傷跡

昨年の三月、箪笥に洋服をしまおうとした時に、引き出しで手の甲をうっかりピッと傷つけた。

何気ない時に傷ついた、その傷跡が未だに消えない。

年を取ると傷の治りが驚くくらい遅い。

もしかしたらもう一生消えないのかもしれない。


心の傷もそうだろうか。

年を取れば取るほど傷跡が消えることはなく、もしかしたらもう、一生消えないのかもしれない。

一生消えないことを受け入れて、傷跡と共に生きるしかないのだなと。

年を重ねるということは、いくつもの傷跡も共に重ねることなのだなと。

だからなるべく傷跡さえも、愛して生きていけますように。


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