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【旧枠モダン】君たちは《正義の命令》とどう生きるか(ウェイク編)


これまでのあらすじ

 令和6年5月28日。
 旧枠モダン村に激震走る。

 モダンホライゾン3にて、《正義の命令》、旧枠モダンリーガル化。

おまけにアンコ落ち

 MTGおじならば、《正義の命令》がどれほど強力なカードだったかはよく知っている。
 当時のオンスロートブロック構築から果てはレガシーまで、白を含むコントロール系デッキでフィニッシャーを務めたカードだ。
 「おじいちゃん、そんな昔の話されてもよくわかんないよ」
 オーケー、それもそうだ。何せ《正義の命令》が刷られたのは2003年5月、今の未成年はまだ生まれてもいない昔だ。
 ならば現代マジックっ子にも伝わるように喩えよう。

 平和で牧歌的な旧枠モダン村に《サメ台風》が攻めてきた!

MTGおじ曰く令和の正義の命令

 現在のパイオニア環境でも青系コントロールデッキにてバチバチに現役で使われている令和のカード、《サメ台風》。
 トークン生成がサイクリング時誘発故に対処方法が限られており、インスタントタイミングで相手のエンドステップにマナを注ぎ込んで大型の飛行トークンを生み出す動きは現代マジックでも強力だ。
 《正義の命令》は、平成の《サメ台風》なのだ。
 トークンのサイズや数、素撃ちした際の挙動の差などテイストは多少違えど、《正義の命令》は《サメ台風》の元祖と呼べるカードだ。
 そんなカードが旧枠モダン村に突然現れた。当然激震も走ろうというものだ。
 全カードリスト公開後、旧枠モダン民の有志による「新たに旧モリーガル化したカード評価」の点数表では概ね5点満点中8点
 他とは明らかに一線を画するカードだった。
 これまでのモダンホライゾンでも、1では《嘘か真か》、2では《対抗呪文》と、旧枠モダンの環境を大きく塗り替えるカードの収録はあった。しかしそれらを上回る衝撃が、《正義の命令》には間違いなくあった。

 これ以上はやめておこう。語るも野暮というもの。
 強さは《正義の命令》自身が結果で証明することだろう。

で、実際のところどう使うか

 《正義の命令》。間違いなくモダホラ3後の旧枠モダンを牽引するであろうカード。
 それをどう使うか考えるのが旧枠モダンの醍醐味でもある。
 MTGおじならば《正義の命令》と組み合わせたいカードなど一択だろう。ちょうどお誂え向きに、かつての相棒もモダホラ2にて先んじて収録済みだった。

かつての相棒

 そう、ウェイクである。世界選手権03ではTOP8の内半数をウェイクが占め、決勝戦もウェイク同士のミラーマッチだった。(参考:mtgwiki:ウェイク→ http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF
 間違いなく当時世界最強だったデッキが旧枠モダンにて再現可能となれば、自分のようなMTGおじはまず組んでみるはずだ。

 ちなみに当時の世界選手権優勝デッキがこちら。

金枠による製品化もされている


ウェイク、ありかなしか

 世界選手権03を制した当時のウェイクを、旧枠モダンリーガルのカードにとりあえず置き換えて組んでみたリストがこちらである。

 何を何に置き換えたかは概ね理解してもらえるだろう。
 カウンターもドローも時間稼ぎもクリーチャー除去も、当時のパーツより強力なものに置き換えている。
 《狡猾な願い》によるサイドボードからのシルバーバレットが再現できなかったが、そこは《嘘か真か》との相性を考慮し《新たな芽吹き》を採用した。
 《ミラーリの目覚め》設置後の膨大なマナから《新たな芽吹き》を《ミラーリ》でコピーし、《対抗呪文》《嘘か真か》《オアリムの詠唱》《正義の命令》あたりをぐるぐると回収するループに入れば勝利である。

 間違いなく、このタイプのウェイクこそが次の旧枠モダン環境のメタの一角を担うと確信した。
 先日行われた関西旧枠モダン体験会にも持ち込み、相性が悪いであろうデッキへの対策サイドボードも作り、ミラーマッチ用のパーツも用意し、6月末に行われる第14回GP旧モにも調整したウェイクを持ち込むつもりだった。
 間違いなく、このタイプのウェイクこそが次の旧枠モダン環境のメタの一角を担うと確信していた。(2回目)

 そう、昨日(※6/16)までは。

ウェイク、なしでは?

 6/15に都内某所にて開催の旧モファイトクラブ、その優勝デッキのリストを見て考えを改めることとなった。
 優勝デッキは純正の青白コントロール。しかも正義の命令フル投入タイプである。

 ウェイクで勝てる気がしない。
 冷静になって考えてみた。
 たしかにウェイクは当時世界選手権を制したデッキだし、TOP8に4人を送り込むほどの強さを持っていたのも歴然たる事実だ。
 しかし当時の環境を見てみれば、要するに「ヘビーコントロールといえばウェイク」という環境だっただけで、対抗馬となる他のコントロールデッキは存在しなかったと言ってもいい。
 何せ当時はスタンダードから《対抗呪文》が去り、標準となるカウンターが《マナ漏出》な環境である。ウェイク以外のコントロールらしいコントロールを組むのは困難な時代だったのだ。
 時は変わって2024年、フォーマットは旧枠モダン。
 《対抗呪文》も《嘘か真か》も《衝動》も、《雲散霧消》も《ミシュラの工廠》も《フェアリーの集会場》もある。
 わざわざ《ミラーリの目覚め》という隙の大きな5マナのソーサリーアクションなどを挟んでまで《正義の命令》を大きな数値で撃つ必要はないのだ。
 強いて言うならば《新たな芽吹き》ギミックが緑を足す利点と言えなくもないが、《新たな芽吹き》も《ミラーリ》もソーサリーアクション。純正青白の前では屁の突っ張りにもならない。というか回収したい先を予め《雲散霧消》で消されてそうですらある
 コントロールミラーで10:0で負けるとわかっているコントロールを握るコントロール使いはまずいないだろう。
 《ミラーリの目覚め》抜いて《正義の命令》増量した方がずっと強いし安定する。
 なるほど、これが「コンセプトにしたかったカードが最終的に抜けていく」ってやつかぁ〜。あるある

ウェイク死すとも命令は死せず

 青白コントロールに《ミラーリの目覚め》をぶち込んで《正義の命令》を大きな数値で撃つ案は残念ながら頓挫の運びとなった。純正青白の方がいいよ
 しかし《正義の命令》が今後の旧枠モダンの環境を牽引するカードであること、その事実は揺らぐことはないはずだ。
 正義の命令をより大きな数値で撃って勝つか、正義の命令を乗り越えて勝つか、正義の命令を撃たせずに勝つか、はたまた正義の命令など無視して勝つか。そんな環境へと移り変わっていくことだろう。
 ありがとうウェイク。当時のデッキを再現しても現代で通用するわけじゃないって、勉強になったよ。
 《正義の命令》の研究はまだまだ続く……!

 次回、『君たちは《正義の命令》とどう生きるか』、“アンチ正義の命令”編。
 お楽しみに。

 ※予定は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承下さい。

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