見出し画像

札幌市#1 事務事業評価を検証「広報誌等発行費」

事業の概要

こんにちは、札幌減税会 運営の小松田です。

今回は事務事業評価「広報誌等発行費」の検証を行っていきます!
どのように私たちの税金が使用されているのでしょうか?

・事業のザックリな概要
市民参加を促進するため、毎月1回広報誌「広報さっぽろ」を発行して、ポスティングする。テレビとスマホアプリで配信する。

※事業評価調書の詳細は下記のリンク、または最後に貼り付けている図1,2をご覧ください。

http://www3.city.sapporo.jp/somu/hyoka/torikumi/pdf/20201020058.pdf

それでは、検証していきます。

検証1.どんな成果が得られたのか、わからない

調書の、"成果指標"の項目を見てみます。

「ん?」

この成果指標から、広報誌を読んでいる市民の割合テレビ・アプリを知っている人の割合はわかりますが、それが札幌市や市民にどんな「成果」があったのかはよくわかりません。

では、調書の"事業の成果"の項目を見てみます。

これを要約すると
「広報誌は色々工夫しています。読んでる人の割合は7~8割です。これが成果です!」
というものです。

「ん??」

以上のことから
行政が「事業やってますよ!」アピールはすごく伝わってきますが、市民にどのような成果があったかがよくわかりません。
したがって、この事業の結果が良いのか、悪いのかがさっぱりわからないのです。

市民にとって知りたいことは、広報誌を読んでいる人の割合や、テレビ・アプリの知っている人の割合ではありません。

「広報誌が札幌市政や市民にとってどんな良い影響を与えたのか?」
について知りたいわけです。

自治体の広報誌の役割は「最新情報を提供する」「行政サービスの情報提供する」「議会の動きを発信する」「愛着を持ってもらう」などです。これらを踏まえて成果指標を作るのが良いかと思います。

当会として改善案を考えてみます。この事業の目的には「市民参加」と書かれているので

たとえば、広報さっぽろを発行することで
「選挙の投票率が〇%上がった」
「議会の傍聴者が〇名増えた」
「広報誌に載せた行政サービスが前月に比べ〇名の利用者が増えた」

など、誰が見てもわかる評価指標にする必要があります。

この事業評価は成果がわかる評価指標を取れていないので、まずは指標の見直しと、成果がわかる調査が必要だと考えます。

検証2.全世帯配布する必要あるの?

この事業の成果が出ているかは横に置いておいてww
次に、調書の"事業費"を見てみます。

令和2年度決算を見てみましょう。
事業費は4.5億円。人工(作業する職員数)は6、人件費は4320万円。そして"事業費の内訳"に、広報さっぽろの発行部数が月に106万部と記載があります。

端的に言えば、広報誌106万部発行して、事業費の総額4.9億円ということになります。

札幌市の人口は国勢調査によると令和5年時点で197万人、世帯数は99万世帯なので、広報さっぽろを全世帯に配るためであれば、毎月106万部印刷する理由はわかります(余分に刷りすぎな気もしますが)。

では、次に調書の"事業規模"を見てみます。

ここでのポイントは「全世帯に配布」です。次に調書(図2)の"事業の実施手法"を見てみます。

ここでのポイントは「紙媒体で全世帯に配布」です。

ポイントをまとめると広報誌の「全世帯配布」「紙媒体」で、それぞれが適切かどうかを検証してみる必要があることがわかります。

先述の市のアンケート調査から、市民の8割が広報さっぽろの読者だとしましょう。

つまり、残りの2割の市民(20万世帯)は広報さっぽろをみていないので、調書にある「必ず情報が行きわたる」というのは無理があります。

私のように熟読する人もいれば、パラパラとめくって終わりの人もいるでしょう。どのように情報が行きわたるかは、配布したという結果だけでは測れないのです。

さらに、札幌市のHPには、広報さっぽろのPDFがアーカイブとしてあり、無料で全ページ見ることができます。家に届かなくてもインターネットがあれば過去20年分の広報さっぽろが読み放題です。笑

「あれ?紙媒体が適切だって言ってなかった?」とツッコミを入れたくなりますが、次にいきましょう。笑

さらにx2、広報さっぽろを配布しているのは町内会の人たち、もしくはポスティング業者への委託です。配布量が減れば、その方々の労力削減にも繋がり、委託費も削減されます。

仮に、広報さっぽろを読まない20万世帯の人たちの分を発行しないとして単純な試算してみると

広報誌1部あたり:32.93円
32.93 x 20万世帯 = 658万円
658万円 x 12カ月 = 7896万円

年間でおよそ7900万円ほどの歳出削減案として考えられるのではないでしょうか?町内会の負担も軽減します。

もし、「絶対に全世帯配布が必要」と行政が仰るのであれば、相当の成果を上げてから、もしくは評価指標を出して納得させてくれといいたいです。

あと「紙媒体が適切」と調書にはありますが、だとしたらアーカイブはなんなのでしょう?全世帯配布に固執せずに印刷部数が数万部単位で減れば、SDGsを謳う行政にとって余計な資源も使わないし、ゴミが減らせるし、いいのではないでしょうか?

さらにいえば、令和2年予算が同年決算に比べ、6000万円以上余っていますがなぜでしょうか?

このように調査すると「本当に全世帯配布は必要なんですか?」、「予算管理は大丈夫ですか?」と問いたくなってきます。

当会からの改善案としては
たとえば、広報さっぽろを配布希望するかを市民アンケートとして集めて、「欲しい」という方には配布する。「不要」という方には配布をせず発行部数を削減するなどが現実的かと考えます。


事業費削減案 1億3900万円

ここで、札幌減税会として、事業費削減案を考えました。

先述した市民の20万世帯には広報さっぽろを配布しないことによって7900万円の削減が可能になります。

続いて、令和2年度の予算と決算を見てみると、6000万円以上が余っていることがわかります。

7900 + 6000 =1億3900万円

以上を踏まえて予算削減案は
1億3900万円となります。

結論 事業費削減してよし!

検証1で成果指標について指摘しました。
わかったことは、行政は広報誌を発行し配布することで成果が得られるかどうかなんて見ていません。

検証2では事業費から「全世帯配布」「紙媒体」が適切なのかについて指摘しました。
事業評価のそれぞれの項目からもわかるように、「全世帯配布」と「紙媒体」の理由はテキトーなんですよね。

基本的に行政は事業を実施することが目的化しています。
「今までやっていた事業なので今年もやります」的な感じです。なので、事業費を節減しようという発想がありません。

だから財政が圧迫され財源がなくなり、われわれ市民に増税という形でしわ寄せくるわけです。それは、札幌減税会として許すことはできません。

事業の成果も測れず、事業費の根拠と管理も杜撰なのであれば、事業費を削減し市民に恩恵のある減税を要望します。

ご賛同いただける方がいらっしゃいましたら、皆様のお力もお借りできるとありがたいです。

最後に
この事業の元となるお金はわれわれの税金が含まれています。
当会として成果が得られない事業は経費節減や廃止を行い、減税することが市民にとって良いことだと考えます。


巻末資料

図1 令和3年度 広報誌等発行費 基本情報、事業費
http://www3.city.sapporo.jp/somu/hyoka/torikumi/pdf/20201020058.pdf
図2 令和3年度 広報誌等発行費 検証
http://www3.city.sapporo.jp/somu/hyoka/torikumi/pdf/20201020058.pdf

本会は、主に札幌市の事務事業評価を見ていきますが、他の自治体でも検証できればみていきます。また、リクエストもいただいてまして、今後投稿していきますので、少々お待ちくださいませ。


よろしければサポートをいただけると嬉しいです。 いただきましたサポートは減税推進活動に使用します!!