こんなときだからこそ読みたい長編漫画傑作100選2332冊

序文

日本の長編漫画作品から傑作を100作品2332冊を選び、作品五十音順に並べました。※作品の巻数は2020年3月時点のものです。

コンセプトは、『あの頃、夢中になって読んだ漫画を読み返そう』です。

具体的には、「あっ、これ昔読んだ! 思い出した懐かしい! また読もうかな」「途中まで読んだけど、なんとなく読むの止めてしまっていたから読み返してみようかな」のように思って貰えると幸いです。あとは、「子供の頃に大好きだった漫画を、自分の子供にも読ませてあげたい」のような“継承”も意識しました。

大好きだったのにいつの間にか忘れてしまったマンガ。勉強や部活で忙しかったり、進学・上京などで何となく読む習慣が無くなったマンガ。仕事や家庭に手一杯で距離を置いてしまったマンガ。

世情が大変で家にいるしかない、あるいは外出がなかなか難しい時勢です。だからこそ、漫画に夢中になったあの頃に一時でも戻り、自宅でじっくり腰を据えて読んでみるのもいいのでは、と長編漫画傑作100選の形にまとめてみました。

家にいる時間が増えざるを得ないこの状況下では短編だとすぐ読み終わってしまうので、今回は長編に限定。

長編の定義は、『連載5年以上か、単行本10巻以上』としました。一部、条件を満たしていない作品がありますが寛容な精神で見逃してください。

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今までに読んだ長編漫画の中から、特に面白かった100作品を選んだつもりです。「あれが入ってねーぞ!」などの異論がありましたら、記憶が曖昧で忘れたか、読んでないかなので教えてください。なお、「あっ、これ昔読んだ! 思い出した懐かしい! また読もうかな」と思って頂くことを記事の主目的としておりますので、完結済みの作品が多めです。

また、「途中までは読んだ人が多そう」「連載期間が長かったため、掲載誌を読むのを止めるなどで中途半端なところで終わってる人が多そう」などの似たようなコメントを乱発していますが、本稿は『あの頃読んだ漫画を、こういうときだからこそ思い出してもらい、そして読み返してもらう』がメインテーマですので、どうか寛容な精神でもって許容願います。

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ちなみに自分の書いた紹介文はポンコツな感じですので、寛容な精神で赦免頂き、作品のあらすじや詳細なストーリー、濃密な感想などはリンク先のKindleページか、ぐぐって感想ページを読んでください。

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NO.001『ARMS』

99点

巻数:22
状況:完結
ジャンル:SF,バトル,見開き漫画
作者:皆川亮二
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

『ARMS』と呼ばれる超兵器を巡り、謎の超国家組織とバトルを繰り広げるスーパーSFアクション。

圧倒的画力で描かれる、濃密でハード、重々しくも爽快なストーリー。怒涛の展開。魂が燃えるような演出。

『漫画史上、最高に格好良い見開きは?』的な話になったときの常連かつ大将格。終盤、劣勢に陥った状態から例の見開きは最高中の最高。震える。皆川作品必殺の『死ぬほど強いオッサンは死ぬほどかっこいい』を心ゆくまで満喫・堪能できる大傑作。

22巻セット



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NO.002『伊藤潤二恐怖マンガCollection』

96点

巻数:16
状況:完結
ジャンル:ホラー
作者:伊藤潤二
出版社:朝日ソノラマ

日本史上、最も偉大なホラー漫画家である伊藤潤二先生がデビューから円熟期にいたるまでに朝日ソノラマで発表した漫画群を集めた作品集。物語、恐怖、怪奇、画力、登場する恐ろしい女性の美しさ、翻弄される男の愚かさ、描写のえぐさ、どれも超一流で凄い。また、「最高のホラーは、最高のギャグと表裏一体」であることも理解できる。怖いけど爆笑してしまうシーンもしばしば。

基本は1話完結もの。16巻中、シリーズものは、3巻かな。富江が2巻。死びとの恋わずらい1巻。どこから読んでも極上の恐怖を味わうことができる。

個人的なおすすめは、

・4巻『首吊り気球』『顔泥棒』『ご先祖様』
・5~6巻『双一シリーズ(特に最終話【ファッションモデル】』
・7巻『うめく排水管』
・10巻『中古レコード』
・13巻『怪奇ひきずり兄弟』
・14巻『白砂村血譚』

など。

なお、伊藤潤二先生が猫を飼う恐怖のエッセイ漫画『よん&むー(1巻完結)』もAmazonレビュー178個ついて評価が星4.5と人民大絶賛の素晴らしい作品なので、ホラーな目に遭いたい方も、猫好きの方もぜひ読もう!

よん&むーは100点!


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NO.003『インベスターZ』

86点

巻数:16
状況:完結
ジャンル:カネと青春
作者:三田紀房
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

『北海道1の中高一貫進学校の各年入試1位6人を集め、学校の運営資金を秘密裏に調達する投資部のクラブ活動』という荒唐無稽かつリアリティのある青春マネー作品。

「カネとは何か?」「カネどう稼ぐべきか? そしてそのカネでどう生きるべきか?」などをテーマにしつつ、お金について勉強もできる実利的な漫画でもある。こういうのを真に受け、行動するくらいで丁度いいと思いますね。


全巻セット


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NO.004『ヴィンランド・サガ』

93点

巻数:23
状況:連載中
ジャンル:11世紀初頭・北ヨーロッパ歴史,愛,バトル
作者:幸村誠
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

『プラネテス(NO.84)』でヒットを飛ばし稀有で希少な作家性を確立した幸村誠先生のライフワークと化した作品。

明確な章立てがされているわけではないが、『幼少編』『ヴァイキング編』『奴隷編』『航海編』『本章・ヴィンランド編』と区分できる。現在は本編・最終章と呼べるヴィンランド編。

復讐しか考えない狂犬だった主人公が、父の教えを理解し、仇敵より薫陶を受け、雇用主より矜持を学び、刎頸の友と生涯の伴侶を得、追いかけてくる過去に苛まされつつも、成長し理想を追い求めていく様を描く壮大なストーリー。

主人公が自分のやるべきことを見つけ、実行を決め、実践した奴隷編クライマックスの14巻の素晴らしさは、今まで読んだ全単行本の中でも最高位の1つ。奴隷編はちょっとだるいと思われるが、ぜひここまで読んでみてくれ。


全巻セット


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NO.005『うしおととら』

94点

巻数:33
状況:完結
ジャンル:バトル,号泣
作者:藤田和日郎
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

紙面からほとばしる熱量なら日本最高峰の漫画家、藤田和日郎先生の大出世作。

その長さがゆえに、学生の頃に1回読んだきりという方も多そう。しかしむしろ、大人になってからのほうが良さがびしびし理解できる感じ。十郎、さとり、ギリョウとジエメイ、お役目様、とらと真由子、キリオの復活、とらの過去。そして流、ヒョウさん。何回ボロ泣きしたか分からない。特にヒョウさんのところは駄目。全然耐えられない。若い頃はうしおの視点からヒョウさんの復讐を見ていたのだけれど、歳を取るとヒョウさん自身に強く感情移入してしまう。

全巻セット


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NO.006『嘘喰い』

99点

巻数:49
状況:完結
ジャンル:ギャンブル,バトル
作者:迫稔雄
掲載誌:週刊ヤングジャンプ
出版社:集英社

福本伸行先生が切り開いたジャンル『ギャンブル』の完成形の1つ。ONE OUTSと並ぶ最高峰作品。

『この惑星は暴力で回っている』『ギャンブルで勝ったとしても、その勝ちを成立させるには暴力が必要』が作品のテーマ。絵もストーリーも、とんでもないハイクオリティ。最も好きな漫画の1つ。

なお1巻の前半が全く面白く無いが、2巻から急撃にクオリティが上がり、廃坑編で読んだ全員がはまる。キャラの立て方と出てくる組織の設定法が半端なく、酒の席での好きなキャラ話や入りたい組織話などは死ぬほど盛り上がってしまう。

ギャンブルパートは迫先生と担当編集の頭が良すぎて、連載を追っているときは全く意味が分からないまま、「なるほどね」という姿勢を崩さずにいたが、単行本で読むとなんとか理解できる(ただしドテイは理解できない)。

終盤、さる強敵と雌雄を決するために行われるポーカーは、全ギャンブル漫画中、最高峰の1戦。「漫画って、ここまで面白くできるのか!?」と驚愕した。

全巻セット


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NO.007『宇宙兄弟』

97点

巻数:37
状況:連載中
ジャンル:宇宙,人生
作者:小山宙哉
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

連載初期、JAXA受験編でうわおもしれえとどハマリしたものの、その頃人生に色々あり途中で読むのを止めていた。この記事を書くにあたり、一念発起して読み返したのだが……最高! 

「長期連載の弊害が出て、グダグダな漫画になってたらどうしよう」と不安に思っていたのだが、完全に杞憂だった。嬉しい裏切り。10年も読まずにいた自分は愚か。

最新巻まで追いついたのだけれど、ずーーーっっと面白い。凄い。何回も熱い涙を流した。若い頃だと分からない味に満ちたヤァマンな作品。人生に詰まったときや停滞にはまったときなど、何回も読み返すことになりそう。

死ぬほど久しぶりに読んだ、『福田さんと握手するシーン』はやっぱり最高だった。

全巻セット


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NO.008『エア・ギア』

83点(後半66点)

巻数:37
状況:完結
ジャンル:バトル,青春,米軍
作者:大暮維人
掲載誌:週刊少年マガジン
出版社:講談社

巻が進むにつれ、話が信じられないほど広がっていく衝撃の作品。本誌組は後半の超展開についていけず脱落した者も多いのでは。単行本で一気読みすると、割とついていけて最後まで面白く読めましたぞ!

全巻セット


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NO.009『エアマスター』

97点

巻数:28
状況:完結
ジャンル:格闘,哲学
作者:柴田ヨクサル
掲載誌:ヤングアニマル
出版社:白泉社

藤田和日郎先生に匹敵する、作品よりほとばしる熱量が凄まじい作家・柴田ヨクサル先生の出世作。

女子高生を主人公とした、ストリートファイト格闘作品。正直なところ前半は「まあまあ面白いかな」な感じだが、巻が進むにつれ加速度的に面白くなっていき、話の中核であるランキング戦が始まってからは最終回まで夢中一直線。全格闘マンガの中でも屈指の熱さ。ランキング上位と上位匹敵者が、みな「なぜ戦うのか」に確固たる哲学を持っているのが良い。誰も漫然と生きていない。特に深道とジョンス・リーとジュリエッタはいいよね……。深道リスペクト。

全巻セット


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NO.010『衛府の七忍』

98点

巻数:8
状況:連載中
ジャンル:江戸初期歴史,忍者バトル,剣豪バトル,超常現象
作者:山口貴由
掲載誌:チャンピオンRED
出版社:秋田書店

日本で連載されている全漫画作品中、最もテンションが高く狂った作品。支配体制の確率した徳川幕府と、その治世では生きていけない“まつろわぬ民”の戦いを描く。

人は、山口貴由作品に初めて触れたとき、「これは真面目にやっているのか? それともふざけているのか?」と混乱する傾向がある。そして一貫して大真面目だと気づくと、その魅力の虜になり、全作品を全巻集めたり、人を選ばず勧めて嫌がられたり、子息に男女問わず散(はらら)とつけようとして止められたり、無明逆流れの練習をしたり、隙あらば薩摩を糾弾したりする。

剣豪を描いた作品は数あれど、本作の宮本武蔵と沖田総司はその中でも最上級の格好良さ。このあと話がどう展開するの全く誰も読めず、人民こぞりてただただ座して新刊を待つのみ。

全巻セット


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NO.011『エマ』

84点

巻数:10
状況:完結
ジャンル:ヴィクトリア朝時代英国歴史,ラブストーリー
作者:森薫
掲載誌:コミックビーム
出版社:エンターブレイン

『乙嫁語り』の森薫先生の出世作。

19世紀末のイギリスを舞台に、労働者階級の主人公エマと、貴族階級の青年ウィリアムの2人が物語の主軸。

だが、『乙嫁語り』もそうであるように、森薫先生の異常な描き込みや執着を堪能する作品としても機能している。こだわりの強さが炸裂する衣服や背景描写、世界観の構築は、紙の単行本より劣化しない電子書籍のほうが向いてるかも。

全巻セット


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NO.012『エンジェル伝説』

83点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:ヤンキー,ギャグ
作者:八木教広
掲載誌:月刊少年ジャンプ
出版社:集英社

風貌は悪魔・幽鬼・人外のそれだが、心は誰よりも優しい北野くんが主人公の学園ヤンキー作品。

月刊ジャンプ連載だったので、飛び飛びになっていたり、途中で読むのを止めてしまった人も多そう。自分は2017年に読み返したが、記憶にあるより面白かったし、サクサク読めた。ギャグとバトルの調和が絶妙。


全巻セット


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NO.013『美味しんぼ』

34~100点

巻数:111
状況:連載中
ジャンル:料理,バトル
原作:雁屋哲/作画:花咲アキラ
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
出版社:小学館

『野望の王国(NO.95)』の雁屋哲先生が手掛けた、言わずとしれた大ヒット作品。

長期連載かつ、話が進むなかで様子がおかしくなることが何度もあり、そのたびに新しい味を楽しめる。

初期の無頼・破天荒編。

究極のメニューVS至高のメニューが始まるも雄山にボコボコにされる編。

金上編。

結婚編。

成長し雄山と戦えるようになってきた編。

和解編。

そして原発編と、勝手にカテゴライズしたが、どれも読み方の視点次第で最高に楽しめる。

全編を通し根底にあるのは、野望の王国の頃より連綿と続く、原作・雁屋哲先生の反体制の気質だろう。野望の王国では「物事を暴力で強引に解決」し、美味しんぼでは「物事を料理で強引に解決」してきた。作画の花咲アキラ先生はさぞ大変だったろうと思う。

全巻セット


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NO.014『覚悟のススメ』

87点

巻数:11
状況:完結
ジャンル:バトル,超常現象
作者:山口貴由
掲載誌:週刊少年チャンピオン
出版社:秋田書店

『シグルイ(NO.37)』『衛府の七忍(NO.10)』の山口貴由先生の出世作。先生の作品に共通するテンションの異常さはここでも遺憾なく発揮されており、分かる人には強烈に作用するが、分からない人は全く良さが伝わらない。これは上下や優劣ではなく、人生の指針や性質の方向性の話となる。

「当方に迎撃の用意あり」「何だか知らんが とにかく良し!」は積極的に使っていきたい台詞最上位。

全巻セット


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NO.015『カメレオン』

91点

巻数:47
状況:完結
ジャンル:ヤンキー,ギャグ
作者:加瀬あつし
掲載誌:週刊少年マガジン
出版社:講談社

ヤンキー漫画のマガジン金字塔。自分もそうだったのだけれど、連載期間10年、全47巻という長期連載だったので読んでない期間が結構あったのですよね。途中でマガジン読むの卒業したり、なんとなく読むの止めたり。単行本で一気読み返ししたときは、最後までヤンキー漫画としてもギャグ漫画としても面白くて素晴らしかった。

特にセリフの切れは、歴代の全漫画作品の中でも屈指・最高位なのでは。下手なシナリオ本や文章読本読むより、カメレオンで言葉の切れを学んだほうが効果は出そう。

全巻セット


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NO.016『からくりサーカス』

99点

巻数:43
状況:完結
ジャンル:バトル,号泣
作者:藤田和日郎
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

『うしおととら(NO.005)』を特大ヒットさせた藤田和日郎先生の、こちらも特大ヒット作。うしおととらで藤田和日郎ワールドとの付き合い方を学んでからのほうが確実に楽しめるので、先に読みましょう&読み返しましょう。

合わせて86巻と馬鹿げた数字になるも、一気読みしてもおかしくないくらい圧倒的に面白い。自分は連載派だったので、単行本に『カーテンコール』があるのを恥ずかしながらしばらく知らなかった。「あー、読み終わった……良かった……」と余韻に浸っていたらいきなり始まったカーテンコールには驚愕し、びっくりするくらい泣いてしまいましたね……。あれは凄い体験だった。途中で読むのを止めてしまっていたり、本誌派だったり、とにかく「カーテンコール?」と不思議に思った人はぜひ単行本で確認を! こんな試みを実行した漫画家は現れなかったし、今後も現れるかどうか。

ギイ、ルシール、ファティマ、ロッケンフィールドさん。ジョージ、阿紫花。フランシーヌ、コロンビーヌ、パンタローネ、アルレッキーノ……。藤田和日郎作品は、やるべきことをやりきることの大事を教えてくれる。ヒョウさんもお役目様も、間違ってしまったけれど流もそうだった。見倣っていきたい。

全巻セット


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NO.017『寄生獣』

91点

巻数:10
状況:完結
ジャンル:バトル,命
作者:岩明均
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

『10巻以内で終わる傑作漫画』の話になると必ず名前が挙がる大傑作。完璧すぎて何も言うことがない。

全巻セット


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NO.018『機動警察パトレイバー』

87点

巻数:22
状況:完結
ジャンル:近未来SF,ヒューマンドラマ,バトル,内海課長
作者:ゆうきまさみ
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

人は内海課長やパリストンのように常にニコニコ笑って生きていくべきだ。

全巻セット


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NO.019『ギャラリーフェイク』

99点

巻数:34
状況:連載中
ジャンル:アート
作者:細野不二彦
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
出版社:小学館

「贋作専門の画廊【ギャラリーフェイク】を経営しつつ、裏で非合法な美術品ビジネスを行う、古今東西のあらゆる美術に精通する、美に魅入られた元メトロポリタン博物館の凄腕キュレーター」という全人類がかっけえ!と思う主人公の物語。

ブラックジャックを設定の下敷きにしており、並ぶ者のいない唯一無二の技術と知識を持つ孤高の主人公・藤田が、アートに関わるあらゆる問題を解決していく。国家にもヤクザにも権力にも暴力にも従わず、どこにも所属せず誰の下にもつかずに自分の言い値で自分の気に入った仕事だけをする藤田には、どうしても憧れてしまう。

長期連載かつ内容は極めてディープ。よくこんなの週刊誌で連載できたなと感動する。そして不定期連載などを挟んでいたため、全エピソードを読んでいない方も多そう。自分は7巻『ニンベン師』、8巻『神々の宝石』、10巻『山水の星』、知念回全部、13巻『カンボジアクエスト』『左官魂』、16巻『花と器』、18巻『館長三昧』が大好きです!(ごく一部) みんなも読み返し、「ですぜ!」を口癖にしよう!

なお、2017年よりビッグコミック増刊で復活連載中。新刊も出ている。


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NO.020『今日から俺は!!』

95点

巻数:38
状況:完結
ジャンル:ヤンキー,バトル,青春,ギャグ
作者:西森博之
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

ヤンキー漫画の金字塔。『何回も読める面白いマンガ』という括りだと、当100作品中でも1位かも。何回、いつどこで、どこから読んでも面白いってなかなか無い。

特に好きなシーンは、伊藤が1回負けた相手に、そいつが悪だと分かった途端、怒りパワーでワンパンリベンジするところ。

あとは大定番の、今井が助けを呼ぶシーン。酸欠になるほど大爆笑した。今思い出しても笑えるから凄い。漫画読んでて最も笑ったシーンかもしれん。

また、「開久みたいな高校が近くにあったらどうしよう」と全国の中高生を恐怖のどん底に陥れた作品でもありますね。

全巻セット


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NO.021『狂四郎2030』

94点

巻数:20
状況:完結
ジャンル:近未来SF,バトル,グロ
作者:徳弘正也
掲載誌:スーパージャンプ
出版社:集英社

徳弘正也先生が、大戦で何もかもが荒廃した世界を正面から描ききった意欲作。主人公が直接相対する訳ではないが、『権力』をここまで生々しく描いた漫画って他にないかも。

連載誌が集英社とはいえマイナー寄りだったので、あの頃にずっと読めていたor単行本を集められていた少年は少なさそう。自分もそのクチで、話の内容もえぐく露骨だったため、親に見つかっては一大事だったこともあり、単行本は集められなかった。大人になって一気読みし、そのハードコアさに感服。

なお、徳弘正也先生が不定期連載・電子書籍のみ販売で現在執筆中の『もっこり半兵衛』は、大ベテランの技術の粋がこれでもかと詰まった重要文化財的な傑作となっている。先生はすでに還暦を越えられているが、その歳にして未だこんな意欲的な作品を描けるバイタリティは凄まじい。まだ4巻しか出ておらず、すぐ追いつけるので是非一読を。

全巻セット



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NO.022『キングダム』

91点(ギョウ攻め62点)

巻数:56
状況:連載中
ジャンル:戦国春秋時代歴史,バトル
作者:原泰久
掲載誌:週刊ヤングジャンプ
出版社:集英社

合従軍編までは現代最高峰の歴史漫画。途中までは至高の時間を過ごせるので買い!

全巻セット


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NO.023『銀と金』

93点

巻数:11
状況:完結
ジャンル:ギャンブル,人生,哲学
作者:福本伸行
掲載誌:アクションピザッツ
出版社:双葉社

『天』で覚醒し己の進む道を見つけた福本伸行先生が、その名を一躍知らしめた大傑作。誠京麻雀は本当に怖くて泣いてしまった。いかに人の精神が脆いか、そこをどう突くべきかを冷酷に描ききっており、なんども読み学習すべき作品。

今の福本先生は年金暮らし状態のため、全盛期を知らない若い人は想像以上に多そう。そういう人にこそ読んでほしい。

掲載誌が休刊のため、相当中途半端なところで終わってしまうが、それが味の1つともなっている。

全巻セット


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NO.024『銀の匙』

84点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:青春,農業
作者:荒川弘
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

『鋼の錬金術師』で特大ヒットを飛ばした荒川弘先生がサンデーで始めた北海道農業高校青春ストーリー。途中、先生の出産・育児・ご家族の病気などで不定期連載となったが、先日、無事に完結した。これを期に一気読みはどうか。

それにしてもサンデーは、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!(NO.039)』もそうだが、定期的に若者を北の大地へ駆り立てんとするヒット作を世に送り出すね。中学のときに読んでたら進路に大きな影響を受けていた気がする。


全巻セット


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NO.025『グラップラー刃牙』

97点

巻数:42
状況:完結
ジャンル:格闘
作者:板垣恵介
掲載誌:週刊少年チャンピオン
出版社:秋田書店

トーナメントの先駆けにして完成形。システム的に完成度の高いトーナメント作品はいくらでもあるけれど、ここまで面白く熱量のあるものは滅多にお目にかかれない。

なおこの記事がめちゃ面白い。読み返す前にぜひ!
刃牙を全然ワカってない人に「最大トーナメント」を予想してもらった

全巻セット


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NO.026『喧嘩商売』

99点

巻数:24
状況:完結
ジャンル:格闘,バトル,ギャグ
作者:木多康昭
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

本作を読んでいない世代が近い人間に、「幕張の木多康昭が描いてる格闘漫画が、今の日本の連載漫画作品中、文句なく1番面白い」と言うと、こいつ正気か?な目で見られることもしばしば。嘘偽り無く本当のこと。あの木多康昭がこんなに群を抜いて圧倒的に面白い格闘漫画を描くとは誰も想像しなかったはず。

本作主人公の佐藤十兵衛は『頭を使って戦う』が、その過程と経緯が入念・綿密に描写される珍しい作品。クラピカくらい頭が良い。

これは作者である木多先生の頭が良くないと出来ないことで、ジャンプの頃は牙を隠していたのだと分かる。

『最強トーナメントの開催』がストーリーの中核を為し、単行本の前後を使い、そのトーナメント出場者のエピソードが描かれる。作品本筋に出てくるキャラもいれば、一切現れないキャラもいる。全員が非常に魅力的で、「どういうトーナメントになるんだ!?」と読者の期待感は否応なく煽られる。

物語終盤の試合は非トーナメントの試合としては全格闘漫画中、最も面白いのでは。

最初は絵が下手→急激に上手くなる→喧嘩稼業になるとまた下手に、という過酷な道程を歩んでいるが、絵など脳内で補完すればなんてことはない。なお、24巻中8巻ぶんくらいは今読むと結構キツい本筋と関係ないギャグオンリーパートなので読み飛ばしても問題無い。

24巻セット


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NO.027『喧嘩稼業』

100点

巻数:12
状況:連載中
ジャンル:格闘,バトル,ギャグ
作者:木多康昭
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

喧嘩商売の続編。喧嘩商売のサイドストーリーで描かれた16人による開催されたトーナメントを描く作品。死ぬほど面白い。

どの試合も最高で、「泣き言いうなよ」「自ら引きちぎる」「文さん櫻井決着回」「田島襲撃回」「梶原さん株ストップ高」など、信じられないくらい面白い箇所は枚挙にいとまがない。絶対読むべき。

なお自分は、「文さん櫻井決着回」で、生まれて始めて、漫画を読みながら本当に手に汗をかく体験をした。男なら夢中になる可能性は非常に高く、強く推したい。文さんが嫌いな男性読者は1人もいないと断言できる。

ギャグも最高に面白い。商売では時事ネタを中心としていたため、今読み返すとただただキツイだけだったが、稼業では既存キャラ中心に切り替え大成功している。文さんが飛行機に乗るところは何回読んでも笑える。

なおヤンマガ掲載は1~2ヶ月に1回とスローペースのため、健康と長生きには気をつけたいところだ。

全巻セット


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NO.028『ケンガンアシュラ』

86点

巻数:27
状況:完結
ジャンル:格闘
原作:サンドロビッチ・ヤバ子/作画:だろめおん
掲載誌:裏サンデー
出版社:小学館

グラップラー刃牙がジャンルを確立させたトーナメント格闘作品の完成形の一つ。「予想を裏切り、期待を裏切らない」ことがトーナメント作品の最重要ポイントとするなら、バキより凄かったかも。

現在、第二部である『ケンガンオメガ』が連載中。1巻は「うーん……」といった出来で不安だったが、4~5巻から一気に面白くなってきた。さすがヤバ子や! ガオランが1番好きなので再登場を熱望。

全巻セット


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NO.029『項羽と劉邦』

84点

巻数:21
状況:完結
ジャンル:秦末期~漢成立歴史
作者:横山光輝
掲載誌:希望コミックス
出版社:潮出版社

『キングダム(NO.022)』の後の時代、秦が統一後にあっさり滅び、そのあと訪れた楚漢戦争を描いた長編。

実際は秦一強だったとはいえ群雄割拠を描いたキングダム、三国鼎立時代を描いた三国志と比べ地味感は否めない時代。しかし、本作を読み知識をつけると、『前日譚であるキングダム』『その後のエピソードである三国志』への理解が非常に深まり、より楽しめるのでオススメ。

キングダム最大の見どころの1つは、いつか必ず描かれる劉邦の初登場シーンなので、そこで「うおおお!」となるために読んでも良し。


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NO.030『GS美神 極楽大作戦!!』

92点

巻数:39
状況:完結
ジャンル:バトル,横島忠夫
作者:椎名高志
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

除霊を専門に行う“ゴーストスイーパー”であり、異常に金にがめつい美神令子を主人公とした作品。

なにより横島! 横島忠夫は人生の師。保身のために味方を敵に売り、「かんにんやーー!!しかたなかったんやーーーー!!」と泣き喚く様はリスペクト。

そして、彼の魂の叫びである、「自分を……信じる……!? 綺麗事抜かしてんじゃねーー!この世に自分ほど信じられんものがほかにあるかああああっ!!」は、「みな自分の能力を疑いすぎるのです。自分で自分を疑っていては、最善を尽くすことなんてできないのです。自分が信じられなかったら、誰が信じてくれるのでしょう?」というマイケル・ジャクソンの言葉と表裏一体で成立しており、心から感動する。

『天 天和通りの快男児(NO.059)』において、主要キャラのアカギは、「信じると捨てるは同じこと・・・自分の本心に沿って執着を整理していくと、いつの間にか自分を信じ、同時に捨てている。同時だ・・・分かつことはできない・・・・!」と言った。これはまさに、横島とマイケルと赤木は分かつことは出来ないことの証左。


全巻セット


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NO.031『最強伝説 黒沢』

93点

巻数:11
状況:完結
ジャンル:人生とは
作者:福本伸行
掲載誌:ビッグコミックオリジナル
出版社:小学館

覚醒しギャンブル漫画で人間描写を極めた福本伸行先生が突如として始めた人間劇場。第一話が始まったときにネットはそこまで普及していなかったけれど、それでも各所で「大変な作品が、今まで見たことの無い漫画が始まった」と騒然となっていたのを覚えている。

人生の先が見えてしまったおっさんが、右往左往したり、立ちすくんだり、奮起する様を描く。社会において、『おっさんの内面』ほど需要に乏しいものは珍しく、存在しないものとして扱われ、徹底的に軽んじられ、あるいは無視されている。

今でこそSNSが跋扈し、不幸にもおっさんの内面が可視化されてしまったが、それ以前は誰も気にも留めなかった。おっさんに心があるとは思われていなかったのだ。そこにフォーカスし、ヒットさせてしまった福本先生の作家性には驚愕するばかりだ。

心に刺さりすぎて、他の福本作品なら何回も読み返している自分ですら、若い頃に1回読んだきり。読み返せないでいる。あれからかなり歳をとった今、読んだらどうなってしまうのか。ぼろぼろ泣くか、打ちのめされ動けなくなるか、奮起し立ち上がるか。あるいはその全てか。まったくの不明。着手には勇気がいる作品。

当時、読んでいた壮年の人たちはどうやって消化していたのだろうか。

全巻セット


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NO.032『ザ・ワールド・イズ・マイン』

85点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:ハードコア
作者:新井英樹
掲載誌:週刊ヤングサンデー
出版社:小学館

本傑作選中、最も好き嫌いが分かれる作品かも。好き嫌いというより、作中に頻出する台詞っぽく言うなら、肯定と拒絶に分かれる、だろうか。

暴力を体現したような男と心酔する男のコンビが東北でテロを起こし暴れまわる。一方、ヒグマドンと呼ばれる怪獣が日本に現れ猛威を振るう──。荒唐無稽なストーリーと、度を越した暴力行為と残虐性を、荒々しさと精緻さの混じった画筆で描き、連載当時一大センセーションを起こした作品。

主人公はテロリスト2人の体を取っているが、実際はテロと怪獣にまつわる人間達を描く群像劇となっている。理由無く襲いかかってくる圧倒的な災厄に対抗する人々という点では、『シン・ゴジラ』と構成は似ている。庵野秀明も本作を絶賛していたことから、影響は受けていると思う。

描写がえぐすぎて、掲載誌が回収されたこともあり。単行本はヤングサンデー版があっさり絶版となるも、5年後に『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン』として出版された。

気分が悪くなること請け合いなので、面白いのだけれど積極的に勧められない笑。


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NO.033『サタノファニ』

83点(瞬発力97点)

巻数:12
状況:連載中
ジャンル:バトル,アイディア男性殺害まんが
作者:山田恵庸
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

時折、ヤンマガに出現する異常な作品。連載当初は女囚刑務所を舞台とした、よくあるデスゲームだったのだが、男性受刑囚が現れてから作品の様子が一変。可愛く綺麗な女囚達が、アイディア男性を虐殺する作品へと変貌を遂げた。

ナチュラルに狂っている敵キャラクターが次から次へと湧くように登場し、読者をドン引きさせたり、爆笑させたり、熱烈に応援させたりと一挙に愛される作品へと昇華された。

また、とんでもなく教育に悪いので、決して子供には読ませてはいけない。

アイディア男性を続出させたり、扉は毎回女囚がえろいコスプレをしていたりと、山田恵庸先生はサービス精神が非常に強いのだと思われる。その是非には賛否あろうが、読者を楽しませようと手を尽くすその姿勢には学ぶ点が多い。

全巻セット


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NO.034『サンクチュアリ』

100点

巻数:12
状況:完結
ジャンル:ヤクザ,政治
原作:志村翔/作画:池上遼一
掲載誌:ビッグコミックスペリオール
出版社:小学館

人生最高のの一作。かっこいい男を描く漫画ランキング1位。

全巻セット


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NO.035『三国志』

96点

巻数:60
状況:完結
ジャンル:後漢末~三国鼎立時代
作者:横山光輝
掲載誌:希望コミックス
出版社:潮出版社

三国志嫌いな男とかいるの? 基礎教養。何回も何回も読み返しましょう。


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NO.036『山賊ダイアリー』

92点

巻数:7
状況:完結
ジャンル:狩猟
作者:岡本健太郎
掲載誌:イブニング
出版社:講談社

東京で暮らしていた漫画家が地元・岡山に帰り猟師になる実録漫画。

猟銃免許取得の過程や、シビアな狩猟期、厳しいルール、銃の種類、銃の撃ち方、猟の仕方、罠の仕掛け方、獲物の調理法と味、達人の存在、獲物の解体、そしてイノシシに自分で止めを差すときの逡巡などなど、猟師に関わる全体像を学ぶことができる良書。

猟銃免許所有者のうち60%が60歳以上という、強烈な高齢化が進むも、『猟』に興味の無い男は少ないと思う。実際、本作を読むと「猟銃免許ほしい……」となる可能性は極めて高い。自分も本作品の影響を受け、盆地に住む関係上、50歳くらいになったら取得してみるつもりだ。

現在、第二部である『山賊ダイアリーSS』の連載中だが、原作を務める『ソウナンですか?』がヒット中のため絶賛休載中。

全巻セット


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NO.037『シグルイ』

93点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:剣豪バトル,超常現象
作者:山口貴由
掲載誌:チャンピオンRED
出版社:秋田書店

テンションが異常。人生において、1話目を読んで1番驚愕した作品。「なんだか知らんが只事ではない連載が始まった」と卒倒した。無明逆流れは読者全員が練習したと思う。

この作品もマイナー誌での長期連載だったため、途中離脱の人が多そう。最後まで息切れせず駆け抜けるので是非! このテンションを人生に取り入れよう!(無責任な提言)

全巻セット


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NO.038『死人の声をきくがよい』

84点

巻数:12
状況:完結
ジャンル:美女ホラー
作者:ひよどり祥子
掲載誌:チャンピオンRED
出版社:秋田書店

すっかり勢いを失ってしまったホラー漫画界において凛然と輝いた作品。

美しい女性たちが酷い目に遭ったり、酷いことをしたりと、伊藤潤二先生も富江でデビューしたことからも明らかなように、ホラーにおいては美しい女性が必須なのだと理解できる。

現在、マガジンポケットで『ときめきのいけにえ』を連載中!

全巻セット


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NO.039『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』

85点

巻数:26
状況:完結
ジャンル:競馬,青春ラブストーリー
作者:ゆうきまさみ
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

進学校に通う少年が夏休みを利用して北海道にバイク一人旅をし、ひょんなことから夏の間、競走馬の生産牧場に世話になることに。そこで馬の魅力に惹かれていく。

ダビスタの大ブームと合わせて読んだのだが、信じられないくらい良かった。この作品をきっかけに競馬に魅入られ、北海道に旅立った知人も実際にいた(なおその後消息不明に)。大人になってから、もしくは競馬の知識がついてから読むと会社を辞めて北海道に旅立ってしまいそう。ストライクイーグルの歩みと共に作品も進んでいくのがとてもいいよね。


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NO.040『14歳』

81点

巻数:20
状況:完結
ジャンル:近未来ホラー
作者:楳図かずお
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
出版社:小学館

楳図かずお先生による、『漂流教室(NO.078)』の精神的続編。

それにしても先生は、関谷やチキン・ジョージなど、強烈にも程があるキャラクターを生み出しすぎ。関谷なんて読んだら一生忘れないもんな。話の大筋を忘れている人も、関谷だけは覚えてる。本作『14歳』も、話のスケールの大きさと展開のダイナミックさが規格外で、肝心のストーリーを覚えていない人間が続出。

全巻セット


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NO.041『ジョジョの奇妙な冒険』

98点

巻数:80
状況:完結
ジャンル:ジョジョ
作者:荒木飛呂彦
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

全ての漫画から1作品だけ選べ、と喉元に小竜景光を突きつけられた状態で迫られたらジョジョかなあ。



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NO.042『新ジャングルの王者ターちゃん♡』

87点

巻数:20
状況:完結
ジャンル:バトル、ギャグ
作者:徳弘正也
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

尾田栄一郎先生の師匠としても有名な徳弘正也先生のヒット作。

最初は下ネタギャグを本線する作品だったが、改題し格闘を主軸に据えてから面白さが飛躍的に向上。格闘、シリアス、ギャグの調和が完璧で、未だ他に誰も真似できていない。シリアス展開の真っ最中にギャグを入れても違和感が無いというか、一部としてすんなり溶け込んでる。

また、子供の頃はさっぱり分からないときがあった下ネタも、今やすべて意味が理解できる笑。

全巻セット


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NO.043『進撃の巨人』

97点

巻数:31
状況:連載中
ジャンル:ファンタジー,ライナー物語
作者:諫山創
掲載誌:別冊少年マガジン
出版社:講談社

未だバカ売れしているのに、案外読んでいる人がいない。自分もそうだったので分かるが、初期の歴史的特大爆発で読むも、その後なんとなく離れてしまった人が多いのだろうか。「インパクト先行の作品」と見誤っていた体がある。猛省。インパクトはあくまで手にとってもらう、知ってもらうための技術に過ぎなかったのだ。まったく愚かだった。

最新巻まで飽きずにずっと極端に面白いまま続いている作品だとは想像もしていなかったため、一気読みして驚愕。

また、ネットの空気から、「このリヴァイって人はおかしいから人気あるんだろ?」と思っていたが、実際は逆で、「このリヴァイって人は1人だけまともな常識人だから人気があるんだ!」だった。これにも強い衝撃を受けた。

加え、まさかライナーまつりが全編を通し行われる漫画作品だったことにも迂闊にも気づけなかった。諫山先生の執拗なライナー愛を追うだけでも楽しめる大傑作。

一番好きなキャラは、全漫画作品中、覚悟が最も決まってると言っても差し支えなかった、ダイバー妹。

全巻セット


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NO.044『スティール・ボール・ラン』

100点

巻数:24
状況:完結
ジャンル:ジョジョ
作者:荒木飛呂彦
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

ジョジョの奇妙な冒険7部。紙の単行本で買って、Kindleでも買い、いつでもどこでも読めるようにしてある唯一の作品。

男は結局、遠くに旅に出て何らかの利益を抱え戻ってくる、あるいは戻ってこずに向かった先が危険なのだと共同体に教えることが役割なのだと理解できる。

主人公側の登場人物はみな深く傷ついていて、帰るべきところに帰りたがっている。しかし帰りたくとも事情があって帰れない。もしくは、帰るところなんて無い。だから旅に出るしかなかった。

円熟期を迎えた荒木先生が、登場人物のそんな切ない心境を、熱量と絶妙な枯れ具合を同居させ描いた最高傑作。本当に面白い。1番好きな作品。

極初期を週刊少年ジャンプで連載し、その後ウルトラジャンプに移籍したため、読まないままで終わった人は多そう。ストーンオーシャンで少し人気を落としてしまったことも、読んでない人の増加に拍車をかけてしまっただろうか。24巻とそこまで長くも無い。読まずに死ぬのは本当に勿体ないので、ぜひとも一気読みしてほしい。

全巻セット


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NO.045『砂の栄冠』

85点

巻数:25
状況:完結
ジャンル:野球
作者:三田紀房
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

『ドラゴン桜』『インベスターZ』『アルキメデスの大戦』など、ヒット作を連発する三田紀房先生の高校野球漫画。

公立高校の野球部員である主人公は、ある日、練習風景をいつも見ていた近所のおじいさんより「甲子園で優勝してくれ」と、遺言を受け、遺産として1000万円をもらってしまう。この金で甲子園を目指すことをテーマとした作品。

金を誰にもばれないよう使い、資材を揃え、練習の質を上げ、優秀なトレーナーを雇い、チームメイトをまとめる。ゴミクズ指導者を懐柔し、周囲の好き勝手なことしか言わず責任も取らない大人たちをコントロールする術を学び、主人公はいつしか鍛えられていく。高校野球漫画ではあるが、『カネを正しく使うこと』で人間は自然に、勝手に、自動的に精神も肉体も鍛えられていくことが学べる漫画。

全巻セット


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NO.046『スプリガン』

86点

巻数:11
状況:完結
ジャンル:SF
原作:たかしげ宙/作画:皆川亮二
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

『ARMS(NO.001)』の皆川亮二先生の出世作。

『樹海の龍脈』『ノアの方舟』『ヒトラー復活を目論むネオナチ』『水晶の髑髏』『聖櫃』『賢者の石』『主人公より強い師匠キャラ』などなど、などなど、中学生大喜びの設定をこれでもかと詰め込んだ作品。

全巻セット


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NO.047『センゴク』

88点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:戦国時代
作者:宮下英樹
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

魑魅魍魎が跋扈するヤンマガにおいて、唯一の良心。勃興期の織田家に仕え、羽柴藤吉郎麾下となった仙石秀久を主人公とし、戦国時代を描く大作。

第一部である今作は、斎藤家滅亡より始まり、若かりし日の秀吉に仕官~織田家の躍進~信長包囲網~浅井家滅亡までを描く。初期は主人公である仙石秀久視点が強いが、徐々に周囲の英雄・梟雄たちにフォーカスが移り、群像劇として加速度的に面白くなっていく。

話を聞くと、初期に「あまり面白くなかった」と切った人が割と多い印象。自分も割とそうだった。ぜひ7巻の本願寺顕如と、8巻の武田信玄登場まで読んでほしい。あとは一気呵成となるはず。

全巻セット


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NO.048『センゴク 天正記』

93点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:戦国時代
作者:宮下英樹
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

第二部である今作は、一向一揆戦~第二次信長包囲網~機内掌握~上杉戦~毛利戦~武田家滅亡と、織田の最盛期を鮮やかに描ききっている。「よいのです」が口癖になるくらい個人的に大好きな毛利元就編が入っているのも今作。

全巻セット


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NO.049『センゴク 一統記』

92点

巻数:15
状況:完結
ジャンル:戦国時代
作者:宮下英樹
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

第三部である今作は、対毛利戦線~本能寺の変~明智戦~清州会議~柴田戦~小牧長久手までを描く。本能寺前の明智光秀、本能寺後の羽柴秀吉、独立後の徳川家康。この3英雄のそれぞれの覚醒が最大の見どころ。

全巻セット


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NO.050『センゴク権兵衛』

92点

巻数:18
状況:連載中
ジャンル:戦国時代
作者:宮下英樹
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

第四部であり、事実上の本章と呼べる今作は、主人公仙石秀久が大活躍する紀州征伐より始まり、対長宗我部戦、そして全てを失う九州戦線へと続く。その後、高野山編を経て、2020年2月現在、北条戦の最中。

なお北条編の導入は、北条五代を初代早雲からじっくり追う形になっており最高に面白い。センゴク終了後、ここだけ5巻くらい取って描いてくれませんか?

これまで45巻の長きに渡り、がむしゃらに前だけ見て戦ってきた仙石が高僧に師事し、悟りとまでは言えないものの何かを掴み精神的に深みを増していく展開は絶妙。ずっと読んできて良かったと感服した。

テーマからすれば、仙石がここで挽回し秀吉に赦免され大名復帰し連載終了なのだろうが、ぜひとも『センゴク 関ケ原戦記』を描いてほしい。死ぬほど読みたい。秀吉錯乱~朝鮮出兵は何かと問題があると思うので、花の慶次みたいに色々すっ飛ばして秀吉死去から入ってもよろしい。せっかく秀忠との伏線を張ったのだから、宮下先生は書く満々のはず。関ケ原戦記を15巻かけて描いたあとは、ぜひとも大阪落城までも描いてほしい(際限なく広まる要求)。

全巻セット


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NO.051『センゴク外伝 桶狭間戦記』

98点

巻数:5
状況:完結
ジャンル:戦国時代
作者:宮下英樹
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

センゴク外伝である今作は、本編では描かれなかった桶狭間の合戦を扱う。

5巻と短いが、なぜ今川がここまで強大になったのか、なぜ守護斯波家の下の守護代の家老に過ぎない織田が急速に力をつけたのか、なぜ戦国時代は始まったのか、なぜ信長は銭の扱いに長けていたのか、なぜ今川と織田は激突することになったのか、なぜ今川義元は負けたのか、を語り尽くす濃密な作品。

今川義元と太原雪斎、織田信秀が死ぬほど格好良く描かれている。本作以降、信長の野望の今川義元評がひっくり返ったほどの影響を与えた。歴史漫画として群を抜いて面白いので絶対読んだほうがいい。

全巻セット


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NO.052『蒼天航路』

94点

巻数:36
状況:完結
ジャンル:三国時代,曹操孟徳
作者:王欣太
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

三国志漫画の金字塔。歴史もの漫画作品中、最もテンションとボルテージが高いのではないだろうか。

他の三国志作品と同じく、群雄劇ではあるが、曹操孟徳を主人公としてはっきり決めてあるのが特徴。曹操誕生から死去までを描く。

三国志の知識があってもなくても最高に面白く読める。無いなら無いで、蒼天航路を読む→おもしれー!横山光輝三国志とやらも読もう!→こっちもおもしれー!→あれ!?官渡は!!?(ショック死)などと楽しめる。

もちろん、横山光輝三国志を読んでからも楽しめる。

コーエーの三国志や無双シリーズだけの知識でも全く構わない。

それらの作品では地味で目立たない適当な能力だった武将が、蒼天航路で一気に輝くことは1度や2度ではない。蒼天航路を読むとみんな馬玩や徐栄を好きになるよね。

魏の文官や、とにかくどの作品でも影の薄い呉にも強烈な光が当てられており、初心者からマニアまで広く楽しめる傑作。

全巻セット


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NO.053『それでも町は廻っている』

87点

巻数:16
状況:完結
ジャンル:青春SF,青春ミステリ
作者:石黒正数
掲載誌:ヤングキングアワーズ
出版社:少年画報社

アフタヌーン誌で『天国大魔境』がヒット中の石黒正数先生の出世作。11年半も連載してたんだなあ。完結したときは感無量だった。

全16巻の高校生活を中心に描いた作品だが、なんと時系列に沿って進むのではなく、3年時のエピソードが比較的初期に描かれたり、1年時のエピソードが単行本後半で描かれたりと、石黒正数先生らしい仕掛けが施されている。このため、3巻くらいまで読んで登場人物を把握したら、いつでも何巻からでも読み返せる仕組みになっている。

時系列を整理したサイトもある(本当にお疲れ様でした)。これを元に、時系列順に読み返すのも一興かも。

全巻セット


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NO.054『達人伝』

82点

巻数:25
状況:連載中
ジャンル:春秋戦国時代後期
作者:王欣太
掲載誌:漫画アクション
出版社:双葉社

『蒼天航路(NO.052)』で一世を風靡した王欣太先生がアクションで連載中の春秋戦国時代作品。

キングダムの少し前の時代を描いている。既に秦一強となりつつある時代、これに抵抗する人間達を中心に描いている。秦の勝利は確定してしまっており、どう決着をつけるのか楽しみ。歴史上、呂不韋を最も格好良く描いている作品と思われる。若き呂不韋と藺相如の回はめちゃめちゃ良かった。

欣太先生はもともと「ユリウス・カエサルを描いてください」と請われたというが、それも死ぬほど楽しみ。達人伝完結後に始まるのだろうか。「王欣太の描くユリウス・カエサル」ほど口に出して高揚する言葉もなかなか無い。「岩明均の描くハンニバル・バルカ」くらいあがる


全巻セット


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NO.055『沈黙の艦隊』

86点

巻数:32
状況:完結
ジャンル:架空戦記
作者:かわぐちかいじ
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

人類最強兵器(連載当時)である日本の原子力潜水艦が消息を絶ち、反乱。独立国家樹立を宣言し、武力による全く新しい安全保障を訴え、米軍原潜舞台や太平洋艦隊と戦いつつ、ニューヨークの国連ビルを目指す──。という異様にスケールの大きい作品。

30年前の作品なので、当然そんな言葉は無かったのだが、主人公の海江田こそ『チート』の先駆けだったように思う。初めて読んだ頃はバトルシーンばかり読み、政治パートの意味がよく分からなかったが、大人になると理解できるようになった。パワーバランスの概念が学べる大作。

全巻セット


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NO.056『トライガン / トライガン・マキシマム』

93点

巻数:16(トライガン2巻:トライガン・マキシマム14巻)
状況:完結
ジャンル:SFガンアクション
作者:内藤泰弘
掲載誌:ヤングキングアワーズ
出版社:少年画報社

「なんかすげえかっこいい漫画があるらしいぜ!」「ほんとだなんだこの世界観! かっけえ!」と思っていたら掲載誌が休刊し絶望→移籍しタイトルにマキシマムをつけ連載再開。

この作品のハードボイルドで容赦の無い乾いた世界観、ガンアクションの格好良さとスタイリッシュさが後世に与えた影響は絶大。ウルフウッドに憧れなかったキッズはいなかったのでは。

アニメはかっこよすぎて失禁した。

全巻セット


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NO.057『ドラえもん』

91点

巻数:45
状況:完結
ジャンル:SF
作者:藤子・F・不二雄
掲載誌:コロコロコミックなど
出版社:小学館

親しい人、親しい人に子供が生まれた際のプレゼントとして最適な漫画。

全巻セット


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NO.058『ドリフターズ』

92点

巻数:6
状況:連載中
ジャンル:信長ファンタジー
作者:平野耕太
掲載誌:ヤングキングアワーズ
出版社:少年画報社

6巻しか出ていないが、連載期間はすでに大長編なため選抜。はやくおれに黒王様コントを読ませてくれ!!

全巻セット


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NO.059『天 天和通りの快男児』

97点

巻数:18
状況:完結
ジャンル:麻雀,人生
作者:福本伸行
掲載誌:近代麻雀ゴールド
出版社:竹書房

福本伸行先生の麻雀作品。ヒット作を連発してきた先生の覚醒はここから始まった。最初は人情物だったが、アカギという10年に1人の傑物を生み出してからは作風が一気に変化、創作史上稀に見る上昇気流に乗った。

マイナー誌に13年も連載されていたため、読んでいない人も、途中離脱の読者も多そう。『アカギ』を知ってる人の1/4くらいしか本作を最後まで読んだ人はいないのでは。そもそも、『アカギ』は、本作のアカギを主人公としたスピンオフ作品であることすら今や歴史に埋もれているのでは。それは非常に勿体ない。

特に最終章の葬儀編は、ここを読み感動・満喫するためだけに麻雀を覚えても良いくらいだと断言できる素晴らしさ。数ある漫画を読んできて最もしびれた章だった。麻雀が打てて、読んでいないのなら絶対読んだほうがいい。

また、昔読んだことがあり、それなりに歳を取ってしまった人が改めて読み返すのもいいと思う。

全巻セット


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NO.060『天使な小生意気』

88点

巻数:20
状況:完結
ジャンル:青春ラブストーリー,バトル,ギャグ
作者:西森博之
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

『今日から俺は!!(NO.020)』の西村博之先生の作品。

今日から俺は!!の後半はサンデーを卒業していたことから、うかつにも連載時は読んでいなかった。また当時は、「女が主人公? 西村先生も軟派になったもんだぜ!」と先生の初週刊連載作品である『甘く危険なナンパ刑事』を読みながら憤ったものだが、全くの間違いであった。

味方の気合の入り方や成長、敵のやばさは前作を上回り、そして女の子キャラの可愛さは先生の作品中屈指。発行部数から推測するに、今日から俺は!!読者の1/3も読んでないと思う。もったいないので読んで西村節を堪能しよう! 他にも、『道士郎でござる』『お茶濁す』の連載もどちらも最高。全部読もう!

※2020年8月現在、『お茶濁す』『道士郎でござる』の1巻がKindle無料!ぜひ試し読みを!

全巻セット


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NO.061『動物のお医者さん』

96点

巻数:12
状況:完結
ジャンル:動物,医師物語
作者:佐々木倫子
掲載誌:花とゆめコミックス
出版社:白泉社

札幌に住む主人公ハムテルと親友二階堂が獣医となるべくH大学で奮闘する作品。

本作以前は、大学生活──それもいわゆるラボがメインになる漫画って無かった気が。あったとしても情報量に乏しいか、そもそも面白くないので世に知られずに終わったか。

動物のお医者さんは、取材を恐ろしく入念に行った様子が単行本の巻末エピソードで描かれている。このため大学、それも獣医学部という一般からすると実態は謎に包まれた学部の情報が豊富、そして通いたくなるほど魅力的に描かれ、作品の形にしっかり構築されている。

なにより漫画として素晴らしく面白い。何回大爆笑したか知れない。もう30年前の作品なのに、今読んでも、いつ読んでも、どこから読んでも面白いのは凄い。手元にずっと置いておきたいタイプの作品筆頭。あと当然のことなので書かずに終わるところだったが動物がみんな可愛い。あと清原はサイコパス。

全巻セット


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NO.062『賭博黙示録カイジ』

94点

巻数:13
状況:完結
ジャンル:ギャンブル
作者:福本伸行
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

言わずとしれたギャンブル漫画の金字塔。ジャンケン編・鉄骨渡り編・Eカード編を収録。兵藤会長は心の師匠。単行本で改めて読み返すと、話の構築が完璧で驚く。

リンクはアマゾンのみですが、割といろんなところで頻繁にセールしてたりするので探してみてください。

全巻セット


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NO.063『賭博破戒録カイジ』

90点(チンチロ編96点)

巻数:13
状況:完結
ジャンル:ギャンブル
作者:福本伸行
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

地下チンチロ編と沼編を収録。チンチロ編が個人的にカイジ最高傑作。

しかしながら、沼の中盤あたりから徐々に引き伸ばしが始まり読者は「おや?」となるも、まさか今のようなことになるとは想像すらしていなかったのだ……。

全巻セット


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NO.064『波よ聞いてくれ』

91点

巻数:7
状況:連載中
ジャンル:不明
作者:沙村広明
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

『無限の住人(NO.094)』の沙村広明先生の現連載作品。

まさに好き勝手描いており、メインストーリーであるラジオDJ編を軸に、恋愛・復讐・新興宗教・バトルなどやりたい放題。センスと構成力と画力が非常に高い地点で合致しており、描きたくても誰も描けない世界観が完成されている。

まだ7巻しか出ていないため、手を出しやすいのも良い点。ただし話の内容は極端に濃密で、1冊読むのに1時間はかかる可能性も(嬉しい悲鳴)

全巻セット


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NO.065『ナチュン』

95点

巻数:6
状況:完結
ジャンル:ハードコアSF,豚アート
作者:都留泰作
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

類型や類似の無い怪作。アフタヌーンは時折、こうした特異を突然世に送り出す。

平凡な学生だった主人公はある日、世界を一変させる天才に“なってしまう”ビデオを観てしまい、人工知能の理論を完成させる。実現のためにどうすればいいのか戸惑い行動した結果、研究の実践と資金稼ぎのため、沖縄に行って漁師に弟子入りしたり、イルカと泳いだり、海底に連れていかれたり、ヤクザのシノギを手伝ったり、ヴァチカンに目をつけられたり、世界征服を真面目に目指したりと大変な目に遭う。

淡々とした絵柄と描写で凄惨なシーンが描かれることが多く、トラウマになるかも。刺さる人には強烈に、二度と抜けないくらい刺さる。特に『豚』が“美”を顕現するシーンは凄まじいので是非読んでほしい。話の密度が尋常ではない割に全6巻とコンパクトなのも買いやすくお勧め。

全巻セット

連載中の架空戦記『竜女戦記』も非常におすすめ。



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NO.066『ナニワ金融道』

85点

巻数:19
状況:完結
ジャンル:カネ
作者:青木雄二
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

漫画界に恐らく初めて、『カネ』をメインテーマとして持ち込んだ作品。サラ金を舞台に、まだ法による規制が緩く金貸しがやりたい放題していた時代の、カネにまつわる剥き出しの人間模様を描く。

様々な仕事や艱難辛苦を経験し尽くしたおっさんが汚い絵で、カネの魔力で露出する人間の汚い本質を一切の遠慮なしに描ききった。後世に与えたインパクトと影響だけなら、手塚治虫・藤子不二雄・赤塚不二夫級なんじゃないかと思う。この作品がなければ、カイジ、嘘喰い、ONE OUTS、ウシジマくんなどなど、生まれなかったであろう漫画はいくらでもある。

教頭先生編の一瞬で転落するスピードには当時、恐怖を覚えたものだ。

全巻セット


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NO.067『ノーマーク爆牌党』

93点

巻数:9
状況:完結
ジャンル:麻雀
作者:片山まさゆき
掲載誌:近代麻雀オリジナル
出版社:竹書房

1番面白い麻雀漫画。未だに誰にも越えられていない。

全巻セット


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NO.068『鋼の錬金術師』

85点

巻数:27
状況:完結
ジャンル:バトル
作者:荒川弘
掲載誌:ガンガンコミックス
出版社:スクウェア・エニックス

言わずと知れた荒川弘先生の大出世作。読んでない人はあまりいなさそう(本記事では、ドラゴンボールやワンピースやスラムダンクなどの特大メジャーどころは意図的に外してある)。

鋼の錬金術師→銀の匙→百姓貴族→アルスラーン戦記と、屈指のヒットメーカーである荒川弘先生の手法や姿勢を学び、自分の人生に活かすためにも再読し勉強しよう。

全巻セット


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NO.069『バキ』

前半92点 後半78点

巻数:31
状況:完結
ジャンル:格闘
作者:板垣恵介
掲載誌:週刊少年チャンピオン
出版社:秋田書店

死刑囚が現れたときは、「うおおおお、とんでもねえ奴らが日本に!!」と大興奮したものだった。ドリアン編終盤辺りから作品としての様子がおかしくなり始めたのも、今となっては良い思い出。

全巻セット


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NO.070『ハチワンダイバー』

96点

巻数:35
状況:完結
ジャンル:将棋,バトル
作者:柴田ヨクサル
掲載誌:週刊ヤングジャンプ
出版社:集英社

『エアマスター(NO.009)』の柴田ヨクサル先生がヤングジャンプで連載した将棋漫画。

「ヨクサルが将棋!?」と連載当初は驚愕するも、テンションがエアマスターそのままだったり、将棋漫画なのにバトルが始まったりと安心した上で裏切られて最高だった。

20巻の澄野さんの闘魂注入と、29巻の菅田「僕の体は人間でできているが 本当は将棋でできている」のくだりは心底しびれた。特に29巻は、このシーンを読むためにハチワンダイバーをずっと追ってきたのだと確信したほど深く刺さった。

なお自分は人には絶対言えないが、エアマスターの深道とハチワンダイバーの谷生をスタンド兼軍師のような感じで頭の中に置き、ときおり「深道なら、谷生ならどうするか」とアドバイスを求める形で考えたりしている。思考法の一つである脳内賢人会議の一種だが、ばれるとまずいので極秘だ。

全巻セット


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NO.071『花の慶次 ―雲のかなたに―』

86点

巻数:18
状況:完結
ジャンル:戦国時代
作者:原哲夫
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

北斗の拳で特大ヒットをかました原哲夫先生が取り組んだ戦国時代劇。

原作は隆慶一郎先生の小説『一夢庵風流記』。隆先生は花の慶次連載開始直前に逝去されてしまう。隆慶一郎先生の著作は、原作である『一夢庵風流記』に限らず、『死ぬことと見つけたり』『吉原御免状』『影武者徳川家康』など、どれも極端に面白いので強くお勧めする。特に『死ぬことと見つけたり』は100点! めちゃくちゃ面白い。ただし話が終盤に入ったところで先生の逝去により未完なので注意。

全巻セット


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NO.072『HUNTER×HUNTER』

98点

巻数:36
状況:連載中
ジャンル:バトル
作者:冨樫義博
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

はやく連載開始しろや(2020年3月時点の発言です)。一番好きなのはグリードアイランド編で、一番好きなキャラはパリストンです。

全巻セット


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NO.073『彼岸島』

0点

巻数:33
状況:完結
ジャンル:スーパーホラー
作者:松本光司
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

「100作品選ぶのさすがにきつい」という筆者の個人的事情により、彼岸島3部作をバラして100作品に加えることに成功!

ネット上では大人気の彼岸島だが、実際に全巻読んでる人の割合は知名度に比べ極端に少ないと思われる。コマの抜き出しだけが跋扈しているのだ。

改めて正座し読み、その比類なき支離滅裂さに感動するのもまた教養と言えよう。未だネット上に出回っていない無茶苦茶なシーンや破綻したコマは星の数ほど存在するのだ。

はじめは寂れた孤島の漁村という設定だったのに、牢獄・関所・学校・教会・大病院・奉行所・峡谷・要塞・砂漠・大森林・旧日本軍施設・そして果ては五重塔にウイルス研究所など、島が際限なく進化・拡張していく過程は感動もの。

画像4

画像5

最初期の彼岸島

なお、2012年の2ch漫画板に書き込まれた下の洞察は、まさに卓見と言えるものだろう。これくらい鋭い洞察を行えるようになりたいものだ。

名無しんぼ@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2012/06/11 01:58:11 ID:wAFxphar0(6)
作者のスペックの低さに対する収入だと
松本センセェがダントツだと思う
漫画家というよりは錬金術師に近い


全巻セット


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NO.074『彼岸島 最後の47日間』

0点

巻数:16
状況:
ジャンル:スーパーホラー
作者:松本光司
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

第2部の本作のあたりからネット上で騒がれるようになり、まさかの全滅エンドはヤフーニュースにも掲載された。

本朝随一のバカ漫画として高名を博しているが、例えば敵である村田さんや隊長との、お互いを認めあった者同士の友情は不覚にもジーンと来てしまう。また、松本先生は映画が大好きなため、構図や演出には相当の力を入れており、構図だけなら最高にかっこいいシーンも沢山ある。そういうシーンを見つけるのも醍醐味の一つ。

全巻セット


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NO.075『彼岸島 48日後…』

0点

巻数:23
状況:連載中
ジャンル:スーパーホラー
作者:松本光司
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

まさかの本土編。三部作を会わせての累計巻数はとっくに横山光輝三国志を抜いているという現代の奇跡。

全巻セット


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NO.076『ヒストリエ』

97点

巻数:11
状況:連載中
ジャンル:紀元前4世紀ギリシャ
作者:岩明均
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

1年半に1冊新刊が出れば上々となってしまった岩明均先生の歴史作品。

新刊が出るたびに、「前の巻ってどうなったっけ? その前は?」となるため、1巻から読み直しその面白さに絶句・驚倒できる便利なシステムが用いられている。とんでもない人数が、巻ごとに脱落してそう。もったいないから読もう! 

『天才の行動』は、天才では無い作家でも描けてしまう。しかし、『天才が行動を起こすにあたっての過程や思考』は、作家も天才でなければ描けない。そういう意味での日本の漫画家のトップ3は、岩明均先生、冨樫義博先生、木多康昭先生の3名だと思う。本作主人公であるエウメネスは全漫画中でも最も頭が良いと推測される。知力100。天才の思考の過程を吸収できる稀有な作品。

なお、岩明先生執筆の1巻完結の短編『雪の峠・剣の舞』は、短編集ランキング1位。ぶっちぎり。100点! 『雪の峠』は信じられないくらい面白い。話の構成が全漫画作品中、最も上手いのでは。1コマも無駄な展開が無い。だいたい、『関ヶ原後に常陸から秋田に転封された佐竹家の、居城築城地を巡る内紛』という、どうでもいい地味極まりない話を、なんでここまでスリリングに描けるのか全くの謎。天才の所業。発行部数は多く無さそうなので、読んでる人はかなり少ないと推察される。寄生獣・ヒストリエが好きな人は絶対読もう! なおAmazonリンクは仰天の新品プレミア価格が表示されているが、中古なら600円くらいで買えるよ!

全巻セット


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NO.077『ヒナまつり』

98点

巻数:19
状況:完結
ジャンル:サイキックほのぼのヤクザアクション,ギャグ,起業
作者:大武政夫
掲載誌:ハルタ
出版社:KADOKAWA

1巻の表紙を本屋で見かけた瞬間、「これは面白いやつだ」と確信、購入し今に至る。あの直感は正しかった。

精神が荒廃したときはヒナまつりを読み、「アンズええ子や……」と感涙するようにしている。

初期はギャグテーストが強かったが、第二部になってからは、その切れ味を失わないままストーリーに深みを持たせたり、お話の構成力が物凄いことになったりと、作家として急激に成長している。アンズと瞳ちゃんを生み出したことによる効果だろうと踏んでいる。初期にブレイクしたこともあり、5巻くらいで買うのが止まっている人は多そう。二部が始まっていて、今のほうがより面白いと知らない人民はぜひ読んでほしい。特に、瞳ちゃんのスケールが流されるまま際限なく大きくなっていく様子は見もの。

全巻セット


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NO.078『漂流教室』

83点

巻数:11
状況:完結
ジャンル:未来ホラー,関谷が主人公作品
作者:楳図かずお
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館

楳図かずお先生の大ヒット作。もう50年近く前の作品!? 子供の頃に読んでめっちゃ怖かった人は沢山いそう。

子供~中学生くらいまでは恐ろしくてしかたなかった本作の主人公である関谷だが、大人、それもおっさんになってから読むとちょっとだけ気持ちが分かってしまったりする。20年ぶりに読んでも、その恐慌的なテンションと絵の恐ろしさには震える。

全巻セット


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NO.079『風雲児たち』

98点

巻数:30
状況:完結
ジャンル:関ヶ原~江戸期~幕末
作者:みなもと太郎
掲載誌:コミックトム
出版社:潮出版社

あまりにも偉大な歴史漫画の大傑作。連載開始はなんと1979年。ワイド版20巻が刊行済み。

はじめ幕末を描く予定だったが、連載開始にあたり作者のみなもと太郎先生は、「幕末で薩長土肥、特に薩長が勇躍した理由を描くには、関ヶ原から始める必要がある」と戦国末期から連載を開始する。

関ヶ原後の薩長の綱渡り、徳川支配体制の確立、徳川家光と保科正之の登場、鎖国、蘭学の黎明、解体新書、田沼時代、蝦夷地開拓、蘭学の弾圧、やってくる欧州の船と圧力、この時代に生きた魅力的な人物などなど、などなどを描くうちに幕末に入らないまま40年が経ってしまった、という日本漫画史上でも最大スケールの作品。歴史が好きなら読まないという判断は無し。小学生の息子さんに全巻プレゼントした友人がいるが、父親として素晴らしい行為だと思う。

本作は20年続いた。今は掲載誌を移し、『風雲児たち 幕末編』として20年継続中。

話の本筋ではないが、大黒屋光太夫編(太平洋で難破した船がロシアに漂着し、日本に帰ってくるまでを描いた章)のダイナミックさは特筆もの。

全巻セット


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NO.080『風雲児たち 幕末編』

98点

巻数:33
状況:連載中
ジャンル:幕末
作者:みなもと太郎
掲載誌:コミック乱
出版社:リイド社

掲載誌休刊により一度連載終了し、リイド社の時代劇漫画雑誌コミック乱にて移籍連載を開始。

ちょうどというとアレだが、タイミングも良かったこともあり、移籍にあたりついにタイトルに『幕末』が冠せられた。なお2002年に幕末編が始まり、2020年3月現在、33巻まで刊行。

現在、生麦事件が終わり、岡田以蔵・田中新兵衛らがバリバリ暗殺している辺り。40年間、一度も話に中だるみは無い。常にエキサイティングで、常にダイナミック。登場人物はみな魅力的で、夢中で読んでしまう。

特に岩倉具視が活き活きとした策謀家として描かれており素晴らしい。

全巻セット


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NO.081『藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>』

90点

巻数:8
状況:完結
ジャンル:SF
作者:藤子・F・不二雄
出版社:小学館

藤子不二雄先生のSF短編集。意外と知ってる人が少ない。『ミノタウロスの皿』『カンビュセスの籤』『パラレル同窓会』『定年退食』などなど、50年近く前に描かれたとは思えない、人間性をえぐるような作品が揃う。未読なら強くお勧め。

全巻セット


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NO.082『特攻の拓』

82点

巻数:27
状況:完結
ジャンル:ヤンキー
原作:佐木飛朗斗/作画:所十三
掲載誌:週刊少年マガジン
出版社:講談社

最後ら辺どうなったのか誰も知らないけど、みんな読んでる漫画の筆頭格。「えっ!? 27巻もあったの!?」と驚愕した。27巻もなにやってたの?


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NO.083『ブラックジャック』

91点

巻数:22
状況:完結
ジャンル:医療ドラマ
作者:手塚治虫
掲載誌:週刊少年チャンピオン
出版社:秋田書店

『六等星』が一番好きやね。

全巻セット


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NO.084『プラネテス』

97点

巻数:4
状況:完結
ジャンル:近未来SF,愛
作者:幸村誠
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

人類が宇宙に行くのが当たり前の時代。“社会生活”が宇宙で行われ、各種問題が発生するようになった。そのうちの1つが、地球周回上に散乱するスペースデブリ。それを解決する宇宙の掃除屋を生業とする青年が主人公の物語。

主人公は『木星探査船のクルーになる』という目的のためなら他人を蹴落とすことも厭わない狂犬だったが、周囲の人間との関わりによって、次第に牙は抜けていく。

たった4巻の物語だが、ストーリーの深みと濃密さはただ事ではなく、自分は読むのに1冊1時間くらいかかった。1巻と最終話の主人公の顔つきの違いをぜひ読んで確認してほしい。

『ブルーハーツの“夕暮れ”が流れる話』『弟がロケットを作る話』『バイクで事故ってから犬を拾う話』『ロックスミスの話全般』が特に好き。

また、アニメが漫画と別軸で非常に素晴らしいので必見。欧州版らしく安い。

全巻セット

アニメDVD


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NO.085『へうげもの』

98点

巻数:25
状況:完結
ジャンル:戦国時代,利休バトル,数寄
作者:山田芳裕
掲載誌:週刊モーニング
出版社:講談社

これまでに発表した漫画作品が全て圧倒的に面白いという奇跡の漫画家・山田芳裕先生の個人的最高傑作。戦国時代を描いた漫画は数あれど、古田織部を主人公にした前代未聞の作品。連載第1回を読んだとき、そのスケールのでかさとダイナミックさに卒倒したものだ。

主人公・古田左介は躍進著しい織田家に仕えるも、40歳を前にして今一つうだつの上がらない立場に甘んじていた。しかしあるとき数寄に出会い、その深淵さに魅了され、のめり込んでいくことから人生が変わりはじめる。

読み返してみると、1巻で織田信長・松永久秀・荒木村重・千利休・織田長益ら戦国数寄者トップ10に入る面々から薫陶や影響を受ける展開は見事の一言。あらゆる創作の中で最も千利休が格好良く描かれている作品としても有名。

本能寺の変は、良すぎてショックを受けた。とりあえず3巻までぜひ読んでほしい。

あと、装丁が全漫画作品中、もっとも洒落ておる。下に貼るはKindleリンクだが、紙で揃え、本棚に並べ堪能するがよろしかろう。

全巻セット


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NO.086『HELLSING』

89点

巻数:10
状況:完結
ジャンル:ナチバトル
作者:平野耕太
掲載誌:ヤングキングアワーズ
出版社:少年画報社

よろず物事は徹底すべし、と学べる作品。ここまで堂々とやりきれば歴史に残る。中途半端がなによりいけない。

全巻セット


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NO.087『封神演義』

86点

巻数:23
状況:完結
ジャンル:仙界バトル
作者:藤崎竜
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

全巻セット


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NO.088『ホーリーランド』

83点

巻数:18
状況:完結
ジャンル:ストリートファイト
作者:森恒二
掲載誌:ヤングアニマル
出版社:ジェッツコミックス

いじめられ引きこもっていた少年が、自分の力で街に居場所を作り出すストリートファイト漫画。気弱で自分の意見は何も言えなかった主人公が、徐々に仲間が出来ていく様子は王道的で大変よい。なお、若者たちが主役なのに、突然モノローグ的に作者の自分語りが入りだすので驚く。


全巻セット


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NO.089『マイホームヒーロー』

80点

巻数:10
状況:完結
ジャンル:サスペンス
原作:山川直輝/作画:朝基まさし
掲載誌:週刊ヤングマガジン
出版社:講談社

娘が、実家の財産目当ての半グレに狙われる──から始まる、冴えない父の度を越えた戦いを描く作品。

原作・山川直輝先生による綿密なプロットと、『サイコメトラーEIJI』『クニミツの政』『シバトラ』で知られる朝基まさし先生の流麗な作画のタッグが絶品。家族を守るためだけに半グレと戦い、犯罪に手を染め、警察を敵に回し、新興宗教団体と渡り合う、特別強くも賢くも無い父親の覚悟に揺すぶられる作品。

全巻セット


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NO.090『マスターキートン』

95点

巻数:18
状況:完結
ジャンル:考古学,保険調査,バトル,民俗学
原作:勝鹿北星/作画:浦沢直樹
掲載誌:ビッグコミックオリジナル
出版社:小学館

最も完成度の高い漫画ランキング1位。文句なし。犬に襲われたときの対処法や、寝ずに頑張ることの愚かしさや、戦車の倒し方など日常で役立つ知識も学べる。なにより、危機への対処の心構えをキートンから学んだ人は多いのでは。これは一生ものの財産。

ただ、原作者と揉めたかなんかで、未だKindle版が出てないんですよねえ……まじ勿体ねえ……。


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NO.091『まんが道』

88点

巻数:25
状況:完結
ジャンル:日本漫画史,手塚治虫宇宙
作者:藤子不二雄A
掲載誌:色々
出版社:色々

原稿を落としたときの緊張感は異常。

全巻セット


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NO.092『みどりのマキバオー』

91点

巻数:16
状況:完結
ジャンル:競馬,バトル,友情,号泣
作者:つの丸
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

たぶん、生まれて始めて魂を鷲掴みにされた漫画。最初は絵が汚えギャグ漫画としか思っていなかったが、カスケード登場以降、これは只事ではないと認識を改め正座して読むようになった。1番好きなレースは菊花賞。

マキバオーの周りの大人たちのドラマも見どころで、これは少年期には分からなかった深みがある。八百長編は抱腹絶倒しつつも、そこに生きる人や馬の寂寥には心打たれた。長じてからこそ読み返すべき作品。有馬記念は100%泣いてしまう。

全巻セット


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NO.093『MOONLIGHT MILE』

93点

巻数:23
状況:連載休止中
ジャンル:宇宙SF
作者:太田垣康男
掲載誌:ビッグコミックスペリオール
出版社:小学館

太田垣先生が突然ガンダム作品を描き出し連載がストップしてしまった非業の作品。

しかし、数ある宇宙漫画でも文句なく最高峰。完結ないし連載継続中なら、97点はあった。

宇宙兄弟も度胸星もそうだったが、宇宙に到達したときより、むしろ宇宙に向かっていく過程のほうが熱くなれる。ジョジョ5部アバッキオの同僚の言う、「向かおうとする意思」を体感できる傑作。男は遠くに行くことが役割なのだと理解できる。

全巻セット


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NO.094『無限の住人』

84点

巻数:30
状況:完結
ジャンル:江戸バトル
作者:沙村広明
掲載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社

沙村広明先生の大出世作。

圧倒的画力で描かれるアクションシーンと、センスが極まったキャラクター・ネーミング・ストーリーで全国のサブカル寄り中高生を虜にした。

しかしながら、「月刊誌における長期連載」「途中の加賀編・江戸城編で正直だれた」という人間が続出。ラストがどうなったかを知る者は意外と少ない。自分もそのクチで後半の展開を知らなかったが、中だるみと感じた部分も読み返すと猛烈に面白かった。

現在連載中の『波よ聞いてくれ(NO64)』には、作中最強剣士の転生体が出演していることでも有名。


全巻セット



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NO.095『野望の王国』

100点

巻数:27
状況:完結
ジャンル:ハードコア国盗り物語
原作:雁屋哲/作画:由起賢ニ
掲載誌:週刊漫画ゴラク
出版社:日本文芸社

『美味しんぼ(NO.013)』原作者である雁屋哲先生が若かりし頃に原作を手掛けたハイパーハイテンション作品。

東大法学部を主席・次席で卒業した主人公2人が日本を支配する野望を実現するため、実家の川崎のヤクザを乗っ取ろうと兄弟で争ったり、警察庁のキャリア官僚と殺し合ったり、右翼の黒幕を滅ぼしたり、政財界を牛耳る老人と敵対したり、新興宗教団体の本拠地に攻め込んだりと大暴れする。必要以上に物事やテンションやボルテージを詰め込んだ一大サーガ。

主人公2人は知力も武力も90台後半あるため、普通ならチート作品的に物事を進められるのだが、知力100以上ある敵が2人、武力100以上ある敵も複数いるため毎回グッチャグチャの大変なことになる。物語のテンションで言うと、恐らく日本漫画史上でも屈指。1位かもしれない。

また、『進撃の巨人』においてリヴァイ曹長は唯一の常識人であるため人気を博しているが、本作品においても疋矢さんという唯一の常識人が存在し、物語に花を添えている。疋矢さんだけが良心。

全巻セット


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NO.096『ヨルムンガンド』

86点

巻数:12
状況:完結
ジャンル:女武器商人アクション
作者:高橋慶太郎
掲載誌:月刊サンデージェネックス
出版社:小学館

女武器商人ココ・ヘクマティアルが少年兵を含む8人の私兵と共に世界中を周り、殺し屋集団やCIAや軍隊と交戦しつつ最終目的である世界平和を実現させる物語。

次作『デストロ246』もそうだが、作者の趣味や性癖が「いいの? これ」と心配になるほど濃密に投入され、性質・気質・傾向が一致する人にはたまらない作品となっている。自分も最高に気に入っている。

作中のある主要キャラクターの死亡シーンと、その際のココの表情や内面の吐露には強く心揺さぶられてしまった。

全巻セット



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NO.097『リスキーエッジ』

91点

巻数:10
状況:完結
ジャンル:麻雀
作者:押川雲太朗
掲載誌:近代麻雀
出版社:竹書房

麻雀漫画の傑作。長らく単行本が発売されなかったが、Amazon Kindleでついに読めるように。

「命を削って麻雀を打つ」の描写と緊張感は、たぶん全麻雀漫画のみならず、全ギャンブル漫画中でも屈指。どうにもならない不利・劣勢から勝つために下した決断が、読んでてヒリヒリする。こういう麻雀を打ってはみたいが、死にたくないので打ちたくはない。

全巻セット


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NO.098『ろくでなしBLUES』

84点

巻数:42
状況:完結
ジャンル:ヤンキー
作者:森田まさのり
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

全国の小中高生を、「東京や大阪にはこんな恐ろしい不良が……」と戦慄させたヤンキー漫画。「渋谷は恐怖の街」の印象を受け付けたのは鬼塚の功績が大。大ヒットしたヤンキー漫画の例外に漏れず本作も長編であり、途中でジャンプ卒業などで読まなくなった人は多そう。でろくでなしぶる~ちゅのギャグのキレも凄まじい。

全巻セット


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NO.099『ワールドトリガー』

92点

巻数:21
状況:連載中
ジャンル:SFバトル
作者:葦原大介
掲載誌:週刊少年ジャンプ
出版社:集英社

葦原大介先生のデビュー作『賢い犬リリエンタール』が凄い好きだったので打ち切りになった際は悲しかった。

ジャンプにおいて、デビュー作で得た経験を元に2作目以降で一気に花開く作家は多いが、まさかここまで面白い作品を引っさげて戻ってくるとは想像だにしなかった。

たぶん、ジャンプで初めて、本当の意味での集団戦を面白く描いた作家なのでは。多対多のように描写するも、実際は1対1を複数描いているだけの場合がほとんど。全員の行動に目的と根拠があって、それを読者が理解できるよう分かりやすくしっかり提示している。どういう頭をしていれば、こんなことが出来るのだろうか。単行本でじっくり読みたい作品。

全巻セット


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NO.100『ONE OUTS』

98点

巻数:20
状況:完結
ジャンル:野球,ギャンブル
作者:甲斐谷忍
掲載誌:ビジネスジャンプ
出版社:集英社

野球漫画、ギャンブル漫画、どちらとして読んでも文句なしの大傑作。

プロ野球万年最下位チームに投手として入団した主人公は、

①1アウト取るごとにギャラ500万円獲得
②1失点につき5000万円をオーナーに支払う

という特例のワンナウツ契約をオーナーと直に結ぶ。投げられる球種は120kmのストレートのみ。武器は鋭い、切れすぎる頭脳。

勝つことを諦め、上を狙うことを忘れた腐りきったチームメイトをマキャベリ級の勝負哲学で蘇らせ、リーグ優勝を狙う1シーズンを描いたストーリー。死ぬほど面白い。野球かギャンブル、あるいは両方とも好きなら絶対1回は読むべき。『アカギがプロ野球選手になったら』をテーマに執筆されたことでも有名。チームワークとは、のくだりは衝撃を受けましたね。

全巻セット


以上! 思い出したり、新たに読んだりしたら、100選というタイトルを無視して随時追加していきます!



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