【忌録考察】忌避(仮) 前編 情報整理


※注意

・「忌録: document X」のネタバレを含みます。
・「忌録: document X」考察まとめを参考にしながら、私個人が考察した内容です。異論は認める。
・「忌録: document X」の「忌避(仮)」に関する考察です。
・考察元の作品はこちら
「忌録: document X」

‪「忌録: document X」考察まとめ - Togetter


・他のはこっから


◯登場人物

・高村さん(仮名)
 
沖縄のノロ。坂本夫妻の依頼で口寄せを行う。1回目では失敗し腕に打撲を負い、2回目で錯乱した藤波に殺された描写がある。ミフシは普賢菩薩。メール本文では奄美の一字姓である事が言及されており、本名は高村ではない。

・坂本康義(仮名)
 坂本清美の父。一家で東京から糸満市の幽霊屋敷に引っ越してきた人物。1回目の口寄せ時には無傷で、2回目の口寄せ時には娘の清美をおぶって参加している。2回目では筆者を殺害したと考えられる。メールではO夫妻と呼ばれており、移住してからは夫妻の仲が険悪になった様子。
 忌避.docによれば8月の半に仕事が決まるも、その後は怪奇現象に悩まされ、T氏に対してたびたび「この家は呪われている。それでなければ、僕の頭がおかしくなってしまった」と発言している。

・坂本真沙美(仮名)
 坂本清美の母。1回目の口寄せ時に30針以上を縫う怪我を負う。2回目の口寄せ時には不参加。メールではO夫妻と呼ばれており、移住してからは夫妻の仲が険悪になった様子。
 忌避.docによれば8月16日に最初に怪奇現象にあった人物で、清美のお友達に関する話を最初に聴いたのも真沙美である。

・坂本清美(仮名)
 坂本夫妻の一人娘。小児喘息を患っており、沖縄に移住してからは良くなったものの、夜中に起き出しては「お友達」と呼ぶ何者かの声を聞く様になった。
 口寄せ時には体調不良で布団で寝ていたが、1回目
の口寄せで昏倒し、2回目の口寄せで藤波に殺された描写がある。

・坂本まや(仮名)
 高村曰く、お友達の正体であり清美の姉で故人。詳細は不明。

・藤波さん(仮名)
 口寄せに立ち会った人物。糸満市幽霊屋敷騒動の最初の筆者。口寄せには1回目、2回目共に参加しており、2回目では錯乱状態になり、高村と清美と殺害した様子。坂本康義に殺害されたと思われる。

・信田
 2人目の筆者と思われるライター。糸満市幽霊屋敷騒動に関する記事を書いているライターで、編集部の人間と思わしき人物とのメールのやり取りが載っている。
 糸満市の幽霊屋敷には廃墟になってから訪れており、写真も撮影している。

・メール返信者
 信田とやり取りしている人物。おそらく出版社の人間と思われる。心霊スポットに取材しに行ったりもしており、信田の記事を掲載するために糸満市幽霊屋敷騒動について調べたりしている。
 ちなみにメールアドレスが違うため、2人いる可能性もある。

・O夫妻
 2001年7月に幽霊屋敷を内見して、東京から沖縄に移住した人物。ほぼ確定で坂本夫妻。

・オカルトライターM
 出版社Tのオカルト関係のライター。実話と銘打ってまぁ酷い記事を書いているとのこと。実話ナッ◯◯ズかな?O夫妻に頼られ専門家のFを紹介し、フロッピーディスクを編集部に送りつけた後、失踪した。
 最初の筆者であると考えられるが、藤波と同一人物かは不明。

・専門家であるF氏
 MがO夫妻に紹介した人物。信頼できる人物をO夫妻に紹介した。

・不動産会社G
 幽霊屋敷を管理していた那覇市の不動産屋。

・デイビス・カレン
  糸満市幽霊屋敷のO夫妻の前の前の元住人。オリバーの妻で、1976年、新婚初夜に夫のオリバーが死亡し、バスルームで後追い自殺をした。

・デイビス・オリバー
 糸満市幽霊屋敷のO夫妻の前の前の元住人。カレンの夫で、1976年、新婚初夜に死亡した。

・T氏(H・T氏)
 女性。2月13日に28歳で死亡しており、糸満市幽霊屋敷騒動に関わっていた人物。津田信より取材を受けていた。取材より2日後に交際相手に刺されて死亡。

・リフォーム業者
 坂本夫妻の依頼で糸満市の幽霊屋敷をリフォームした業者。リフォーム時に数々の災難に見舞われ、その後に倒産したとのこと。社長一家も夜逃げしたらしい。

・津田信(ツダマコト)
 2年前に消えた謎のライター。糸満市幽霊屋敷騒動を記事にしようと調査しており、取材に行くと行って出て行ってから消息不明。旅先から忌避(仮)のフロッピーディスクを編集部に送りつけた。
 沖縄に取材に行っており、廃墟になった糸満市の幽霊屋敷を訪れている可能性がある。また関係者のH・T氏に取材を行った人物。

・編集部
 津田信の忌避(仮)のフロッピーディスクをお蔵入りから引っ張り出してきた人物。津田信と面識はないらしい。


◯時系列

・1976年
 デイビス夫妻が幽霊屋敷で死亡。

・1996年3月16日
 記事が2部コピーされる。

・2001年7月
 坂本夫妻が糸満市の幽霊屋敷を内見。リフォーム業者がリフォームを開始。

・2001年8月
 リフォームが完了し、8月初めに坂本一家が入居。
 16日の夜中に奇妙な出来事が起き、翌日から悪臭がする様になる。ポルターガイスト現象が現れ始め、8月末には台所で蝿が大量発生。

・2001年9月6日
 バーニーが行方不明に。
 宮古島近海で台風16号が発生

・2001年9月7日
 第1回 口寄せ。落雷で木が裂け、坂本真沙美が30針を縫う怪我。
 台風16号、沖縄本島南部を横断、本島南東の海上で停滞。

・2001年9月8日
 第2回 口寄せ。
 台風16号、再び本島南部を横断。

・2001年9月9日
 Mのフロッピーディスクのデータが作成されている。
 台風16号、本島を離れて北西へ。

・2001年9月10日
 記述無し。

・2001年9月11日
 台風16号、方向を変えて久米島へ。

・2001年9月12日
 Mがフロッピーディスクの入った封筒を投函。(消印が2001年9月12日)
 台風16号、本島に接近。

・2001年9月13日
 台風16号、台湾方面へ。

・2003年3月1日
 信田から返信者1へメール(受信箱76)

・2003年3月3日
 返信者1から信田へメール(受信箱76)

・2003年3月10日
 返信者2から返信者1へメール(受信箱83)
 返信者2から返信者1へメール(受信箱84)

・2003年3月12日
 信田から返信者1へメール(受信箱88)
 返信者1から信田へメール(受信箱88)

・詳細時期不明
 T氏に取材をした人物が、糸満市の幽霊屋敷を訪れる。(忌避.docの筆者)
 T・H氏の死亡年(跋文.docに2月13日とある)
 ツダマコトのフロッピーディスクを、お蔵入りの資料庫から出してきた年。(ツダマコトの失踪から2年後と言及あり)

◯場所について

・糸満氏の幽霊屋敷
 舞台となる糸満市に民家。那覇市からレンタカーで1時間の場所で、田園風景の中に高い木立に囲まれているという奇妙な立地。

・T**社
 01.doc内に見える社名。01.docの筆者が自分の体験した怪奇現象を元にして書いた記事を掲載する予定だった様子。

・N**病院
 1回目の口寄せ後、坂本真沙美・清美の母子が運び込まれた病院。

・神保町
 メール本文76内に見える町名。信田とメール返信者が打ち合わせを行った場所。東京都千代田区にある神田神保町か?

・打越橋
 メール本文76内に見える。実際に存在し、神奈川県横浜市にある。心霊スポットになっている橋。

・虹の大橋
 メール本文76内に見える。実際に存在し、神奈川県相撲原市にある。心霊スポットになっている橋。

・東京都小金井市
 新規ドキュメント.texの糸満市資料編7と琉球国由来記の記事を2部コピーした日付についている住所。

・武蔵小金井駅前の喫茶店「ペリーヌ」
 津田信がT.H氏に取材した喫茶店。実在していた喫茶店だが、2016年に閉店している。正しい店舗名は「カフェ.ド.ペリーヌ」で、南口から徒歩5分のところにあった。

◯筆者について

・フロッピーディスクは、少なくとも2枚ある

 考察無しに忌避(仮)を読み進めていくと、オカルトライターMが編集部に送りつけたフロッピーディスクと、津田信が編集部に送りつけたフロッピーディスクの2枚が存在する事になると思う。
 根拠は「受信箱88」の中で問題のフロッピーディスクに言及している。2001年9月12日の消印でオカルトライターMがフロッピーディスクを投函したというところ。メール自体2003年のものだし、これがオカルトライターMのフロッピーに入っていたとは当然思えない。
 ということは、それ以降の資料などは津田信のフロッピーディスクに入っていたものだろうと考えられる。オカルトライターMのフロッピーを元に、津田信が記事を書いて忌避(仮)のフロッピーディスクを作成した、ということになりそう。(ただし、少し考察の余地あり。後でまとめるよ)

・作中の文章を書いた人物

 まずはオカルトライターM。そして津田信。信田という人物がメール内で、記事を書いた事を言及しており、さらに津田信のフロッピーディスクを見つけた編集部の人間が「本稿を掲載するにあたって.tex」を書いたと考えられる。
 「01.doc」を信じれば、体験を元に書いたのだから藤波(仮名)も筆者であるが、藤波は仮名で前述の誰かが当てはまるはずという事で、藤波(仮名)は頭に含めない。
 素直に読めば、オカルトライターM、津田信、信田、編集部の4人の人間が書いた文章が存在し、素直にいけばこうなると思う。

 01.doc → ライターM
 20010907.doc → ライターM
 20010908a.doc → ライターM
 ポルターガイスト.tex → ?
 メール本文(受信箱_76).tex → 信田
 メール本文(受信箱_83).tex → 信田
 メール本文(受信箱_84).tex → 信田
 メール本文(受信箱_88).tex → 信田
 液状化現象.tex → ?
 沖縄地方とその周辺の地震活動.jpg → ?
 忌避.doc → ?
 新規ドキュメント.tex → ?
 新規ドキュメン(3).tex → ?
 低酸素症.tex → ?
 本稿の掲載にあたって.tex →編集部
 未)20010908b.doc → ライターM
 迷走台風16号の動き.jpg → ?
 跋文.doc → 津田信
 DSC00037.jpg → ?

 「01.doc」の話を信じるなら、心霊現象を体験した人間が記事を書いた事になるから、信田も津田信も編集部も当事者では無いし、残るは最初にフロッピーディスクを残したオカルトライターMなので、特に考察もなく考えれば、藤波はオカルトライターMになりそうなきがする。
 メール本文はいずれも受信箱なのだからメールを返信された側、即ち信田が入れたと考えるのが普通で、「跋文.doc」は津田信と書いてあるし「本稿を掲載するにあたり.tex」は編集部の人間で間違いなさそう。
 問題は確定しているもの以外の資料と「忌避.doc」で、これが津田信なのか信田なのかが分からない。2人ともオカルトライターMの話を元に調査をし、沖縄に取材に行っている人物で、資料を入れたのがどちらとも取れる。
 信田と津田信が同一人物なら話は簡単で、そういった考察も見られるが、実はそうすると色々問題が出てくる。これについては人物の考察で。
 

◯不明点の洗い出し

 忌避(仮)の中には矛盾とかではなく、よく分からない部分が存在する。それを洗い出していく。これ以外にも何かあったら、コメント欄によろしくお願いします。

・「新規ドキュメント.tex」について

 まず「糸満市史(資料編7) 戦時資料」と「琉球国由来記」について、これらは実際に存在する。
 「糸満市史(資料編7) 戦時資料」は糸満市発行のもので、上巻が2003年12月26日発行、下巻が1998年11月30日発行となっている。
 「琉球国由来記」は琉球王府が編纂させた地誌で、琉球王府に献上されたのが1713年と古い資料である。

 信田とメール返信者のやり取りの中でこの本の名前が出てくるが、確かに彼らが資料を探したであろう2003年3月時点では、「糸満市史(資料編7) 戦時資料」は下巻のみ発行されており、上巻はまだ発行されていなかった。
 問題は1996年3月16日という謎の日付。これが意味がわからない。記事をコピーした年月日に見えるが、そうなると発行日が合わない。
 一番近いのは糸満市と立命館大学説話研究会が発行した「沖縄・糸満市の昔話」という書籍で、1996年3月29日に発行されたものがあるが、これでも合わない。謎である。

・唐突な英語の本

 忌避.docで廃墟になった家を探索中に出てきた「ROMAN RITUAL CHRISTIAN BURIAL,EXORCISM,RESERVED BLESSINGS,ETC」
という本。翻訳したらすると「ローマの儀式によるキリスト教の埋葬、悪魔祓い、予定された祝福、など」となった。
 調べてみると実際にある書籍の名前で、要はそういうキリスト教の儀式的な事が載っている本ということだそうな。
 持ち主として怪しいのはデイビス夫妻だが詳細についてはわからず、信田も触れてはいない。

・信田とメール返信者のやり取りについて

 見れば分かるが忌避(仮)に収録されているメールは抜けがある。
 まずは「メール本文76」にある信田が登記簿を調べていて分かった面白い事について、これが何かという言及がなく、「メール本文88」の信田が思いついたホラー作家になれると評される説も、台風以外についてはどういったものかは言及されていない。
 現状では信田の書いた原稿がどれなのかが分からないため、この辺りの話が信田の原稿を割り当てるキーになりそうだが。

・最後の写真

 忌避(仮)にある最後の写真。これはおそらく「メール本文76」で出ている、信田がメール返信者に送った「例の一枚」なんだと思う。
 問題は何故この写真を送ったか。データが消える原因となった「撮った覚えのない黒い写真」は、メール内容から察するに消えてしまった様子で、この写真は黒い写真ではないと考えられる。では、この写真は何なのか。これについては言及されておらず、謎。

・坂本まやとは

 1回目の口寄せ時に高村(仮名)によって言及された、清美の姉。既に故人なことは分かるが、あれこれ調べている信田が実在不在含めて触れていないのが不思議である。

・藤波(仮名)の読者を欺く仕掛け

 「01.doc」にある様に、何らかの仕掛けをしたとある。これが何かというのが、また一つ謎を解くキーになる。
 前提として「01.doc」は記事に掲載されるはずの文章だったはずで「記事に掲載される内容に、何らかの嘘や創作がある」と考えるのが妥当で、具体的には「20010907.doc」「20010908a.doc」「20010908b.doc」の中に仕掛けがあると考えるのが自然だと思う。

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