国際学会を楽しむ10の方法

こんにちは、理事の畠山です。今週は国際比較教育学会(CIES)weekです。私は発表時間が現地時間の夜10時、イギリス時間の朝4時で、ポスドク先で考えていたイギリスの先生に発表を聞きに来てもらうことが出来ないだけでなく、イギリスにいるセッションのチェアもドタキャンという状況で、早くもモチベがガタ落ちしています。

そんな中ではありますが、こんなトピックを書いて欲しいというリクエストで、学会の楽しみ方、を頂いたのでこれについて書いてみようと思います。私もそんなに記事のネタがあるわけではないので、こういうトピックについて書いてみてくれませんか?というリクエストがあれば大変ありがたいです。

数ある学会の中でも、CIESは楽しむ難易度が高い学会だと私は思います。私が初めてCIESに参加したのは2008年のNYかサウスカロライナのチャールストンなので、CIESにわかでは無いと思うのですが、それでも毎年苦戦します。その最大の理由は、大規模な学会である上に、扱っているトピック・研究手法・対象国が異常なほど幅広いので、なかなか自分のお目当てのセッションに参加しづらいからです。その幅広さは、同様に楽しむ事が難しいと言われているAmerican Education Research Association (AERA)を軽々と凌駕していると思います。

では、どうすればCIESを楽しむことが出来るのか、その戦略を幾つかご紹介したいと思います。

1. まっとうに自分の研究に関連がありそうな人の発表を聞きに行く

最初の戦略は、自分の研究に関連がありそうな発表を聞きに行くです。しかし、これはCIESの特性上、かなり難しく、高い確率で外れを引きます。

具体例を出してみましょう。私はネパールの教育に興味があるので、プログラムの中で「Nepal Education」でググってみたとします。この時に、運が良ければ、ネパールの教師教育や、ネパールの教育の民営化、などサルタックの活動&私の学術的な興味に合ったものがヒットするかもしれません。しかし同様に、ネパールの高等教育(高等教育の研究者はかなり多い)や、ヒマラヤの奥地の少数言語の教育(言語学者も結構参加している)といった、サルタックでも扱っていなければ、私も特に興味が無いプログラムが引っかかります。

さらに悪いことに、CIESのセッション名は各プレゼンターの発表内容をかなり不適切にまとめたものであるケースが少なくありません。なぜならば、CIESが扱う内容の幅広さから、研究的には適切なので発表させようとしたものの、ではどの発表者とのセッションに入れるかを考えた時に、ほぼ無茶ぶりに近い形でまとめざるを得ないケースがしばしばあり、その結果としてセッション名が発表内容から遠くかけ離れたものになってしまうからです。

自分はググるのが上手で、自分の興味関心がある研究を適切にググれる自信があるのであれば、この戦略はもっともおススメの戦略ですが、そうでなければ外れを引く確率が高いややリスキーな戦略だと私は思います。

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