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「推しが死ぬまであと30日」第3話

〇ファミレス・ボックス席(夕) 〈推しが死ぬまであと5日〉 いつもの席に菜摘と紫乃が座り、勉強をしている。 利人の姿はない。 菜摘「紫乃はりっくんとちゃんとお別れできたの?」 菜摘いつものように机に伏せた状態で顔だけを紫乃の方に向けている。 不貞腐れた表情。 紫乃「できたよ 駅まで見送ったし」 菜摘「ふーん、仲良いんだね」 紫乃「仲良いよ」 菜摘「私、嫌われてたのかな」 紫乃「そんな訳ないじゃん なんか喧嘩してたんでしょ?」 菜摘「りっくんが言ってた?」 紫乃「わざわ

    • 「推しが死ぬまであと30日」第2話

      〇通学路(朝) 〈推しが死ぬまであと11日〉 利人との昨日の出来事、のんくんの炎上、サイトに張り付いてもチケットが取れなかったショックなどが菜摘にのしかかり重い足取りで登校する。 その後ろを利人が歩いており、遠くから菜摘の後ろ姿を見つける。 利人は気まずそうな顔をし、声はかけずに遠回りする。 〇学校・教室前廊下(朝) 菜摘、教室の前まで来たところでドアを開けようと手を伸ばすが、開けられずに方向転換をし、そのまま歩いて行ってしまう。 〇学校・美術室(朝) たどり着い

      • 「推しが死ぬまであと30日」第1話

        あらすじ 高校3年生の菜摘(なつみ)は自分の進路が決められず、推し活で現実逃避をする日々を送っていた。推しはVtuberでアーティストの「のんくん」。のんくんがきっかけで仲良くなった同級生、利人(りひと)とともにオタク活動を楽しんでいた。そんなのんくんの「死」があと数日まで迫っていたある日、菜摘は利人に告白される。2人を繋いでいた「のんくん」の「死」によって2人の関係は徐々に変化していく。 登場人物 ・金子 菜摘(18) 高校3年生。Vtuberであり、アーティストでも

        • 「レラティブ」第3話

          〇対策室内・リビング 一架は元の人間の姿に戻っていた。 テーブルをみんなで囲っている。 一架呆然とし、下を向いている。 一架の覚醒は動画に収められ、SNSで拡散されていた。 吏津が拡散された動画を視聴し、コメント欄にも目を通す。 〈VAMPなら早く処分してくれ〉 〈こんな訳のわからない生き物を生かしておくなんて国はおかしいのか〉 など一架を処分すべきというコメントが大半だった。 吏津「一架はVAMPの特異体質者のハーフだったってこと…?」 「そんなことあり得るの?」

        「推しが死ぬまであと30日」第3話

          「レラティブ」第2話

          〇対策室内・リビング 一架M(あれから子供のVAMPが多発するようになった) 吏津「あきらかにおかしいよな 急に子供VAMPばかりになった」 「紫之! 原因わかった?」 奥のデスクで仕事をしていた紫之に問いかける。 紫之「徐々にわかってきたよ」「どうやら子供VAMPを放出してる奴がいるっぽいね しかも高校生」 紫之「子供VAMPを操っていたのも子供ってわけだ」 紫之はそう言うと一架たちが囲っている机の上に制服姿で写る青年の証明写真のようなものを放り投げた。 吏津「う

          「レラティブ」第2話

          「レラティブ」第1話

          あらすじ VAMPという怪物が人間の脅威である世界。人間の力では倒すことができず、社会が混乱する中、16歳の一架は自らが生成する血液でVAMPにダメージを与えることができる特殊体質者として公安の保護下であるVAMP対策班に所属し、VAMPを討伐していた。目的のない戦いをする一架に反して、母親の仇であるVAMPを倒すためにヒーローとなるべく戦う特殊体質者、橙弥。橙弥の存在は間違いなく一架の光となっていた。しかし、橙弥は自分の戦う目的に、日に日に迷いが生じるようになる。一架は自分

          「レラティブ」第1話