約束の記憶 11話
小説の11話です。
★登場人物★
森田かずは 都内の大手風俗店のスタッフ
ララ かずはが働いている店のキャスト
梶川 かずはと同じ店の男性スタッフ
★
ララちゃんの話を聞いて、仕事が手につかなかった。
橋本さんにはどんな話を聞いたのか、しつこく突っ込まれたけど、口止めされてたし、適当に誤魔化しておいた。
聞いた話は信じ難い内容だった。
(ララの話)
半年前、いつも通り仕事を終えて帰宅し、お風呂に入った後、ベッドで寝て。
よーく寝たなーと思って、目が覚めたら寒い!!
部屋のお花も観葉植物も枯れてて、スマホを見たら着信履歴が鬼のようにあり。
スマホをよーく見てみると、2031年1月になってる!
ありえない。
半年も寝ていたなんて普通じゃない。
ご飯は?トイレは?
どうやって生きてたの?
髪はすこし伸びただけで、身体の変化はなく、喉が渇いていたぐらい。
着ていたのは記憶がある夜着ていた半袖のパジャマ。
夏から寝て目が覚めたら冬って。
なにがなんだかよくわからない‥。
とりあえず落ち着かせようと顔を洗った。
あれ
ネイルが変わってる。
キラキラやストーンが好きなのに、珍しく艶やかな真っ赤なネイルだった。
こんなデザインにした覚えがないし、爪の伸び具合を見ると、つい最近変えたばかりのようだ。
そのネイルをじーと見つめていたら、夢の中の記憶がでてきた。
そう、夏だから涼しい色にしようと思っていたら、新色の赤が気に入って、これにした気がする。
あれは夢じゃなかったんだろうか。
私の記憶がおかしいのか。
それから時々ふとしたときに思い出した。
梶川さんに会ったのは、夢の中だったのか現実なのか。それを確かめようと、出勤したのに会えなかった。
何かとても大切なことを忘れている気がする。
でも思い出せない。
誰にも話ができなくて、不思議な話でもいつもちゃんと聞いてくれる、かずはさんに聞いてほしかった。
ということで、話してくれたわけだけど、何もわからない‥。
謎ばかりで、なんの解決にもなっていないけど、やっぱり浦島事件と関わりがあるんじゃないか。
解決どころか、またも混乱するような出来事が待っていた。
つづく
あなたの好きなことが誰かの笑顔にする、ハッピーシェアリングの活動費にさせていただきます!