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女性とキャリア(特に、国際協力分野)について

皆さん、こんにちは!サルタック理事のイトウネシア杏子です。いつもサルタックブログをお読み頂き、有難うございます。

さて、私事ながら、この度出産を控えており、現職の任地であるインドネシアから日本に先日一時帰国しました。初めての出産ということもあり私にとっては未知の世界でに置かれている心境ですが、この機会に、「女性とキャリア」に関して少しばかり自分の体験を踏まえて思いを綴ってみようと思いました。特に自分が現在国際機関で働いていることから、国際協力分野を中心としたキャリア周りを中心として。

プライベートとキャリアの両立

これ、本当に悩みます。私は現在国連への登竜門とも言われるJPO(要は国連のエントリーレベル)という立場でユニセフに勤務していますが、JPO同期などともよくこのテーマで共に悩みながら相談しあったりしています。それほど、多くの女性(に限らず男性側に取っても勿論)関心の高いテーマかと思います。

具体的には、自分のプライベート(例えば、パートナーとの出会い、付き合い、結婚、妊活、出産、育児、自身の幸せとの向き合い方など)と自分の進めたいキャリアとどうバランスを取っていくのか。国連やNGOを含めた海外駐在などでは、やはり「場所」と「任期」のポイントから将来設計、いや将来というか数ヵ月後や来年のことさえどこで何をしているか分からないというケースが多くある中で、この計画を立てるのが容易なことではないと感じています。その中で、如何に自分のプライベートとのバランスを図るのか。

正直、この問いに正解は無いと思っており、自分やパートナー、家族などに取って何がベストなのかをその時々で考えていくという他無いと私は思っています。

それは女性男性問わず悩むことかと思いますが、女性の場合、特にそもそもキャリア継続に関して出産や育児を含め、実際に様々な物理的や社会的な制限が多く悩みが尽きないのは事実です。

例えば、私の場合、今回有難く命を授かりましたが、結婚してから既に7年程度経過しており決して早くはないタイミングですし、高齢出産枠に入ります。でも私自身、結婚後に留学や海外駐在など単身での海外生活期間が長かったことも理由の一つですが、中々これまでもタイミングは得るのは難しいと感じてきました。JPOの同期を見ていても、ここに来るまでも一生懸命に学問やキャリアに努力を重ねてきた仲間が多く、中々自分のプライベートを後回しにしてしまう、でもある程度の経験を積んできたため、年齢は30代も多くプライベート課題に直面する世代でもあります。また、JPO試験に合格した場合でも、基本2年という限られた期間の中で、仕事での成果を出すことと、次の正規ポスト獲得のためにまた努力をしなければなりません。その中で、プライベート優先度はまた落ちたりします。

何が自分にとって幸せか。

私は、前述の通り、人生の選択に正解は無く、人それぞれであるべきだと思っていますが、自分という軸を持ち、自分にとっての幸せは何かと考え続けながら選択し行動していくことは重要だと思っています。

自分やパートナーに取って、重要なこととは?仕事を優先し過ぎて、自分の体を壊したり、自分にとって大事なものを失ってしまう、、などその時々の優先順位をどうつけていくか。私にとっては、プライベート(自分が幸せと思える心身の健康状態や家族の幸せ)が基盤にあり、その上でのキャリアを構築していけること。この順番を間違えると、間違いなく自分が幸せでなくなると思っています。

今回も、JPO期間含めキャリアとして重要期であることは間違いないけれど、そうやって今までも私は自分のキャリアを優先させてきた部分がありました。仕事は勿論自分にとって重要だけれども、自分の子どもが欲しいと考えたとき、年齢的にも制限がある出産。そう思い始め、真剣に子どものことを考え始めました。そうして、結果としては幸せなことに命を授かったものの、こればかりは自分の意思だけで思い通りにいくことではありません。

また、プライベートを大事にすることは重要とは言え、実際に仕事にも影響が生じることも勿論多くあります。私の場合、妊娠中の身体上の制限、産休前後の業務調整、また限られた2年間の中での半年の産休期間が与える影響など、、仕事軸で見ると不安要素は拭えません。そんな時仕事で心がけているのは、上司や周囲へのまめな相談です。私は割とオープンに自分の状況を話すことで、理解やサポートを得ながら調整していくスタンスを取ってきました。幸いにも理解ある上司に恵まれてきたため、現在のところ大きな仕事上の支障は無く、十分にサポートしてもらいながら働けています。

妊娠中でも働けるのか?不安

更に妊娠に焦点を当てると、実際妊娠したら自分がどの程度働けるのか、、という不安がありました。(それも含め躊躇する女性も多いと察します)

結論、物理的には働けます。が、当然ですが心身にかかる負担は少なくなく、また支えてくれるパートナーや家族など周囲の存在が必須だと実感しました。命を授かるという喜びは勿論この上ないものですが、妊娠初期から後期まで様々な心身トラブルに見舞われます(程度含め、個人差も大きいかと)。また、後期に入り(現在の私)、本当に動けなくなってきました。。

体調第一に無理をしないことが肝要ですが、私の場合は幸か不幸か、コロナ禍のためほぼリモートワーク(最初半年は日本からフルリモート、任地ジャカルタへ移動後もコロナが悪化し結局ほぼリモート、また産休に入るまで日本からリモート)といったところで、フルのオフィス通勤や、フィールドへの出張などが無かったため、身体的な負担はかなり少なく仕事が出来たと思います。(精神的には病みそうになるくらい、人との接触が少なかったですが、、)

国際協力の仕事だと、発展途上国での生活をする場合も多く、そうなると通常での生活の困難に加え、より医療や食の安全など心配要素が多くなるのは確かです。私自身、ミャンマーや中国での生活経験もあったため、ジャカルタでの生活は何ともないと思っていましたが、実際コロナの心配もあったため、妊娠していることで通常以上に気を使いました。また、初産のため分からないことも多かったのも心配要因の一つだったかと思います。

途上国では医療など基礎サービスへのアクセスや質も良くなく、自分自身の妊娠出産経験を通じて、母子の健康を第一に取り組むユニセフという機関の重要性はこの間強く感じました。

周囲のサポートや働き方の調整は絶対に必要ですが、妊婦だからと言って働けないことはありません。ただ個人差が相当あると思うので、人それぞれだし、体調第一は言うまでもありません。

産後でも働けるのか?不安

さて、私も出産を控えている身で、この先のことは未知の世界です。

ただ、やはり産まれてきてくれる喜びを想像するのと同時に、この先キャリアはどうなるかなぁという不安はあります。

前述の通り、2年間という限られたJPO期間の中、産休復帰後は残り半年しかありません。まだ新しい職務にやっと慣れてきたばかりなのに、産休に入り、その後残り半年でまた次のステップへ準備しなければならない、、産休中もキャリア研修や次のポストへのアプライなど、やるべきことがあります。。と、考え出したら切りがありません。果たして、産後、育児と両立出来るのか。この先の中長期的な国際協力分野でのキャリア継続は出来るのか。なるべく支援ニーズが高い分野(=危険地含め)で貢献することも夢見ていた自分、しかしこの先や子どもや家族の安全や教育などを考えると、候補地は狭まってくる。

ただ、一つ確実なのは、前例は沢山あるということです。国際機関にも育児をしながら働き続けているママたちが沢山います。そういった例は自分も励まされるし、自分もそういった存在になって後世が働きやすい環境を作っていきたいと密かに思っています。また、国連は(機関にもよると思いますが)女性がそれでも働きやすい環境があると思っています(信じています)。例えば、日本の一般民間企業などと比較すると、海外駐在で女性が育児をしながら働いている例はほぼ聞きません。

ただ、従来の昭和的な?がむしゃらにとにかく働くという働き方よりは、自分は自分のプライベートを大事にしながら、その上で自分の強みを活かしながら社会に貢献出来る様、キャリアを形成していけたら理想的だなと思っています。自分の幸せとは何かを問いながら、また優先順位を忘れず。

ただ自分の幸せを構成する要素に、社会貢献は欠かせないと思うので、それをどの様な形で貢献出来るか。。を模索しながら実践していきたいです。

自分の幸せへの追求が、自分の幅を広げ、人生を豊かにし、それが周囲や社会へもポジティブに影響することを願って。

取り留めのない思いを、ここまで読んでくださり、有難うございました!

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(写真:インドネシア、日本の両空港で最後は車椅子また空港の職員の方にお世話になり、何とか帰国が叶いました。)

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