(作家)早乙女かな子_再

デビュー作書いて消えた作家ですが最近また書くようになりました。京都大学大学院修了。現在…

(作家)早乙女かな子_再

デビュー作書いて消えた作家ですが最近また書くようになりました。京都大学大学院修了。現在は会社員。『パンツははいておけ 中卒フリーターが大学進学した話』(2020) https://amzn.to/3r1krDf ✉saokana222✻gmail.com

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【短編小説】やめたあの子⑤(完)

▶前回④はこちら ▶▶初回①はこちら  三か月の休職期間が、そろそろ終わる。毎日、何かを始めようとしては、挫折を繰り返し、机の上にはなけなしの貯金で購入したネットビジネスやプログラミングの本がうず高く積まれていて、視界に入るたびに心拍数が跳ね上がった。イラストレーターmiyuのインスタ投稿はもう見ていない。きっと今ごろフォロワーは十万人を超えているだろうか。  自分は何者にもなれないという無力感は、年を経るごとに増していき、私の体力を奪っていく。  小学生のときの自分は

    • 【短編小説】やめたあの子④

      ▶前回③はこちら ▶▶初回①はこちら  真夜中のアパートの一室。煌々と有害な光を放つモニターには、ワードプレスのアカウント作成ページが表示されていた。  アフィリエイト、つまりネットで広告収入を得るには、まず自分のブログなりサイトなりを持っている必要がある。そして、そこで商品やサービスを紹介したりすることで紹介料を得られるという仕組みだ。私は足元の新品の書籍を拾い上げ、そのノウハウに従って、ホームページを作成していく。レンタルサーバー、独自ドメイン、DNS……。 聞いたこと

      • 【短編小説】やめたあの子③

        ▶前回②はこちら ▶▶初回①はこちら  今まで何をしても、いつも私の上位互換がすぐ傍に現れた。 幼稚園のとき、テレビで見たバレリーナに憧れて、バレエを始めた。そんな私に憧れて、後から始めた当時の親友の子の方がみるみると上手になって、見込みのある子だけが入れる競技クラスに昇格していった。私は不貞腐れて、バレエに飽きたと言ってやめた。 小学校にあがると、自分は勉強が得意だということに気付いた。周りの子から、「学年で一番の天才は足立仁香ちゃん」と言われていたぐらいだった。けれど、

        • 【短編小説】やめたあの子②

          ▶①はこちら  戸田さんは、良くも悪くも綺麗で繊細で、ガラス細工みたいな女だったと記憶している。顔もスタイルも良く、声も細くて可愛らしかったが、悪口や冗談にはめっぽう弱く、言葉通りに受け取ってしまう傾向があった。触れる所を少しでも間違えるとポッキリといってしまいそうなところが、まさにガラス細工のようだった。  彼女の容姿に嫉妬していた同期の女子が、うっかり「戸田さんはきっと顔採用だよね!」と揶揄った次の日には、戸田さんは研修を休んだ。しかも馬鹿正直に言われた内容を新人教育

        【短編小説】やめたあの子⑤(完)

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        • 行った店の話
          2本
        • 短編小説
          6本

        記事

          【短編小説】やめたあの子①

           私はいつも、薄い氷の上を歩いている。  笑顔は標準装備。得意先の機嫌を損ねていないか、メールの行間からも顔色を窺う。エレベーターは操作盤前をキープして、会議では先輩や上司よりも喋り過ぎない程度に積極的に発言。飲み会はグラスの空きにすぐ気づき、先陣を切って注文する。後輩でそれに気づいていない子がいれば、そっと肘で小突いて教えてあげる。 この世にはあまりにも気にしなければならないことが多すぎて、毎日息を吸うのも吐くのも慎重に、薄い氷の上で神経を張り詰めらせながら生きている。でも

          【短編小説】やめたあの子①

          大手まんぢゅうカフェ@岡山県倉敷市

          おはようございます、こんにちは、こんばんは。 今日は岡山県の大手まんぢゅうカフェについて振り返り記録を。 2023年8月お盆、岡山県倉敷市へ夫と旅行に。 最高気温39度、旅程の最終日に台風が追いかけてくるというとんでもない天候の中この旅行は決行されました。 岡山城の前で死にかけるなどのアクシデントはあったが、行きたいお店にもたくさん行けた楽しい旅行だった。 岡山県倉敷市といえば、やはり美観地区。 そのメイン通りにある「大手まんぢゅうカフェ」が大盛況していたので、気にな

          大手まんぢゅうカフェ@岡山県倉敷市

          【短編小説】頼むから、夢で会ってくれ

           自分以外信じていないような、少し吊り上がった切れ長の目。どんなものでも咥えられそうな、横に広い血色感の強い唇。他の女子とは一線を画すそのオトナな雰囲気に、俺は甘い想像をしてしまう。  だが、俺が彼女を好きになったのは、その見た目でも、読者モデルをしているからでも、イタリアのハーフだからでも、ない。そうしたステータスは、あくまでついでの理由だ。  俺は、堂前瑠奈の、17歳に似つかわしくない言動が好きだった。  俺は一学期、堂前瑠奈が、担任の村上に告白する瞬間を見た。二学期の

          【短編小説】頼むから、夢で会ってくれ

          綿菓子専門店zarame@京都タワー

          おはようございます、こんにちは、こんばんは。 大学在学中に作家デビューして今は会社員しています、早乙女かな子です。 私はテレワークが基本なんですが、家でずっと仕事をしていると飽きるので、たまに京都駅近くのカフェに出ています。 で、帰りにぶらっと京都タワーの中を見ていると、綿菓子専門店なるものができていました。 綿あめなんて、夏祭りの出店の、プリキュアとか仮面ライダーのパンッパンの袋に入ってるやつしか知らないよぉ…… 贈答用の箱に入った綿あめなんて初めてみたよぉ…… 特に

          綿菓子専門店zarame@京都タワー

          先日誕生日で、会社の人や友人・家族からそれぞれプレゼントをもらったんですが、なぜか5人ぐらいからハンドクリームもらいました!!今年やばいほど手綺麗になるわ。

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