続・なぜ大阪は学力テストの結果を教員給与へ反映させるのを止めるべきか

畠山です、今年もネパールの厳しい環境にある子供達に手を差し伸べるために頑張りますので、今年もどうぞご支援をよろしくお願いします。

以前、現代ビジネスで「大阪市が目指す教育改革は「最先端から2周遅れ」の間違った改革だ」という記事を執筆しました。記事中では主に、大阪が導入しようとしているメリットペイと、現在教育政策や教育経済学の最先端で議論されているValue-Added Model・授業評価・ポートフォーリオ評価の組み合わせを対比させて、学力テストの結果を単純な方法で教員給与へ反映させるのは止めるべきだと論じました。

大阪が導入しようとしている、学力テストの結果を用いて教育関係者に説明責任を果たさせる類の教育政策は、米国ではブッシュ政権とオバマ政権の2政権に渡って15年間実施されてきました。そして、オバマ政権はその末期に、民主党・共和党の双方から攻撃を受けて、このような政策から方向転換しますと反省文(Every Student Succeeds Act)を書かされて、それがトランプ政権へと引き継がれていきました。

今回は前述の記事のような教員評価の技術的な話から一歩引いてもう少し広い視座から、なぜ学力テストを使って説明責任を求めるような教育政策は失敗すると言えるのか、アメリカの失敗談をお話しようと思います。

1. 米国の学力テストを用いて説明責任を果たさせる教育政策について

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