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『都市伝説、徹底考察』「ひとりかくれんぼ」の真相を暴く!!⑤仮説 創作説編

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・特定の団体及び個人を意図的に批判するものではありません。

・この記事に関して損害及び不利益を被っても、またひとりかくれんぼを実行して何らかのトラブルが発生しても、一切の責任を負いません。

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ここからが本題!

 さて、前回まで色々とひとりかくれんぼについて考察してきましたが、それらを元に「ひとりかくれんぼは結局のところ何なのか」ということを考察していきます。


1、何故、問題点が生まれたのか?

 さて、ひとりかくれんぼについて色々考察してきましたが「どうも呪術としては作りが粗く欠陥が多いみたいだ」という事で「実はひとりかくれんぼは素人が作ったエセ呪術なんじゃないか?」という説について考えていきます。
 創作説の根拠になっているのが、前の記事で紹介した儀式としての問題点です。まずはそれについて考察していきます。

・丑の刻参りとの共通点
 まずひとりかくれんぼの元ネタを探る上で欠かせないのが、丑の刻参りです。掲示板や他の考察サイトで比較対象として丑の刻参りがよく出てきますが、これは日本において丑の刻参りが比較にポピュラーな呪術ということだけでは無く、ひとりかくれんぼと丑の刻参りの間に多くの共通点があるからです。

・実行する時間が午前3時からの2時間(丑三つ刻)
・手足のある人形を使う(藁人形の代わり)
・人形の中に身体の一部を入れる(感染呪術の特徴)
・1人で実行する(他人に見られてはいけない)
・刃物で人形を指す(釘を打ち付ける)

 特に「丑三つ刻」や「人形を使った呪術」という共通点からよく関連付けされますが、私としては特に注目すべき点は「人形の中に身体の一部を入れる」と「1人で実行する」の2つの共通点だと思います。本来、ひとりかくれんぼは降霊術という触れ込みで拡散されましたが、この2点についてはあまり降霊術とは思えない部分です。

 ひとりかくれんぼの欠陥についての考察で書きましたが、ひとりかくれんぼのぬいぐるみに関する手順は、厭魅の術における見立ての作り方に近く、依代としての利用には適当では無いと思われます。
 また、中世のヨーロッパで行われていた交霊会は大人数で行われるのが普通ですし、イタコに代表される口寄せも依頼人の目の前で行うのが普通で、都市伝説で代表的な降霊術のこっくりさんに至ってはむしろ1人で行うのは危険とされていて、ひとりかくれんぼは一般的な降霊術とは方法がかなり異なると思います。

 このようにひとりかくれんぼが人形の中に身体の一部を入れる、1人で行うと言ったあまり降霊術とは思えない呪術的な特徴を持ち、降霊の明確な目標が無いのは、ひとりかくれんぼの創作の際に「相手を呪う丑の刻参りの手順をベースにして降霊術を作ったため、厭魅の術と降霊術の要素がごちゃ混ぜになったから」と捉えることができるのでは無いかと思います。


・映像作品からの影響
 ひとりかくれんぼと丑の刻参りには多くの共通点がありますが、全く異なる点もあります。そういった点を並べていくと「テレビ番組や映画による影響」が見受けられるのでは無いかと感じました。

・儀式を風呂場で行う
・降霊術にぬいぐるみを使う
・かくれんぼを模している
・テレビをつける

 儀式を風呂場で行うのは前回の考察で書いた通り、水には幽霊が近づきやすいという俗信は広く知られているものなので、そこから発想を得たと思います。特に映画「リング2」なんかでは、よく幽霊と水の親和性が描写されてたりするんじゃないかなと。

 次にぬいぐるみですが、幽霊の依代に手足のあるぬいぐるみを選んだのはアナベルの人形やロバート人形、稲川淳二の生き人形、髪の伸びる日本人形などに代表される呪いの人形の考え方、「人間や動物を模した人形には魂が宿る」というとこから発想を得たのでは無いかと思います。
 かくれんぼの様式を模しているのは、日本ではかくれんぼと神隠しを結びつける伝承があり、そういったかくれんぼと神隠しを関連付ける怪談や都市伝説から来ているのでは無いかと思います。

だから小学校で試みに尋ねてみても分わかるが、薄暮に外におりまたは隠れんぼをすることが何故に好よくないか、小児はまだその理由を知っている。福知山附近では晩に暗くなってからかくれんぼをすると、隠し神さんに隠されるというそうだが、それを他の多くの地方では狸狐といい、または隠し婆さんなどともいうのである。

引用:柳田國男『山の人生』1926年


さて、考察の上で1番の悩み所であるテレビですが、そもそもテレビが一般家庭に普及したのも戦後の1960年代で、古くから伝わる降霊術やら呪術やらにテレビを用いたものがあるとは考え難く、幽霊やオカルトとテレビを結びつけるとしたら現代の話が主になります。やっぱり貞子ですかね。
だとしたらリングの影響受けまくりですね。

・まとめ
 このようにひとりかくれんぼには「丑の刻参りをベースに、映像やホラー作品から影響を受けて、それっぽい要素をひたすら詰め込んだ」と捉えることができる特徴があります。
 これがひとりかくれんぼが「呪詛術とも降霊術とも取れない、どちらの要素も含んだ不可解な呪術体系」である理由なのでは無いかと。



2、ひとりかくれんぼを創作した人物の特徴と意図は?

 創作となれば、もちろん「じゃあ誰が作ったの?」という話になります。
 ということで、ひとりかくれんぼの手順から、創作した人物の意図や特徴が分かりそうな部分を考察していきます。

・かなり限定的な条件付
 
最初の概要編でも書きましたが、ひとりかくれんぼは従来の降霊術や呪術系の都市伝説とは違い、手順がかなり複雑で手の込んだ作りになっています。禁止事項や手順を見るとひとりかくれんぼを行う条件は

・午前2時という深夜に家に1人で居ること

・風呂場、居間(テレビのある部屋)、隠れられる隔離された空間という3つの別の空間があること

・ぬいぐるみ、米、刃物、針、赤い糸などの道具を揃えられること

といった条件が必要です。おおよそ実家暮らしの学生や家族の居る社会人はまず最初の「午前2時という深夜に家に1人で居ること」という条件のクリアは難しいと思いますし、上記の条件を全てクリア出来るとしたら「アパートなどで一人暮らしをしている」という人に限定されてくると思います。端的に言えば「子供にとっては実行しづらいもの」と言えるのでは無いかと。

 本来であれば都市伝説として広まるものは基本的に口承でありテキスト化されにくいため、手順が簡単で実行しやすい、伝えやすくストーリー化されていると言った特徴を持つものが多く、創作者がただ広めたかっただけであるのなら、ここまで複雑な手順にはならないと思います。

以上の事から、ひとりかくれんぼが複雑な手順になっているのは3つの理由があると思います。

・簡単に実行されたくなかった
 
これは実行されてしまうと「実際には何も起きない」とバレてしまうから。

・リアリティを出すため
 
丑の刻参りのように複雑な手順を踏み、他の都市伝説とは違う本物であると信じ込ませるため。

・そもそも口承する気がない
 最初からテキスト化した状態で広めるつもりだったため、付随するストーリーも無くただ手順だけが伝わる形となった。


・オカルトに詳しい
 前述で「映像やホラー作品から影響を受けた、それっぽい要素をひたすら詰め込んだ」と言いましたが、ひとりかくれんぼを作るには少なくとも次の要素を知っている必要がなります。

・丑の刻参りについての知識
・人形には魂が宿りやすい
・水と幽霊の親和性が高い
・テレビが霊道や異界の入り口となる
・かくれんぼが神隠しと関連性がある

 これらの内、特に太文字の「丑の刻参りについての知識」と「かくれんぼが神隠しと関連性がある」2つの点については、オカルトに詳しくないと知らないと言えるのではないかと。
 また現状で確認できる発祥が2チャンネルのオカルト掲示板であることから、スレが立つまではひとりかくれんぼ自体は口裂け女やこっくりさんの様に広まってはいなかったという点も、最初に書き込まれるまでは都市伝説や怪談に興味のある人物でなければ知らなかった、と言えるのでは無いかと。


・まとめ
以上の事から、考えられるのは

・ひとりかくれんぼの制作者はホラー映画や怪談、都市伝説に対して興味があり、オカルトに詳しい人物である。

・元々口承では無く、テキスト化した上で広める前提のため、手順を複雑化させてリアリティ出した。
また、簡単に実行されてしまうと偽物とバレるため、条件を増やして実行できる人数を少なくした。

と言ったことが考えられると思います。


3、誰が作ったのか?

 じゃあ「ひとりかくれんぼ誰が作ったのか?」という話になりますよね。1番考えられる人物はやはり「最初にひとりかくれんぼを書き込んだ人物◆iwr.CbaKEE」となると思います。
最初の書き込みの詳細は①概要編をご覧下さい。


 そもそもオカ板住人ですし、2chで書き込む前提であればテキスト化の前提が成り立ちますね。
 ただ最初に書き込んだ人物が創作者とした場合は、2007年当時の考察班である「太郎丸氏」のフィールドワークによる情報と、多人数かくれんぼの情報を書き込んだ「多人数氏」の「近畿地方でひとりかくれんぼがこっくりさんと同様の降霊術として噂されていた」という話も全てデマである、としてしまう問題があります。
 
でも言っても、まぁ十分に便乗したとか創作者と同一人物という可能性はあるので、大した問題でもない気はします。当時から「太郎丸氏=◆iwr.CbaKEE」ではないか?という話は出てましたし。


4、結論

ということで、創作説の結論は

 ひとりかくれんぼが呪詛術とも降霊術とも取れる中途半端な体系を持つのは、オカ板住人で最初にひとりかくれんぼの手順を書き込んだ「◆iwr.CbaKEE」氏の創作でなんらかの宗派や思想に基づく物では無いからであり、実際には効果のない嘘っぱち呪術である。

ということになります。

 ということは、ひとりかくれんぼを実行して怪奇現象にあったとかいう当時の勇者やYouTuberやブロガー、辛気臭い顔して「これはヤバい」とか言ってる自称霊能者は全員……

「うっわー、何言っちゃってんのー?ひとりかくれんぼなんてぇー、やったところで何も起きるわけないのにねぇー。
こんなの信じて許されるのは小学生までだよねぇー。
こんな嘘っぱちの降霊術なんかに騙されてやんのー、やーいやーい、バーカバーカ♪アホ丸出しー♪」

ということになりますね。

以上が一つ目の仮説である「創作説」になります。
でもこれじゃあロマンがありません。
ということで、次回は別の仮説「式神説」について解説していきます。

ここまで読んでいただき、有難うございました。


※参考文献

・2ch(現5ch)『【降霊】検証実況スレ本館【交霊】part1〜37』2007年〜2010年

・778氏『778氏まとめサイト』
http://hitorikakurenbo778.web.fc2.com/main/index.html

・柳田國男『山の人生』1926年

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