TinkerからPost Initiativeまでの変遷(2022~2023/01までのVintage Metagame)
0.はじめに
こんにちは。sapuriと申します。Magic Onlineでの活動を中心にVintageのBazaar of Baghdadを使うデッキ(主にDredge)をプレイしているものです。
前回同様Dredge記事ではなく、番外編となります。
この度、Vintage及びブロック構築の雄である添削さん(@kakikukeko2131)から「パイオニア配信者の眞白井エイドさんの配信に出演することになり、そこでVintageの話をするにあたって現在のMagic Onlineのメタゲームに至るまでの変遷について伺いたい」というお話を頂きました。眞白井エイドさん(@mashiloy_aid)はPioneerを中心に活動されているVirtual Plainswalkerです。実際に添削さんが出演されたアーカイブは以下になります。必見です
今回のお話にあたり、私自身がまとまった話をすることがあまり得意でないということもあり、当日は事前に作ったPowerPointを画面共有しながら添削さんとお話しました。その中で、通話終了間際に添削さんから「このPowerPoint、このまま捨てるのではなくて、供養したほうがいいんじゃないですか?配信終わったらTwitterにあげましょうよ!」とご提案を頂きました。
当初は配信後にTwitterにそのまま画像にして流そうと思ったものの、蓋を開けて見直してみるとかなり説明不足な内容であることが目に付きました。(当日も添削さんとのお話の中の喋りで補足している部分が多かったです。)これだけでは、アップしても読み手はあまり意味が分からない気がしたので、今回は作成したPowerPointを画像で貼り付けながら、簡潔に現環境に至るまでのお話をさせていただければと思います。
当然のことながら、今回の記事も筆者の私見ですのでご了承をお願いします。またあくまでもMagic Onlineのメタゲームで、紙のヴィンテージは別の環境だと推測します。加えて、メタゲーム内のポジションは筆者の感覚ですのでご参考にとどめていただければ幸いです。(このデッキはここまで強くor弱くねえよ、と石は投げないでください…)
1.Tinker-Saga支配時代
さて、2022年は簡潔に言えば《Tinker》が駆け抜けた1年間でした。
というのも明らかに他の環境デッキとは頭一つ抜けた1強の存在であり、他のデッキは存在しているものの明らかにその存在感は他のデッキから抜きん出ていたといえるからです。
《Tinker》が強かった理由はP1の記載の通りですが、特にMH2で登場した《Urza's Saga》の存在が大きかったと思います。
それまでも《Tinker》を使うデッキはVintage環境に存在していましたが、どうしても《Paradoxical Outcome》等のコンボ軸に偏っていて足回りが弱い印象がありました。
ところが《Urza's Saga》が登場してからはコンボだけではなく、アグロプランを取ることができるようになり、様々な軸から相手を責められるユーティリティーデッキに変貌を遂げていました。環境に他のデッキこそ存在するものの、《Tinker》に対してある程度有利がつくデッキか、《Tinker》以外の広いデッキに対して有利がつくデッキ以外はトーナメント環境から排除されていったように思います。
実際のところ、Vintage Leagueは別にして、Vintage ChallengeやPTQなどのトーナメントで安定して結果を残していたのはBランク(緩く見てCランク)に属するデッキまでで、Dランク以下のデッキはかなり厳しい環境でした。そのような状況のため、人によっては《Urza's Saga》禁止論を切望されていたのをSNSでよく目にしました。
2.Initiativeの登場によるメタゲームの変化
しかしながら、《Tinker》の1強は突如として幕を下ろします。2022/12頃からMono White Initiativeが登場したことで、メタゲームは大きく変貌したのです。
元々《Tinker》はマナファクトやドロースペルを大量に使うデッキであり、追加のマナ要求やドローを止めるDeath & Taxexs系のデッキには弱かったのですが、Initiativeを得ることができるクリーチャー2種8枚がデッキに追加されたことで、Death & Taxesのクロックが大幅に上がり相手をシステムクリーチャーで縛った後のライフレースが劇的に改善されました。加えて、《Initiative》が《Tinker》が得意とするデッキ全般に有利だったこともあり、環境の中でのInitiativeの存在感が大きくなることで、徐々に《Tinker》デッキは数を減らしていきました。
ただし、相変わらずその他の多くの環境デッキに対して《Tinker》は強いので、1月のVintage環境は《Tinker》か、《Tinker》に強い《Initiative》か、《Initiative》に対して強い《その他の第三勢力》という三すくみの構図になっていきました。これによってこれまで《Tinker》に対して強く出ることができない厳しい状態だったデッキもメタゲームが分散することで、環境の中に取り入れられていきました。具体的に言えば、《Initiative》に強い《Oath》や《Jeskai Arcanist》が以前よりも見られるようになったと思います。今後これらの第三勢力が幅を広げていくことになると、これらのデッキに対して有利のつくデッキが環境を塗り替えていくでしょう。
このようにして、結果的に《Initiative》が《Tinker》に活を入れることで環境に一石を投じ、様々なデッキにチャンスができたという風に筆者は考えています。事実として、1月から2月にかけてのVintage Eventでは様々なデッキが入賞しています。毎週のように入賞するデッキが手を変え品を変えて入れ変わっており、これはデッキの多様性という観点から望ましい状況であるように感じています。
以上が2022年から2023年1月までのVintage Metagameの変遷となります。おそらく環境を定義する強烈なカードが追加されない限り、このメタゲーム循環はしばらく続くものと思います。
3.今後の動向予測
最後に余談になりますが、今後Magic Onlineで結果を残し、メタゲームに影響を与えそうなカードをご紹介します。
まず実装されていないカードでは《Poxwalker》が大本命で、このカードで間違いなくBazaarデッキは強化されるでしょう。特に《Squee》と《Hogaak》が受ける恩恵は大きいです。私を含め、頼むから早く実装きてくれと思っているプレイヤーは少なく無いと思っています。
次点は《Atraxa, Grand Unifier》です。この記事の執筆時点ですにで《Oath》にフィニッシャーとして、《Griselbrand》や《Niv-Mizzet, Parun》を押しのけて採用され始めています。今後はLegacyのみならず、Vintageのファッティーとしても活躍していくでしょう。
《Lethal Scheme》はいつ実装されるかはわかりませんが、実装されれば《Dredge》で多少は試されると思います。ですが、環境を変えるということはなさそうです。
また、ここまで1年以上も放置されているのであまり現実的ではなさそうですが、禁止改定にメスが入り《Urza’s Saga》が制限カード化すると、当然ですがメタゲームは大きく動くでしょう。依然として強烈なカードには違いありませんので手が入る可能性は考慮しておくべきかと思います。仮に制限になったと仮定するとBazaarデッキのポジションがかなり良くなるのではないかと予想しています。
4.終わりに
以上が添削さんに対してお話をさせていただいた骨子となります。ざっくりとした内容ですが、2022年から2023年にかけてのメタゲームの流れを整理できたかなと思っております。
添削さんとの打合当日は楽しくお話をさせていただきました。
私自身の私生活が忙しく、あまりまとまった資料がお渡しできなかったのですが、いつもお世話になっている添削さんのお役に少しでも立てていたら嬉しいなと思っています。
最後になりますが、この度の機会を与えていただいた添削さん・眞白井さんありがとうございました!
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