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旅立つ人に

人によっては、気持ち悪い話かもしれない。

今朝、明け方に玄関で物音がして、目が覚めた。

身支度をする音。誰かが、出かける準備をしている。上着を着る音。鞄を担ぐ音。上着というのも、ジャケットというような軽いものではなく、重量感のある感じ。

今日は夫が出張だっただろうか?
夢現で、考えた。夫ではない感じがする。夫は、荷物を多く持つ人ではなくて、3泊の旅行にバックパックひとつで出かける人。
かと言って、息子のような細さがない。もっと重量感のある男性の気配。
そして、もっと重量感のある装備を着ている気配がする。例えて言うなら、甲冑を身に纏うような。

え?

そこで目が覚めてがばっと起きた。
廊下に踏み出したら、そこで寝ていた愛猫を蹴飛ばしてしまって、びっくりするような大きな金切り声をあげられた。

この子、いつもはこんなところで寝てないのに。

玄関には、誰もいなかった。

夫の部屋からは寝息が聞こえ、息子の部屋を細く開けたら、丸くなって眠っている姿が見えた。

夢だった割には、とてもリアルな気配だったけれど。


そこで携帯電話を見たら、多数の着信履歴とLINEのメッセージがあった。
入院している父の体調が急に悪化して、兄たちが病院に呼び出されたという連絡だった。
おやすみモードにしていて、まったく音が鳴らなかったことを、猛省。


幸い、父は一命を取り留めて(何度目かわからないが)、今は意識もはっきりしている。

こんなことを、父が存命のときに書くべきではないのかもしれない。

死に方に、正しさなどはない。

ただ人には、大切な人を適切に見送る義務があるのだと、最近思う。旅立ちの準備をしている人を、どうサポートするべきか。

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