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【SPY✖︎FAMILYの作者】遠藤達哉先生の経歴|19年間の苦悩を経験し看板漫画家へ

こんにちは。Saraです。

今回ご紹介するのはアクションホームコメディ漫画「SPY×FAMILY」の作者として有名な遠藤達哉先生です。

「SPY×FAMILY」は、2019年から「少年ジャンプ+」にて連載が開始され、2022年現在までのコミックス累計発行部数は「ジャンプ+」作品史上初となる1,250万部を突破。

「このマンガがすごい!」を初めとする数多くの賞を受賞し、2022年4月からは待望のアニメ放送がスタートするなど、名実共に「ジャンプ+」を支える看板漫画として人気を博しています。

そんな遠藤先生ですが、漫画家としての確かな実力を持ちながら、デビューしてから2度の短期連載を経験しており、

一時は漫画が嫌いになり、漫画を描くことができなくなってしまった時期もあるなど、

「SPY×FAMILY」の連載に至るまでには、漫画家として多くの苦労を重ねてきた遅咲きの漫画家さんでもあります。

今回は、そんな苦労人である遠藤達哉先生の経歴や、「SPY×FAMILY」が誕生するまでの経緯についてご紹介していきます。

動画版はこちら。

経歴

1980年7月23日生まれ、茨城県出身。

幼少期から絵を描くことが好きだった影響から、小学生の頃には既に漫画家を目指しており、

初めて描いた漫画は、「ドラクエのスライムが4本足で戦っているバトル漫画」だったそうで、

この頃から「ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場」に自作の4コマ漫画の投稿を始めます。

ちなみに、中学生になると「将来絶対にコミックスが出るから買ってね」と周りに宣言していたそうですね。

そして、高校生になると初めて本格的にストーリー漫画を制作し、高一の冬休みにジャンプのストーリキングに作品を投稿します。

その後も3ヶ月に1本のペースで漫画制作と投稿を続け、高2の時に3作品目となる漫画が編集部から評価され、初めて担当編集が付くことになります。

遠藤先生は「一応大学には行っておかないと...」との思いで美大を記念受験しましたが、漫画制作に夢中で受験対策はしていなかったため、一般の大学を目指して浪人することになります。

そして、浪人中に制作した読み切り作品「西部遊戯」で第5回ストーリーキング漫画部門準キングを受賞。

これがそのまま「赤マルジャンプ」に掲載され、浪人中に漫画家デビューを果たします。

続けて、後に連載となる読み切り作品「月華美刃」を週刊少年ジャンプにて掲載。

「月華美刃」の読み切りを掲載した後も漫画制作を続け、いくつかの読み切り作品を掲載しますが、

デビューしてからは無理やり漫画を描いている辛い期間が続き、しばらくは漫画が嫌いになってしまったそうですね。

そして、デビューから7年後の2007年から「ジャンプSQ」にて特殊能力を持つ殺し屋の少女を主人公としたサスペンス漫画「TISTA」の連載をスタートさせます。

TISTA

「ジャンプSQ」で連載された「TISTA」ですが、殺し屋が主人公とのこともあり、犯人を銃殺する描写や残虐描写も多く、

また、児童虐待を含む社会問題を題材として取り込んでいたことから、少年誌よりかは青年誌に近い内容となっており、

「SPY×FAMILY」のようなコメディ要素はほとんどなく、シリアスな展開が特徴の漫画となっています。

「TISTA」について遠藤先生は、後に「終始鬱々とした内容で拙すぎてお恥ずかしいが思い入れのある作品」と振り返っていますね。

ちなみに、「TISTA」が連載となるタイミングで現在の担当編集でもある「林士平さん」と出会い、「TISTA」がNYを舞台にした作品だったこともあり、

取材と担当編集と交流を深める目的も込めて、連載前に林さんとNYに取材旅行をしたそうですね。

そんな初連載作品となった「TISTA」ですが、残念ながら2007年~2008年までの約1年間、全9話・全2巻と比較的短く連載が終了してしまいます。

「TISTA」の連載終了後は、「青の祓魔師」の作者として有名な加藤和恵先生の元でアシスタントを勤めながら漫画制作を続け、

2010年から、デビュー直後に掲載した読み切り作品を基に「ジャンプSQ」にて和風ファンタジー漫画「月華美刃」の連載をスタートさせます。

月華美刃

「月華美刃」も、前作の「TISTA」と同様、「強い女性」が主人公のシリアスかつシビアなストーリー展開が特徴の漫画であり、

キャラクター・ストーリー共に非常に引き込まれる設定で、中でも遠藤先生の圧倒的な画力による躍動感溢れるシーンや、バラエティ豊かなキャラクターの表情などが魅力となっていましたが、

「月華美刃」は「王道少年漫画」でありながらいわゆる「読者を選ぶ漫画」であったため、爆発的な人気漫画とはならず、

残念ながら2010年~2012年までの約2年間、全5巻とこちらも比較的短く連載が終了してしまいます。

苦境時代~SPY×FAMILY誕生

 「月華美刃」の連載終了後、2度の短期連載により遠藤先生は「連載」に対して前向きになれず、しばらくの間は連載企画を立てることができず、

「チェンソーマン」の作者として有名な藤本タツキ先生や「地獄楽」の作者として有名な賀来ゆうじ先生の元でアシスタントを勤めることになります

担当編集である林さんは、成功する確かな実力を持っていながら、連載に前向きになれずにいた遠藤先生を励ましつつ、適度に刺激する程度にプレッシャーをかけながら、根気良く支え続けていたそうで、

この時の林さんについて、遠藤先生は後に、「漫画を描けなかった頃は、ご飯に連れて行ってもらってただしゃべるだけの時もあり、それだけでも支えられたし、ありがたかった」と振り返っています。

ちなみに、漫画が描けない時期に、リハビリ的に「pixiv」に絵を投稿していたりもしたそうですね。

そんな生活を送りながら、1~2年に1本のペースで読み切り作品の制作を続け、その中の1つであるスパイを題材にした読み切り作品「I SPY」が読者から好評を博し、

また、遠藤先生自身も「正体を隠しているもの」を描くのが好きだったことから、

ここから「スパイ」をテーマにした別作品を連載用に制作する方向へとシフトしていきます。

「I SPY」はコメディ要素が強い読み切り作品でしたが、

遠藤先生は元々、シリアスな漫画を描くのが好きだったため、初めは連載用に「シリアスなスパイ漫画」を制作しようと設定を考えていました。

しかし、「シリアスなスパイ漫画」の設定が中々できず、行き詰まったまま担当編集との打ち合わせ前日を迎えてしまい、

「明日打ち合わせだから何か作らなきゃ...」とやっつけ的に作ったのが「I SPY」と同様、コメディ要素が強い「SPY×FAMILY」の前身となるプロットだったそうです。

また、遠藤先生の過去の連載作品は、どこか尖ったストーリーかつダークな世界観が持ち味となっており、コアな漫画ファンには厚く支持されていましたが、どうしても「読者を選ぶ漫画」であったため、

万人受けしてコアなファンを超える読者を掴むために、担当編集と試行錯誤した結果、プロットを基に「コメディ」を軸としたスパイ漫画を練り上げることになり、

そこから「SPY×FAMILY」の誕生へと繋がっていきます。

ちなみに、「I SPY」の他にも、以前手がけた「煉獄のアーシェ」と「石に薄紅、鉄に星」の計3つの読み切り作品の要素を組み合わせて「SPY×FAMILY」は誕生したそうですね。

こうして誕生した「SPY×FAMILY」を連載用に練り上げ、2019年から「少年ジャンプ+」にて連載をスタートさせます。

ちなみに、担当編集は当初は、週刊での連載を打診していたそうですが、

遠藤先生の「週刊連載はきつい...」との意向により、

最終的に自分のペースで執筆できる「ジャンプ+」での連載となったそうですね。

SPY×FAMILY

「SPY×FAMILY」はスパイアクションとほのぼのとした家族愛を掛け合わせたアクションホームコメディ漫画ですが、

遠藤先生自身は「家族もの」を描こうという意識は全くなく、「正体を隠している3人」という設定を使って面白いコントを描いている内に、結果的に「家族もの」になっていったそうです。

また、「SPY×FAMILY」を描くにあたり、徹底して「コメディ漫画」ということを意識しているそうで、

例えば、遠藤先生は「考え込むクセ」があり、気を抜くとどうしてもシリアスな展開になってしまうため、「SPY×FAMILY」の製作中は作業机に「暗いの禁止」と書いた貼り紙をして作業をしているそうですね。

また、遠藤先生は、過去の回想シーンを出して「ドラマ」を作ろうとする癖があるそうですが、

回想を出すと設定に練りが出てしまったり、話が重くなってしまったりしてしまうため、「SPY×FAMILY」ではシリアスにならないように、極力現在進行形のドラマを描くように意識しているとのことです。

ちなみに、遠藤先生が一番好きな漫画は西森博之先生の「今日から俺は!!」だと語っており、

「今日から俺は!!」の「かっこいい主人公による人間味のある豊かな表情」には強く影響を受けているそうで、

「SPY×FAMILY」のロイド、ヨル、アーニャが魅せる豊かな表情は、「今日から俺は!!」の影響が大きいとのことです。

また、序盤から登場する3人の主要キャラクターは、

「スパイ」と「超能力を持った小さな女の子」というのは初めに決まって、必然的に母親役も必要だろうと考え、最終的にはネームで動かしていくうちに現在のロイド、ヨル、アーニャの形になったそうです。

また、「月華美刃」の時にキャラクターデザインをガチガチに硬めすぎたせいで、描くときに大変な思いをしたらしく、

その反省を活かし、「SPY×FAMILY」のキャラデザはコメディということもあり、「分かりやすさ」を重視したシンプルな絵柄を心がけているそうですね。

遠藤先生は、「SPY×FAMILY」の連載に至るまで漫画を描いていて辛い期間が長く続いたが、「SPY×FAMILY」を連載している最近は辛くなくなった。」と語っています。

そんな苦悩の末に誕生した「SPY×FAMILY」は、2019年から「少年ジャンプ+」にて連載をスタート。

遠藤先生の圧倒的な画力によるスパイアクションをベースに他人同士が互いに秘密を持ちつつ「本物の家族」になっていく過程を丁寧かつコメディタッチに描き、

1話が公開されるとすぐさま話題沸騰の漫画となり、コメント数は「ジャンプ+」史上初の2000件越え。

「このマンガがすごい!2020オトコ編」の第1位にランクインし、

現在までのコミックス累計発行部数は「ジャンプ+」作品史上初の1,250万部を突破するなど、名実共に「ジャンプ+」が誇る大人気看板漫画となりました。

2022年4月からは待望のアニメ放送が予定されているため、まだまだ「SPY×FAMILY」の勢いは続きそうですね。

まとめ

今回は、「SPY×FAMILY」の作者として有名な遠藤達哉先生をご紹介しました。

確かな実力を持ちながら、2度の短期連載と漫画が描けなくなる苦悩を経験した末に、爆発的な人気漫画を生み出した遠藤先生。

遠藤先生はインタビューで担当編集の林さんへの感謝を度々発言しており、

また、「一番楽しいのは担当編集との打ち合わせやしょうもないネタを出し合っている時」と語っているため、

「SPY×FAMILY」が大ヒット漫画となったのは、担当編集である林さんの存在も大きかったと言えますね。

今後の連載での展開と共に4月からのアニメ放送も非常に楽しみです。

最後までご視聴頂きありがとうございました。

またね。

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