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Silversmote Dredgeについて考える
こんにちは。vwxyza648204ことsapuriと申します。VintageでDredgeを握り続けているものです。これまでも2回ほどVintage Dredgeの記事を書かせて頂きました。宜しければご拝読いただければと思います。
今回は従来のレシピとは少し違ったNew Dredgeを組んだのでその紹介になります。
初めに結論であるレシピの画像を公開します。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74058950/picture_pc_88b378a8dcda966b02000ef347d25e0e.png?width=800)
上記が2022/03/12時点のNew Dredgeのレシピです。定着するかはわかりませんが、勝手にSilversmote Dredgeと名付けました。一般的なDredgeのリストは人によって数枚の違いこそありますが概ね固定スロットとして定着しています。ですが、今回のリストは既存のデッキリストとは大きく異なっています。今回のNew Dredgeの特徴を上げていくと大きく3つのポイントがあります。
1)《Silversmote Ghoul》が採用されている
2)メインデッキに《Force of Will》が不採用で、代わりに《Unmask》が採用されている
3)《Bridge from Below》及び《Cabal Therapy》の不採用
以下ではこれらのポイントを解説していきます。
1)《Silversmote Ghoul》が採用されている
初めに《Silversmote Ghoul》をご存じない方もいらっしゃると思いますので、テキストを記載します。
Silversmote Ghoul / 銀打ちのグール (2)(黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie) 吸血鬼(Vampire)
あなたの終了ステップの開始時に、このターンにあなたがライフを3点以上得ていた場合、あなたの墓地から銀打ちのグールをタップ状態で戦場に戻す。
(1)(黒),銀打ちのグールを生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
3/1
要するに《Creeping Chill》が誘発したターンのエンドステップにタップ状態で墓地から戦場へ帰ってくる3/1クロックです。
このカードの採用に至ったのは《Tinker》の隆盛が原因でした。《Tinker》デッキは《Tinker》+《Bolas's Citadel》で大量のカードを展開するコンボデッキです。このデッキの特徴としては2点あります。
ⅰ)コンボ成立ターンが非常に早い
ⅱ)《Urza's Saga》により、サブプランのVault Keyコンボや対策カードにアクセスしやすい
ⅰ)は2枚コンボで条件が簡単なため早期ターンで容易に成立してしまう点にあります。最悪先行1T目の成立があり、そうでなくとも《Mystical Tutor》などのTutor系を会した3T前後での成立は頻繁に有り得ます。
ⅱ)は《Urza's Saga》の能力の問題です。Dredgeにとっては特に第三章の「ライブラリーからマナ・コストが(0)か(1)のアーティファクト・カード1枚を探し、戦場に出す。」という点が致命傷でした。この効果で《Manifold Key》をサーチして《Time Vault》と組み合わせて無限ターンを決めたり、《Soul-Guide Lantern》や《Pitting Needle》といった対策カードをメインボードから持ってくるといったことが現Vintageでは罷り通っています。これに間に合う≒すなわち3T目までにまともなクロックを戦場に出しきれるかどうかがゲームの肝となっています。
以上のことから「メインボード最強=Dredgeの地位はTinkerによって脅かされていた」というのがここ数ヶ月のトレンドでした。実際、ほとんどのメインボードで負けはTinkerデッキと環境から激減したDoomsdayだけです。
この状況を打開するには「キルターンを早める他無い」ということで、1T目~2T目に固定クロックとして戦場に出得るクリーチャーとして白羽の矢が当たったのがこの《Silversmote Ghoul》でした。最速1T目から《Bazaar of Baghdad》+《Dredge X》+《Street Wraith》の組み合わせで戦場に出るという点に着目して今回の採用に至っています。《Tinker》デッキはその特性上、とにかく早くライフを減らすことが大切です。《Bolas's Citadel》はトップから呪文を唱えるのにライフが必要なため、少しでも早くライフを詰めておけば、コンボ成立後も勝ちまで繋がらないこともあり、1Tでも早いライフへの詰めが肝となるからです。この施策はかなり成功したと感じています。
2)メインデッキに《Force of Will》が不採用で、代わりに《Unmask》が採用されている
次にVintageの安全弁且つ妨害の核である《Force of Will》が入っていない理由を説明します。これには2つ理由があります。
1つ目は《Silversmote Ghoul》が黒いカードなのでデッキを黒に寄せて強く使いたかったという点です。これに加えて《Street Wraith》を投入したこともあったため、代理の妨害として《Unmask》を追加しました。《Unmask》は《Grief》の登場以後採用率が下がりましたが、依然として先手1Tでは最強の妨害カードとして機能します。
2つ目は《Force of Will》は受け身なカードであり、妨害の少ないG1には実はあまりマッチしていないという点です。結局の所、ゲームスピードが上がってしまえば対策カードの少ないメインボードは無理にカウンターする必要はないからです。加えてこのカードは墓地に落ちたときには何もせず、ブルーカウントが足りないときも何もしないカードなので、今回メインボードから外しました。ただし、G2以降特に後手の場面では黒いハンデスの妨害では間に合わないので、サイドボードに4枚採用しています。《Force of Negation》はデッキの枠の問題と対象範囲の狭さから不採用としています。
3)《Bridge from Below》及び《Cabal Therapy》の不採用
これまでのキーパーツ2種の不採用の理由について述べます。これらの2枚は広くVintage Dredgeの核として認識されていると思います。実際に前者は途方も無いクロック数を戦場に登場させることで相手を圧殺しますし、後者はマナが不要な妨害手段兼《Bridge from Below》の良き誘発役として長らく機能してきました。
しかしながらこのタイプの構築は「3T目のダメージがBridgeとTherapyとその周り(Narcomeba、Ichorid)の墓地への落ち方に完全に依存していた」点が大きな弱点でした。結局のところうまい噛み合いで墓地に落ちてくれないと3T目のダメージクロックが期待できず、そのまま間に合わず押し切られて負けてしまう場面が非常に多かったです。
今回のSilversmote Dredgeでは墓地から帰ってくるクリーチャーが4枚増え、かつそのクロックが3/1と優秀なのでその点が大きく改善がされたといえます。また、《Street Wraith》の追加によりインスタントタイミングでデッキを掘るカードが追加されたこと、自分で墓地から帰ってこれるカードが4枚増えたことによって《Prized Amalgam》が以前よりもより強く使えるようになった点から《Wasteland》を使うデッキに対しても若干ですが強くなったように感じています。
以上の3点の理由からこのSilversmote Dredgeは今後もメタに応じて一定の優位性を持ち続けるのではないかと感じています。
このデッキを使って頂いたフォロワーのnopropsさん(@noprops)から3回のLeague 5-0報告を頂いており、私自身もVintageを初めて初の18連勝(加えてRating:1900代)に到達しました。
自身でオリジナルデッキを考えられる脳はないので、あくまでも自己満足ではありますが、「このタイプのDredgeが世に残ったらいいな」とこっそり期待しています。
Vintage League 5-0 #6
— noprops (@noprops) March 10, 2022
Silversmote Dredge pic.twitter.com/5RM1LiXcGA
初めて1900超えた気がする pic.twitter.com/KUkHTH9uZP
— sapuri(mo:vwxyza648204) (@kcDiscipline) March 10, 2022
最後に現状の課題を記載します。それは「ライフの回復手段が《Creeping Chill》のみに依存する点」の是非です。当初このデッキは2種類のライフ回復手段を検討していました。《Nourishing Shoal》と《Soul Spike》です。どちらも知る人ぞ知るオタクカードなので、下記にテキストを記載します。
Nourishing Shoal / 滋養の群れ (X)(緑)(緑)
インスタント — 秘儀(Arcane)
あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある、マナ総量がXである緑のカード1枚を追放することを選んでもよい。
あなたはX点のライフを得る。
Soul Spike / 魂の撃ち込み (5)(黒)(黒)
インスタント
あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある黒のカード2枚を追放することを選んでもよい。
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。魂の撃ち込みはそれに4点のダメージを与え、あなたは4点のライフを得る。
前者はライフ回復しかせず、後者はピッチコスト2枚が重すぎるという問題がありそれぞれ半端ではない弱さなのですが、《Silversmote Ghoul》を《Creeping Chill》以外の手段で戦場に戻すプランは非常に魅力的です。これらのカードはまだ試行回数が少ないのでもう少し試そうと思っています。
尻窄みな文章ですが、今回はここまでです。まだ調整所は残されていると思っています。是非世界のDredgerの皆さんの見識をお聞きしたいと思っていますので、よろしくおねがいします。
最後になりますが、ここまでの長文・駄文のご拝読ありがとうございました!
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