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アムステルダム・パリ旅行記      第九回 観光五日目          駆け足の巡礼地

早朝眠い目をこすりながら起きだすと、まだ日は登らず暗いパリの街。そんなに早く起きてどこへ行くのかと言いますと、今日は日帰りでモンサンミッシェルへのバスツアーに参加するのです。添乗員さんは日本人の方で、ときおり日本語ガイドをしていただきながらの旅です。出発したのは朝7時過ぎ。

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バスは街を抜け、郊外へ、そして美しい田園風景へ。農業大国フランス、広大な土地が広がって、家並みに豊かさというか底力を感じます。つくづく美しいですね。ツール・ド・フランスでいつもテレビ越しに見ているフランスの田園風景が目の前に。ちょっとうれしかったです。

途中、絵本のような港町オンフルールにちょっと寄りました。

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安野光雅さんの絵のようなかわいい町です。

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日曜の蚤の市の支度中。こういう所の掘り出し物、面白そう。ですがまだやってなかった。

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しかし、さすが北の港町、めちゃくちゃ寒い!風が痛い!

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寒い以外の事が考えられない。目も開いてない。

というわけで、観光もそこそこにバスに戻ってしまいました。さて、休憩終わり、ではまた旅路に戻ります。

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ところが、やはり、予想した通りジレ・ジョーヌの影響が。道路封鎖をしていたのですね。市民権利のための一斉行動なので、お疲れ様です、がんばれ、と、気持ちは賛同なのですが、わたしたちも先行き長く、できれば早く行ける道を通して欲しかったりもするので悩ましいですね。バスの運転手さんが交渉してくれたりとかいろいろありつつ、高速道路への道は封鎖が解けないけど、一般道はなんとか通してもらえるという話になり、旅路はスピードダウン。
ノロノロ運転なので逆に沿道の家並みがよく観察できて楽しい部分もありましたね。ツールドフランスでも視聴時間の大半は風景を見る事が醍醐味とか思ってるので、景色に飽きる事はなかったのです。が、それでも長い。やっとの事たどり着いたのはもう昼の2時。来るのに6時間もかかってしまったのです。

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はるばる来たよ、モンサンミッシェル。まあ、巡礼の人の苦労に比べたらとうってことないですけどね。

5時半には帰りのバスの集合なので、正味3時間ぐらいしか観光時間がないのは非常に残念なのですが、仕方ない。駆け足でモンサンミッシェル修道院を巡りましたが、月並みな言い方ですが、物語の中に入り込んだようでしたね。

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城下町的な所から登り始め。

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迷路のような街を上っていきます。ここで途中でお昼。ところでモンサンミッシェル名物のスフレっぽいオムレツですが、私は食べなかったので参考にならずすみませんが、普通のレストランで野菜ガレットを食べました。海が見渡せるすてきなレストランでした。

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お昼はすっかり過ぎてたのに、レストランは大賑わい。写真だと見えませんが、梁にすずめちゃん的な鳥が何羽もいて、おこぼれを期待してるようでした。

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さて、食べ終わると急いでまた寺院に向かいます。なんてったって時間がない。

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こういう荘厳な建物を見ると、歴史をよく知らないのがもったいないですね。迷路みたいに入り組んでいて、自分が今どこにいるのかとか途中からよく分からなくなり、ひたすら「すごいなー」とか「でっかいなー」とか言いながらめぐるのであった。

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上の方に中庭と回廊がありまして、こういう芝生にはもしかして...。

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いましたね、芝生にいるきのこ。空中庭園の暮らしをエンジョイしてました。(どんなに大スケールの場所にいてもどうしてもちっちゃい事が気になって仕方がない人)

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上からの眺め。とにかくスケールのでかい見晴らしだったのですが、圧倒されすぎて逆に写真を全然撮ってなかったので、なんだか伝わらず口惜しいです。

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下り途中には庭も通り過ぎました。おとぎ話のようにかわいい。

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夕方、潮が満ちてきました。

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宗教拠点、命がけで来る巡礼の地であったり、軍事要塞になったり、波乱万丈の歴史があったようですが、今はただ、冷たく吹きすさぶノルマンディの風の中、のんびりとした時が流れていたのでした。それを見に来たわたしたちには慌ただしい時間しかなかったんですが。もっとゆっくり見たかったです。

帰りは日も暮れ、景色も見えぬ夜の道、音楽を聴きながらうとうとゆっくり戻りましたが(また5時間ぐらい...)、アムステルフェーンからの帰りの電車といい、異国の夜のノスタルジーはこういう所在のないほの寂しさの中にこそあるのかもな、とぼんやりとただ暗いばかりの道を見つめておりました。巡礼者のように厳しい疲労と戦わずともすいすいと途方もない距離を移動できてしまう現代の恩恵、慌ただしい日程の中バスでの静かな時間も休息にになって却ってよかったかなと思います。どうも時間を効率でばかり見がちですが、無駄のような時間や非効率な事も、楽しいっちゃあ楽しくもあり、時間は延びたり縮んだりするもんです。昔の人が「モンサンミッシェルに日帰りで行ってきた」なんて聞いたらびっくりしてひっくり返ると思いますもんね。しかし、与えられた時間をどう使うのが幸福な生き方なのか、それは今も昔もわたしたちにはどうにも分からず、求め彷徨うばかりなのでしょう。(意味もなく壮大なスケールで締めくくってみた)

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さて、まだのびのびで、あと一回あるんじゃよ。



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