見出し画像

恩師と肩を並べての駅伝解説。

昨日、富山県中学校駅伝のケーブルテレビ解説をしてきました。数か月前に、中学生に希望を与えるような解説をしてほしいと依頼を受け、戸惑いと不安を抱えつつも喜んで引き受けさせていただきました。

富山県中学校駅伝は、12月に滋賀県で開催される全国中学校駅伝の予選会であり、富山県の9割ほどの中学校が参加する大規模な大会でもあります。全国大会や上位入賞を目指す学校もあれば、陸上部がない中、学校の代表として絆を大切に取り組んでいる学校もあり、それぞれの学校がいろんな思いを込めて参加しています。私の母校は、現在の全校生徒数が6名(男子3名・女子3名)。県内で最も少数と言われています。男子チームは6名、女子チームは5名でタスキをつなぐ今回の駅伝では、チームをつくることができず、駅伝の後にスタートする個人レースのみでの出場となりました。駅伝に参加できずともこの大会に参加したいという生徒たちの気持ちに心が熱くなりました。

ちなみに、私が所属していた時の全校生徒数は30人前後でした。3年生のときに、82チーム中9位に入賞したのですが、全員バドミントン部で小規模ながらの快挙に、「駅伝っておもしろい、めっちゃ感動する」と思った記憶があります。個人として、3年連続1区での区間賞を取ったのですが、チームが入賞したときは個人の何倍も嬉しかったです。走ることは個人競技、自分が速くなければ意味がない、と思っていた私にとって新たな価値観を見出させてくれました。

そんな思い出のある駅伝に、12年を経てケーブルテレビの解説として呼ばれたので、中学生のときの自分にがんばっといてくれてありがとうと言いたい気持ちでした。富山県内のケーブルテレビ局の全8局が共同で中学駅伝を生中継しています。これまでは、中体連の陸上部専門部長や陸上競技協会の方が解説をされていたのですが、今年からは初めてOBやOGもゲスト解説として招待する運びとなったそうです。

中学校の先生でもなければ、県内に住んでいるわけでもないので、なかなか各校の走力やチーム状況を把握することができません。陸上に特化していない学校も多数ある中で、どういった切り口で解説すべきか少し悩んだ部分もありました。いろいろと資料に目を通す中で、「砲丸投げの選手です」「この夏、真面目に練習に取り組んできました」「最近は自己記録を次々更新しています」「吹奏楽部だけど走ることが好きです」「マネージャーだけど急遽出ることになりました」などの、約80校の特色を事前に知れたことはかなり大きかったです。中継するケーブルテレビとしても、全学校が無事にタスキをつなぐことをコンセプトにしているとお聞きし、上位の選手はアナウンサーや解説者が話してくださるとして、私の役割は選手目線での走りのポイントや生徒が努力してきた部分を伝えることだと考えました。

実際は、刻一刻と移り変わる状況にタイミングを見失い、全然口が回らなかったのですが…。色々と反省しつつも、終わった後は先生方やテレビを見ていてくださっていた方から、「やっぱり選手目線は分かりやすい」「思いやりがある解説だった」と言っていただいたことは素直に嬉しかったです。みなさんの優しさに感動しました。しゃべりの上手い下手もそうですが、第3者の視点に立った伝え方が大切なのだと実感しました。確かにそういう見方もあるよね、と思ってもらえるように、着眼点をいろんなところに置ける柔らかさを持ちたいなと思いました。

そして、今回とても嬉しかったことが1つ。女子レースの解説を、中学時代の恩師とともにできたことです。大会直前にその事実を知り、不思議なご縁を感じました。バドミントン部に所属していた中学時代に、全中で入賞したり、全国都道府県対抗女子駅伝に出場できたりしたのも、恩師のおかげです。中学3年生になる年に、恩師は他の中学校へ異動になりました。へき地にある学校なので、3年間で異動になるのはほぼ暗黙の了解でした。その事実をわかっていながらも、先生だけは4年間いてほしい、と淡い期待というより強い願望をもっていました。もちろん14歳の自分の思いは届かず、恩師から直接「異動になるけどがんばれや」という話を聞いたときは、恥ずかしいくらいに泣いたことを鮮明に覚えています。異動後も、日々の練習メニューを学校へFAXで送ってくださったり、休日になると陸上競技場で練習を見てくださったり、変わらず指導してくださいました。恩師との関係を支えてくれたのは、学校や地域の協力もあってのことで、改めて恵まれた時間を過ごしていたのだと思いました。思うような結果を残せなくてもこの年齢まで競技を続けられたことや、定年間近の恩師が10数年前から変わらず解説者を担当されていることなど、いろんなことが噛み合って巡ってきた今回の解説の仕事に深く感謝したいと思います。

何はともあれ、今回の参加校全てのゴールを見届けることができて良かったです。私自身、担当の区間距離が4kmの駅伝で途中棄権したこともあるので、事故なく安全に大会が終わったことにほっとしました。

各チームの皆さん、関係者の方々、本当にお疲れさまでした✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?