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たこやき

「大阪では、一家に一台、たこやき器がある」
 初めてそう聞いたのは、いつだったっけ。とても驚いて、大阪出身の人に真偽の程を尋ねまくった。たいてい「そんなことはない」との答え。ところが、「じゃあ、(あなたの)家に、たこやき器、ある?」と聞くと

「ある」

 わたし調べでは、100%「ある」なのだ。まあ、これは、たまたま。実際は、そこまで多くはないだろう、とは思う。けれど、聞く人、聞く人「持っていない家もある(と思う)」と言いつつ、ことごとく「家にたこやき器、あるよ」なのが実に面白い。

 ちなみに、我が家も一応「大阪住み」だが、たこやき器は…なかった。「おうちたこやき」したくて、ほしいとは思っていた。けど、買うには至らなかった。

 ところが、防災士の方と知り合って、考えが変わった。カセットガスを熱源にしたホットプレートが、災害への備えにおすすめだというのだ。たしかに、停電しても調理ができる。もちろん、普段から使える。焼き肉、焼きそば、お好み焼き……みんなで調理しながら食べられる。コンセントの場所を気にしなくていいし、鉄板を外せばカセットコンロとして鍋物をするときにも役立つ。

 買う! ……と決めたときに、目に入ってきた。「この商品を買った方は、一緒にこんな商品も購入していますよ」的な表示が。そして、気がついてしまった。たこ焼き用のプレートを買えば、あこがれの「おうちたこやき」ができるじゃないか!

 こうして、ついうっかり某"密林”の「おすすめ」にときめいてしまい、イワタニのカセットガスホットプレート“焼き上手さんβプラス”と、別売の「たこ焼プレート」を、同時購入。ついに、我が家も「一家に一台、たこやき器」の仲間入りを果たした。

 その日は意外に早くやってきた。土曜日、夕飯。いそいそと仕込みにかかる。刺身用の茹でダコは、一口大。こんにゃくは、タコより小さめにカット。薬味ネギと、紅生姜と、天かすは、今回は入れない。でも、ピザ用のチーズは入れたい。生地もできた。さあ、焼こう!

 熱したプレートに、生地を注ぎ込む。すかさず、タコとこんにゃくと、チーズをIN。じわじわ生地の色が透明感を増していく。端が乾いてきて、パリッとしてきた。ドキドキしながら、竹串で…くるり。回った!回ったよ!もう生地は丸くなっているのに、まだまだくるくるさせたくなる。

 アツアツを、ほおばっては、またくるくる。 たまらないなぁ。