遠くへ行った恋人を訪ねて(前編)【物語と現実の狭間(2)】
彼女は落ち着いた雰囲気だった。
可愛いと綺麗の真ん中にあるような顔立ちだったけど、幼さは感じさせなかった。表情はいつも優しげに笑っている印象で、集団の中で自分を主張することはあまりないのに、その場にいるだけでなんとなくほっとするような存在だった。
それでいていつもどこか遠くを見てるみたいで、矛盾するようだけどそこにいるのにいないような、ひとつフィルターを挟んで世界に存在しているような空気を纏っていた。
彼女はわたしと同じ大学で、同じ学部で、同じ学年で、同じサークルだ