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「バベルの塔(絵画)」を見る時は単眼鏡をお忘れなく。
![](https://assets.st-note.com/img/1712226469039-Gvnnvk5p1u.jpg?width=1200)
最近仕事で「よく見るように」と注意される。
結構あれこれ見落としてしまうことが多い。
ヘマやらかして、お叱りを受け、改善しながら
なんとか日々を送っている。
そのような時に、ふとピーターブリューゲル
という画家を思い出す。え、急すぎないか?
と思われるかもしれないけど。
2017年に大阪の新国立美術館で
「バベルの塔展ーブリューゲル」がやっていました。
一応ブリューゲルのバベルの塔は2種類あり
その時は「小バベル」の方が展示してありました。
その時、メインのバベルの塔を見た時に
思いました。「いや・・・緻密すぎて肉眼で
追いつかんわ・・・」と。多くの人が並んで
いるので係員に前に早く行くように促される。
さてどうしようかと遠く離れて観ていると
二人の婦人が話しており、ひとりは何か
望遠鏡のようなものでバベルを眺めていた。
彼女が眺め終わったのを見計らって尋ねた。
本当に申し訳ないのですが、5分ほど、その
望遠鏡をお貸ししていただけないでしょうかと。
彼女はもちろんと言い、丁重に使い方を
教えてくれた。そしてそれは望遠鏡ではなく
「単眼鏡」というものであるということも
訂正してくれた。VIXENというフランス製の
やつだった。5分と言わずゆっくり観ていらして
ください。ここでゆっくり話しておりますから
とにっこりと微笑まれた。礼を言いバベルを
少し離れたところから眺めることにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1712226506240-weAsbZnaFd.jpg?width=1200)
バベルは細部と全体のバランスが卓越している。
遠くから眺めても構図が完璧だし、近くから
単眼鏡で見ても手抜かりがない。それに憎いのは
彼にはユーモアがある。何人かの作業員は
白いペンキが落ちて来て真っ白くなっている。
天まで届く塔を作ろうとし、神の逆鱗に触れ
塔を打ち砕かれた人間の愚かさを表現して
いるのだろうか。思わずクスッと笑わせられる
描写がブリューゲルの特徴だ。
単眼鏡を返し礼を言い、しばらく眺めていた。
日本の能の世界でも「遠見」と言い、遠くから物事をよく眺めるように説かれていたりする。東西関わらず、芸を極めた達人には共通なものがあるのだろう。近くからよく見ること、遠くからよく眺めること。仕事の中で「よく見る」とは何かと考えた時に、この二つを忘れないようにしている。
![](https://assets.st-note.com/img/1707515099905-zJco9uVdOU.jpg?width=1200)
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