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E217系 グリーン車に価値はあるの?

E217系は主にJR東日本の横須賀線と総武線区間で運用に就く車両です。
製造は最新のものでも1999年に終わっており、20年以上乗客を乗せて走り続けてきました。20年というと近郊列車としてはそこまで長くもないように感じますが、この217系は低価格重視、つまりはより早く元を取れるように車両自体の性能ランクを落として設計されたことで寿命が短めに設定されています。現在は235系、通称「電子レンジ」との世代交代の時期に来ており、順次運用から撤退しているようです。

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基本的には11両編成で運転されていた217系ですが、その4号車と5号車には2階建ての「グリーン車」が連結されていました。
余談ですが中学生の頃、部活動で横須賀線沿線地域へ遠征した帰りには千円札を握りしめてよく乗りに行っていました。基本的に現地の最寄り駅で解散というルールで、その後はどのような経路で帰ろうが自由でしたが、如何せん全体主義色の強い部だったために一人だけ違う行動を取るような真似は非難の的でした。ただあまりそう言った非難や罵倒が気にならない性格に生まれたようで、他の部員が私を批判しつつ普通車に収容されていくのを見ながら一人グリーン車に乗り込み優越感に浸るようなことも面白い経験として記憶に残っています。

本題に戻りますが、当時の普通列車グリーン車はホーム上の券売機にて800円、車内で購入すると1,060円(ホリデー価格)という発売額。(※乗車距離50㌔以上の場合)
大学生になった現在はそれなりに収入があるので普通車が混雑している場合などによく利用しますが、数千円のお小遣いが全ての一般中学生には中々に高額なものです。
では、このE271系のグリーン車にわざわざ千円近い金をはたいて乗る価値は果たしてあったのでしょうか。
結論から申し上げると、

場合によってはあります。

ただし、あくまで普通列車に連結する設備としては、という範囲の判断です。長距離を走る特急列車に同じグリーン車設備を置いたらば、間違いなく不評でしょう。
理由は乗り心地にあります。
217系は実際に乗車すると分かりますが、首都圏の近郊型列車の中では乗り心地の良い方ではありません。グリーン車に座っていると、床がきしむ音が聞こえます。高速でポイントを通過する時には床下から凄まじい音がします。会話が成立しなくなるレベルです。こんな車両を長距離列車に付属したら悪評が立つのは当然です。
私のようにその音や揺れを感じてアヘる変態マニアでもなければ、あまり良いイメージを持たないだろうと思います。

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では、E217系のグリーン車に千円を支払って効用が得られるのはどのような場合か。
それは、通勤通学の混雑時に横須賀線が単独で走る区間、または総武線の区間で乗降する場合です。要するに、E217系でしか到達できない駅を利用す場合にのみ、その効用が発揮されます。例えば、保土ヶ谷駅から戸塚駅、北鎌倉駅以南を使う場合は横須賀線でしか行けないので、混雑していても一度座ってしまえばあとは到着を待つのみです。
逆を言えば、横須賀線区間内でも東海道線と並走する区間を利用するのであれば効用はほぼ得られないか、損をすることになります。
ここで浮き彫りになるのが、先ほども登場した「乗り心地」問題です。
同じ普通列車グリーン車を連結した列車にはもう一種類、E233系という車両が存在し静粛性やエアサスペンションなど車内の快適性はE217系よりはるかに良いものになっています。
同じ千円で古いE217系を選ぶか、新しいE233系を選ぶか。
どちらに乗っても到達できる駅へ行くのであれば、新しいE233系のグリーン車で快適に移動するほうが良いでしょう。グリーンアテンダントによる車内サービスのレベルも全く変わりません。
また、総武線で成田空港へ向かうが荷物が多いという場合にもこのグリーン車は機能します。車両の両端部分が1階建てで、比較的しっかりとした荷物棚と座席裏のスペースに置くことが出来るからです。同じ機構がE233系にも備わっていますが、成田空港へ乗り入れてはいないので実質E217系のグリーン車のみがもつ利便性と言えるでしょう。

ここまでE217系のグリーン車の利用価値について挙げてきましたが、総じて言うなればこの設備は「贅沢品」としての価値は高くはないが、利用する場面によっては便利な商品ですね。退役の迫るE217系ですが、目的によってE233系と使い分ければまだまだそのパフォーマンスを発揮するだけの能力を持った素晴らしい車両です。

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