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逃避のためにバナナの皮を踏む

売れるものを作らなくては。
最近その強迫観念がすごい。
ハンドメイドをやる前は自分が好きなように、ただ手の赴くままと言ってもいいぐらい何かを作る時は自由だった。
ハンドメイドをはじめた当初は自分が作ってみたいアクセサリーを作った。
でも段々と技術が上がってきて、他との差別化をはかり、一つの作品としてアクセサリーを売るようになったら、何故かとても窮屈に感じはじめてきた。
まず収支トントンになるってことは絶対に無いし、そうなれば支出が圧倒的に増える。
新作を作って数を打てばという人もいるかもしれないけれど、それをするには圧倒的に収入が足りない。
なるほど。ハンドメイドをする人が仕事と両立しなくては成り立たないっていうのは此処が原因なのか……と痛感しはじめた。
と同時に分かっていたこととはいえ結局売れないとな、というところにいきつく。
売れてくれなければ正直新しい資材も手に入れるのは難しくなる。
それに全部が上手く商品になるとは限らない。
試行錯誤の過程は全部ボツ作品になるのだ。
難しい。
ボツ作品や試行錯誤の研究費用ももちろんハンドメイドの費用から出しているから正直に言えば毎月大赤字もいいところだったりする。
山になる失敗作とゴミ箱へ行くワイヤーの破片と赤字と。
資材が買えないからこそ、少ない材料で売れるものを作らなくてはという強迫観念。
それがずるずるととぐろを巻いて蛇のように足下を這っている。
そのせいかどうしてもペンチを握るのに躊躇するのだ。
ここで新作を生み出すためにどれだけの資材を無駄にできるのだろう。無駄にしてしまうのだろう。
それを考え、結局ものになる商品を作るころには経済的に厳しくなり、またものになった商品も売れなければ意味がない。となると、売れるものを作るというハードルはとてつもなく高いし、ただ作り続けるということができないハンドメイダーにとっては苦しい現状だったりする。
ここのところで新作を作るペースが落ちてるのも、結局はそこが問題だったりする。
かと言って過去作をいつまでも新作です!かのように売ることはできない。
その線引きも考えれば誰かに刺さってくれれば嬉しいが、数多いるハンドメイダーの方達の中から自分のものを手にしてもらおうと思うと容易ではない。
売れるものってなんだろう。
それを考える日々が続いている。
でもこうやって書いてみて思うのは、何だかんだと言いつつ、私は他人にはなれないから他人の趣味なんか分かりっこないという当たり前のこと。分かりきっていたこと。
誰かの目に触れて、それが刺さるまで発信し続けること。
結局はそこにつきるのかもしれない。
ただそこまで私の経済が保つのか。
正直今は分からないし、先が見えはじめてしまっているのが怖い。
きっとこうして創作活動をしている人たちは皆んなこんな金策の不安とずっと戦っているのだろう。
そう思うと尊敬しかない。
お金とか売れるとか汚い話かもしれないけれど切実な問題であり、ハンドメイドを続けていけるかっていう命とりにもなる話だったりする。
暫くは頭が痛いなと思いつつ踏ん張るしかないのかもしれない。
っていう解決策も何もない話だったりするんだけれど、まずは思っていることを書いて不安を和らげたかった。
効果があったかどうかは謎だけれど。
とにかくこれから先も、売れるものを作らなくては。という強迫観念からは逃れられそうにないことは分かった。
バナナの皮でも踏もう。

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