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約束の記憶 第三章 14話

この物語はフィクションです。

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https://note.com/saorin11/m/me6fc5f2a8b10


玄関のドアが開いた音もせず、いきなり足音が聞こえてきた。

振り返ると金髪の男性が現れた。

「まったく、ハラハラさせるなよ」

一葉さんと私をみて、にっこり笑った。

この世の人とは思えない風貌なのに怖くない、というかどこか懐かしい感じがした。

「あーはじめましてでしたね、有沢さん。学と言います」

真っ白い肌に金髪が眩しくて、天使のようなのに名前が学?

「絶対、学じゃない(笑)」

思わず吹き出してしまった。

「初対面で名前聞いただけで笑ってしまってごめんなさい。くくく(笑)」

ツボにはまってしまって笑いが止められない。

私の笑いに釣られて、学も一葉も笑っていた。

こんな風に笑えたのは、何年ぶりだろう。

ようやく息ができている感覚になってきた。

「私、死んだのかと思ったら、死んでいなくて。今は現実なの?それとも夢?」

一葉がふふっと笑った。

「今は現実よ。おかえりなさい」

「え?おはようじゃなくて?」

「そう、長い夢からおかえりなさいなんですよ」

「そうなんだ。よくわからないけど、体も心も軽くて、生まれ変わった気分♪」

何でだかわからないけど、体も心も軽くて、こんな気持ちになったのは、生まれて初めてかもしれない。

「よかった。恵さんもう大丈夫ね」

一葉がそう告げて、二人とも突然消えたようにその場からいなくなった。

これが現実なら夫はどうしたんだろう。

今なら冷静に夫と話ができそうな気がする。



しかし、その後夫に会うことは二度となかった。

つづく

(次回は7/27にUPします)

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