたとしてもやっぱり機械ものですから予期せぬ故障も起こるわけで。

仮に、冷房が故障したバスに乗ってしまったとしても乗務員さんを責めたりはしないでくださいね。


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