わたしを満たすもの

砂浜にしゃがみ、湿った地面に両手で触れる。

ひんやり冷たい砂の粒が、私の爪に潜ってくる。

目線を上げると、穏やかな水面が見える。

水面の端が盛り上がり、立ち上がり、水しぶきを運ぶ。

私はじっとそれを見つめている。

シュワシュワシュワと音を立ててやって来て、

シュワシュワシュワと音を残して去っていく。

わたしはじっとそれを聞いている。

ただただそこにあるだけで、全てが完了している。

私がすることはない。何もしなくていい。

でも、今、何か、
私にとって、とても大切なことをしている感覚だけがある。