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#映画感想文

「ウォン・カーウァイ 4K」のその先は…Part.2【ウォン・カーウァイの影響を受けた監督作品 他】

9/16から始まった「ウォン・カーウァイ 4K」。 90年代その熱狂の中で当時映画を観た方、ウォン・カーウァイの名前を知ってはいたけど初めて劇場で観たという方、当時からの香港明星迷な方まできっと楽しんでいただけたはず! しかしここで終わりではない…。 皆さまの映画感度が上がったこのタイミングを逃してはならない! そこで、ウォン・カーウァイ作品を起点に是非観ていただきたい映画をご紹介します。 Part.1「ウォン・カーウァイ 4K」のその先は…Part.1【もっとウォン・カ

「ウォン・カーウァイ 4K」のその先は…Part.1【もっとウォン・カーウァイを浴びたい!】

9/16から始まった「ウォン・カーウァイ 4K」。 90年代その熱狂の中で当時映画を観た方、ウォン・カーウァイの名前を知ってはいたけど初めて劇場で観たという方、当時からの香港明星迷な方まできっと楽しんでいただけたはず! しかしここで終わりではない…。 皆さまの映画感度が上がったこのタイミングを逃してはならない! そこで、ウォン・カーウァイ作品を起点に是非観ていただきたい映画をご紹介します。 ウォン・カーウァイの他の作品を観る『欲望の翼』 監督:ウォン・カーウァイ/199

失われた愛を求めて、誰もが「2046」へ向かう。ウォン・カーウァイ監督『2046』

2004年に公開された本作、日本からは木村拓哉が出演するなど、アジアのスターを集結させたウォン・カーウァイの新作とあって大変話題になりました。 私も当時は『欲望の翼』と『花様年華』と繋がりがあるらしい…程度の情報で観に行きました。 やっぱりトニー・レオンの演技! 『花様年華』のチャウを本作でも演じるトニー・レオン。 1962年と1966年のチャウは同じキャラクターなのに振舞いはまったく違います。 チャン・ツィイー演じるバイと初めて出会ったとき、足先から顔へ這うように移ってい

愛は、もうはじまっている。王家衛監督代表作『花様年華』

今回のウォン・カーウァイ4K、そもそもはこの『花様年華』制作20周年を記念して、監督自らが5作品をレストアするプロジェクトとして始動。 『恋する惑星』がウォン・カーウァイの名を世界に知らしめた出世作というならば、『花様年華』はカンヌ国際映画祭でトニー・レオンに主演男優賞をもたらせて(超納得!)、世界的名監督と呼ばれるようになった代表作です。 カンヌ主演男優賞受賞!トニーレオンまずはこの作品で第53回カンヌ国際映画祭の主演男優賞を獲得したトニー・レオンの演技でしょう! 『欲望

百の診療所より、一本の用水路を『荒野に希望の灯をともす』スタッフブログ

パキスタンとアフガニスタンで35年に渡り医療支援と用水路の建設に尽力した中村哲医師の活動を回顧するドキュメンタリー。 2019年12月4日に何者かに銃撃され死去した中村医師の活動は、これまでさまざまなメディアで報じられていますが、こうして改めてその活動全体を通して観てみると、その一貫した意思の強さと、支援の在り方についてのブレない姿勢に胸を打たれるのでした。 1978年にパキスタンのティリチミール登山の日本隊に帯同医師として参加の折、同地でまったく医療を受けられない患者が

『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督が贈る『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』スタッフブログ更新!

誰もが知るピノッキオの物語をギレルモ・デル・トロ監督が大胆に翻案、ストップモーションアニメとして製作。 2008年の企画発表から途中の中断を経てようやく完成をみたもの。 ピノッキオの映画化では昨年本館でも公開の本国イタリア製作、ロベルト・ベニーニがゼペットを演じる『ほんとうのピノッキオ』、劇場公開はないもののディズニープラスでの配信によるロバート・ゼメキスの『ピノキオ』と、このところ連続して新作が登場しているわけですが、原作にほぼ忠実な『ほんとうのピノッキオ』に対し、今作は

その絆が愛を変える。『パラレル・マザーズ』スタッフブログ

映画『パラレル・マザーズ』スタッフブログ※以下には物語全体の構成についての考察を含みます。 映画のタイトル的にもこれは二人のシングルマザーの出逢いについての話という印象ですが、実際は少し違う。 冒頭でジャニスとアルトゥロが話す集団墓地発掘についての会話は二人の出会いの単なるフックかと思きや、物語の大きな要素のひとつ。 ジャニスは集団墓地に曾祖父らが埋められた経緯や、一緒に埋められた人たちの名前や写真を詳細にアルトゥロに説明する。ここでフックにしては描写が丁寧だと感じるのです

実話に基づく衝撃の物語『グッド・ナース』スタッフブログ

『グッド・ナース』スタッフブログ看護師が絡む連続殺人事件は横浜の大口病院の例など、比較的よく耳にする話ですが、このチャールズ・カレンの事件は映画を観てから調べると、その期間の長さと人数の多さに驚愕します。 おそらく単独の犯人の殺人事件として史上最多の部類であることは間違いありません。 映画を観る前に事実を知るのは犯行の手口や経緯を知ることがやはりネタバレに相当するのでお勧めしませんが、事実を知っているかどうかに関わらず、この映画の緊張感と密度の濃さは、第一級のサスペンスとして

それは、8歳のママだったー『秘密の森の、その向こう』スタッフブログ

『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の最新作。 森の中で出会ったマリオンはネリーと同じ8歳で、マリオンの家に連れていってもらうと、そこはネリーの祖母の家と同じだった。 ネリーはマリオンが幼い頃の母だと確信する。 本編72分と比較的コンパクトな作品ですが、ふわっとしたファンタジーとお互いにちょっとした不安を抱える少女二人の心の交流を描くことで、なんともほっこりした気分に浸ることができます。 ネリーは母が消えた不安を抱え、マリオンには近々行われる手術に不安を感じている。 森

世界を変えるため大統領を目指した男には、存在も名前も知られていない「影」として生きた選挙参謀がいた――『キングメーカー 大統領を作った男』スタッフブログ

世界を変えるため大統領を目指した男には、存在も名前も知られていない「影」として生きた選挙参謀がいた――劇中の登場人物は例によって別の名前に置き換えられていますが基本的に主要な登場人物は全て実在の人物がモデルになっているようです。 キム・ウンボムは金大中、ソ・チャンデはその選挙参謀だった厳昌録(オム・チャンノク)。 大統領は下の名前こそ違うもののパク・キスであり、軍服を着た陣営の若手は全斗煥がモデル、また盧泰愚そっくりの人物も居れば、野党政治家には金泳三そっくりの人物がいる。

ウォン・カーウァイ4K『恋する惑星』ピュアで無垢な青春の一篇 スタッフブログ

その時、ふたりの距離は0.1ミリ 57時間後、彼は彼女に恋をした。その時、ふたりの距離は0.1ミリ6時間後、彼女は彼に恋をした――。ウォン・カーウァイ監督作品の『恋する惑星』。日本での公開年は1995年。 当時まだ日本の知名度は高いと言えなかったウォン・カーウァイ監督の名前を一気に知らしめた、伝説的な作品です。 刑事223号を金城武が演じ、彼が出会うバーの片隅で出会った金髪の女性を、ブリジット・リンが演じています。また、刑事633号をトニー・レオンが演じて、小食店で働く女性

21世紀になっても、人は戦争をしたいのです『ウクライナから平和を叫ぶ』スタッフブログ

『ウクライナから平和を叫ぶ』スタッフブログスロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツ Jr.はユーロマイダン後の2015年4月、キーフから分離派(=親ロシア派)の支配地域のドネツクに向かう。行先でウクライナ人、ドネツクでの親ロシア派住民の双方に取材し、現地で暮らすさまざまな人々の生の声を記録したドキュメンタリー。 映画は2016年の製作で、既に6年が経過していますが、現在に続くウクライナ東部でのウクライナ―ロシア間の戦争が現地の人々にどのような変化をもたらしたのかを浮き彫りにして

運命を狂わす、スリリングな一皿『ボイリング・ポイント/沸騰』スタッフブログ

運命を狂わす、スリリングな一皿アンディの出勤の様子から最後まですべてワンカット、NO編集、CG不使用の文字通りのワンショット作品。 ワンショット映画というと場面転換でのカットや会話での切り返しができないといった制約があることで、物語が文字通り一続きになり、物語の起伏や自然な時間の経過が凝縮されることで独特のテンションを維持できる代わりに、観ている側は一息つくところが殆どなくなり、作品のペースについていくのが大変だったりするのですが、この作品もそうした意味で典型的なワンショット

海に残るか、陸にあがるか。彼は迷い立ち止まる。『ルッツ 海に生きる』スタッフブログ

映画『ルッツ 海に生きる』スタッフブログマルタというとシチリアの南方の小国ということ以外、殆ど知識を持っていませんでしたが、かつては英連邦の構成国で、宗教は98%がカトリックながら、言語はラテン文字を使用するアラビア語の一種、という特異なものとのこと。 本作は日本に紹介されるはじめてのマルタ映画とのことですが、伝統的な漁法を行う漁師もの、という一種ご当地映画的な外形でありながら、時代の変化に押し流される伝統的な生活様式や価値観の持ち主に訪れる試練、というかなりシビアな現実を淡