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17歳息子の散歩

平日月曜の夕方、夕飯を作ろうとして、息子の帰りが遅いのに気がついた。

またどうせマックでも寄ってるんだろう、それにしてもまた夕飯いらないとか言わないでほしいなと思いつつLINEをしたら、返事がきた。

「いま、多摩のS駅にいる」

多摩は私にとっては縁の土地なのだけれど、なんで目黒区の高校から大田区の自宅に帰るのに、多摩にいるんだ?

「なぜ今日、S駅にいるの?」

「だって今日、塾ないし」

「なぜ今日?」でなくて、「なぜS駅?」を聞きたいんだが、文脈を読んでちょうだいよ、息子。

「散歩。映画見たら出てきたから」

そういえば、前日ジブリのDVDをわざわざ借りてきていた。あの映画、S駅に主人公が住んでいるのだった。息子からは、続けて多摩丘陵の坂の上から階段を見下ろす夕暮れの写真が送られてきた。


9月に入ったばかりの日曜日に、外出している息子から突然、

「いま日光にいる」

とLINEが入ったことがあった。

なんだかもう、放浪が癖になりつつあって、そのうちとんでもないところから深夜に連絡が来ないかと不安に思う。


高校生もコロナでかわいそう、というのはあるけれど、コロナ以前に、17歳という、あのエネルギーをどこに向けていいのかわからないモヤモヤとした時期を過ごしていて、自分を持て余しているのだろう。

私も確かに、そんな時期があった気がする。

昔すぎて、忘れちゃったけど。


反抗期の文字もなくこの歳まで来ていて、連絡をくれるだけ可愛いというものか。

緊急事態開けたら、どっか連れて行くかな。

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