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2024/09/23 意志の力争奪ミドルスクール準決勝 ぴんぞう(パンデバースト)vsドリュウ(リベリオン)

ミドルスクールは多様性豊かな環境である。

特定の他フォーマットと比較するわけではないが、トーナメントシーンにおいても多様性が損なわれないというのは凄い。
もちろん思い出を重視するプレイヤーもいるし、勝率の良いデッキを好んで持ちこむプレイヤーもいる。それらが複雑に絡み合った結果カオスなメタゲームが形成されるのがいつもの流れだ。

ぴんぞうのパンデバーストはかつてエクステンデッドで活躍した名デッキだ。
《はじける子嚢/Saproling Burst》《伏魔殿/Pandemonium》を場に揃えることで一挙に20点以上を叩き出し瞬殺する。《補充/Replenish》から釣ってしまうのが最も簡単だが、《真鍮の都/City of Brass》から素出しして決めることもできる。そのカラーリングゆえに《意志の力/Force of Will》も採用可能で、いざという時のサポートも充分だ。
当時はその影響もあり《補充/Replenish》が禁止カードになってしまい、法により滅んでしまったデッキである事は付記しておきたい。
それくらい凶悪な経歴を持つデッキでありながらもミドルスクールでは余裕で使用可能なのだ。当店は誰でもウェルカム。
まあ《Demonic Consultation》だけはどうしてもダメだったようだが、ぴんぞうはそのスロットを《衝動/Impulse》《綿密な分析/Deep Analysis》で埋め現代に甦らせた。

対するドリュウはリベリオン
《レイモス教の兵長/Ramosian Sergeant》からスタートするクリーチャーの連鎖により、ある時は《鞭縄使い/Whipcorder》で戦場をコントロールし、ある時は《果敢な隼/Defiant Falcon》で攻め、ある時は《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》で消耗戦に備える。レベルクリーチャーが1体でも場に残るとそこから広がってしまうという恐ろしさ。
惜しむらくは少々攻めのスピードに難ありというところだが、白単というカラーリングのメリットを生かし《悟りの教示者/Enlightened Tutor》から様々な対処札を導くことで抗っていく。まさにRebel、「反乱者」の名に相応しいではないか。

開始前には《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》も「エクステンデッド禁止がなんぼのもんじゃい、こちとらブロック構築の禁止カードやぞ」と息巻いていた。
そう、《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》だって禁止歴のある名カードなのだ。

禁止カード対決を制するのはどちらの白いカードなのか。


【ROUND:1】

スイスラウンド1位抜けのぴんぞうが先攻。
ぴんぞうは初手をキープするが、ドリュウ側は苦しそうだ。
悩んでマリガンを選択。結局6枚でスタートするが、1マナ域のカードの姿はない。

ドリュウ側はメインデッキにおいては素の《伏魔殿/Pandemonium》→《はじける子嚢/Saproling Burst》に割り込む選択肢はある(主に《浄化の印章/Seal of Cleansing》)のだが、《補充/Replenish》から一気に釣られた場合は差し込みが難しい。できることなら《リシャーダの港/Rishadan Port》である程度縛っていきたいところだ。

ぴんぞうは悩んでキープした手札なら気になる、と《強迫/Duress》でゲームの口火を切る。

ドリュウの手札は
《レイモス教の副長/Ramosian Lieutenant》
《熱風の滑空者/Thermal Glider》
《共同の功績/Shared Triumph》
《平地/Plains》
《平地/Plains》
《リシャーダの港/Rishadan Port》

ということで、とりあえず《リシャーダの港/Rishadan Port》は手に入れたようだ。
ここから《共同の功績/Shared Triumph》が抜かれゲームスタート。

ドリュウは《平地/Plains》で応じ、ぴんぞうも《真鍮の都/City of Brass》を置くのみ。次ターンに《レイモス教の副長/Ramosian Lieutenant》に合わせて《衝動/Impulse》で手札を整え、《平地/Plains》を置いてターンを返す。

そして《リシャーダの港/Rishadan Port》の時間がやってくる。
これは1マナを縛りつつ場的には《真鍮の都/City of Brass》で1点稼ぐこともできるというダメージ発生装置の役割も兼ねる。

とはいえ《レイモス教の副長/Ramosian Lieutenant》を含めても2点ずつなのでまだ優しい。ライフにまだまだ余裕のあるぴんぞうはここで《大あわての捜索/Frantic Search》で手札を調整することを選んだ。
《綿密な分析/Deep Analysis》《はじける子嚢/Saproling Burst》が埋められコンボ準備が進め、更に《綿密な分析/Deep Analysis》をフラッシュバックしライフを11まですり減らしていく。

ドリュウとしては可能なら《リシャーダの港/Rishadan Port》を起動し続けたいが、肝心の土地が3枚で止まっている状態だ。
やむなく《レイモス教の兵長/Ramosian Sergeant》を追加の上《レイモス教の副長/Ramosian Lieutenant》での攻撃を重ね、《リシャーダの港/Rishadan Port》で徹底的に《真鍮の都/City of Brass》を追いかける。

逆にマナフラッドしている感もあるぴんぞう、5枚目の土地から《綿密な分析/Deep Analysis》を表打ち。なかなか《伏魔殿/Pandemonium》が見つからない。

迎えたターン、ドリュウはまた土地を引けずに大きく悩むことに。
既にぴんぞうの土地は5枚。これ以上の《リシャーダの港/Rishadan Port》起動は必要なのか。ここを普通に展開に使ってダメージを伸ばす方が良いのではないか。
それともずっと止めている《真鍮の都/City of Brass》が使えないことによって相手は唱えられない呪文を抱えているのではないか。

意を決したドリュウ。《熱風の滑空者/Thermal Glider》を素でキャストしつつ、場の2体で攻撃する。
これでぴんぞう残り8となり、次のターンは一旦自由に《真鍮の都/City of Brass》が使えることに。

ここが勝負ターンか。

手番を貰ったぴんぞう、ここで大きく悩みつつも《はじける子嚢/Saproling Burst》を素でプレイして防壁を築くことを選択。色マナは《真鍮の都/City of Brass》から調達し残り7。

ドリュウは(場も自分自身も)生きて帰ってきた事に安堵しつつも、ぴんぞうの場のブロッカーが強く攻撃を踏みとどまる。
しかしこんなこともあろうかと、こんな時のための《熱風の滑空者/Thermal Glider》の飛行なのだ。単体で攻撃しぴんぞう残り5。
更に追加の航空戦力である《果敢な隼/Defiant Falcon》を追加。

さて、難しくなった。
ぴんぞうは《はじける子嚢/Saproling Burst》を3回起動することを宣言し、4/4を3体生み出す。アップキープに3/3となるが充分な戦力だ。

これまたアップキープの《真鍮の都/City of Brass》への《リシャーダの港/Rishadan Port》には《衝動/Impulse》でマナを有効活用し、なんとか《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を手に入れて《熱風の滑空者/Thermal Glider》への解答に辿り着く。
とはいえ《真鍮の都/City of Brass》のダメージはしっかり喰らうためライフは残り4に。
一方で《剣を鍬に/Swords to Plowshares》でドリュウのライフは22だ。

ちなみにパンデバーストはコンボの特性上一度に削ることのできるライフ量が限られていて、例えば《伏魔殿/Pandemonium》《はじける子嚢/Saproling Burst》が1枚ずつであった場合は6+5+4+3+2+1点で21点となる。ただし上記のパーツがどちらか2枚以上あるならその数値は倍加する、といった形だ。

つまり既存の《はじける子嚢/Saproling Burst》からのトークンで少々コンバットしておかないと現在のドリュウのライフ22を削るのは難しいだろう。ドリュウのデッキには自傷ダメージが発生するカードも存在しないからだ。

そんな事情もありぴんぞうは《大あわての捜索/Frantic Search》でドローを重ねた上で生んだ3/3トークン3体で攻撃し一旦ライフを13とした上で《補充/Replenish》で《はじける子嚢/Saproling Burst》を釣って再度構える。

…のはいいのだが、一向に《伏魔殿/Pandemonium》を引かない。ライフ残量やドリュウのブロッカーを勘定に入れてもぴんぞうが《果敢な隼/Defiant Falcon》と《真鍮の都/City of Brass》に殴り倒される方が早そうだ。

《果敢な隼/Defiant Falcon》で1点、またアップキープに1点でぴんぞうのライフは2。

一方で返しのぴんぞう全軍突撃をチャンプしてもまだ生きているドリュウ。

今日のスイスラウンド中に漏らしていた「最後に信じられるのはリシャポのみ」との言葉通り、《真鍮のみy…いや、《リシャーダの港/Rishadan Port》が第一ラウンドの幕を引いた。

ぴんぞう 0-1 ドリュウ


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ぴんぞうは《仕組まれた疫病/Engineered Plague》をサイドインしつつ《テフェリーの反応/Teferi's Response》を投入。《リシャーダの港/Rishadan Port》に恨みを込める。

ドリュウ側は墓地対策を入れていくが、パンデバーストは場だけでも決まってしまうことのある恐ろしいコンボであるため《沈黙のオーラ/Aura of Silence》《浄化の印章/Seal of Cleansing》も追加する。

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【ROUND:2】

ぴんぞう先攻。

土地5枚と《大あわての捜索/Frantic Search》《補充/Replenish》という初手をキープする。まあ悪くても《大あわての捜索/Frantic Search》で土地をサイクリングできるだろう…という見立てだ。

ドリュウは再度のマリガンに見舞われ、《廃止/Abolish》《果敢な隼/Defiant Falcon》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《平地/Plains》《平地/Plains》《黄塵地帯/Dust Bowl》でキープする。

土地の置き合いからドリュウは《果敢な隼/Defiant Falcon》→《ルーンの母/Mother of Runes》×2と繋げて軽快に動く。裏を返せば《ルーンの母/Mother of Runes》しか引いていないということでもあるが…。

対するぴんぞう、最初の《大あわての捜索/Frantic Search》まで動きはなく、土地を捨てながら《綿密な分析/Deep Analysis》表打ちでリソースを確保。

とここでドリュウ、ゲームの流れを変える《崇拝/Worship》をキャスト!
《意志の力/Force of Will》なし状態のぴんぞう、「しゃあなし」とこれをスルー。
クリーチャー総数充分のドリュウを瞬殺するには複数枚のコンボパーツが必要になった。

しかしながらここまで墓地対策が場に出ていない事から、ぴんぞうは墓地に積極的にパーツを埋める行動に出た。
《大あわての捜索/Frantic Search》から《伏魔殿/Pandemonium》を2枚墓地へ。これで《崇拝/Worship》を乗り越えられるかもしれない。
更に《綿密な分析/Deep Analysis》の裏から手札を増やし、8枚になった手札から《補充/Replenish》を捨ててターンを返す。既に手札で溢れているということなのだろうか。

さて、《崇拝/Worship》を置いたことで逆に《ルーンの母/Mother of Runes》で殴るべきか否か難しくなったドリュウ。
立たせると勝つのは遅れるが、《伏魔殿/Pandemonium》のダメージを避けやすくなるかもしれない。
悩んだ末に2体を攻撃に送り出すが、これが吉と出るか凶と出るか。

この行動を受けて《衝動/Impulse》を挟みつつ自ターンを迎えたぴんぞうも悩む。
考えた末に《大あわての捜索/Frantic Search》を撃ってみるが、特に何もせずターンを返す。

何もないことを確認したドリュウ、ターン終了時に《果敢な隼/Defiant Falcon》を起動。
ついに《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》の登場だ。

更に《リシャーダの港/Rishadan Port》を置き、《ルーンの母/Mother of Runes》2体と《果敢な隼/Defiant Falcon》で攻撃を。
ぴんぞうのライフも残り8でいよいよ命のカウントダウンが始まった。

…とここでぴんぞう、おもむろに《直観/Intuition》。

「あっ(察し)」という声が漏れつつも、現実は非情なので《はじける子嚢/Saproling Burst》3枚が通り過ぎていき。

ぴんぞうはターンに入るや否や《補充/Replenish》で全てを釣り上げる。

ダメージを丁寧に振り分けていき、《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》から導かれた《熱風の滑空者/Thermal Glider》すらも《仕組まれた疫病/Engineered Plague》で跳ね除ける。

《崇拝/Worship》が佇むフィールドもそこは無人の荒野。
ドリュウのライフはマイナスへ。

ぴんぞう 1-1 ドリュウ


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お互いサイドボードに悩む。

双方戦術共にメインボードから大きく変わるデッキではないものの、だからこその入れすぎは本来の攻撃力を損なってしまうからだ。

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【ROUND:3】

ドリュウの先攻。
悩みながらの初手キープは

《平地/Plains》
《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》
《ルーンの母/Mother of Runes》
《浄化の印章/Seal of Cleansing》
《熱風の滑空者/Thermal Glider》
《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》

…この《ルーンの母/Mother of Runes》に全ての命運が託されてないか?

というわけで意を決して送り出した《ルーンの母/Mother of Runes》。
生きて帰ってきてくれー!!!

返しのターン、そこには予定調和的に農場での労働に勤しむ《ルーンの母/Mother of Runes》の姿が。
マーフィーの法則というやつである。

そして更にマーフィーの法則は続いてしまい、ドリュウはしばらく土地を引けない。
展開は《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》だけに留まり、手札に白いカードが溜まっていく。

その間にもぴんぞうは《衝動/Impulse》《綿密な分析/Deep Analysis》と重ね手札を調整。

ついに《平地/Plains》に辿り着いたドリュウはとりあえず《浄化の印章/Seal of Cleansing》を。
返しでぴんぞうは《強迫/Duress》を撃ち込み、ドリュウの手札が明かされる。

《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》
《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》
《熱風の滑空者/Thermal Glider》
《果敢な先兵/Defiant Vanguard》
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》

さ、3マナ大クラッシュだー!!!

とりあえず《悟りの教示者/Enlightened Tutor》が抜かれるが、持っていてもまず撃たなそうな状況にお互い苦笑い。
ぴんぞうは《火薬樽/Powder Keg》を置いてエンド。

ドリュウは《浄化の印章/Seal of Cleansing》で《火薬樽/Powder Keg》を破壊しつつ、スタックの《火薬樽/Powder Keg》起動に対して《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》を起動し《綿密な分析/Deep Analysis》までも追放する。
その上で《レイモス教の兵長/Ramosian Sergeant》で反撃開始だ。

が、その《レイモス教の兵長/Ramosian Sergeant》も《剣を鍬に/Swords to Plowshares》で即死。
更に《絶対の法/Absolute Law》を貼るが、それが必要になるのは《崇拝/Worship》の後なので今じゃない感がすごい。

ターン終了時のぴんぞうの《直観/Intuition》から《はじける子嚢/Saproling Burst》《はじける子嚢/Saproling Burst》《伏魔殿/Pandemonium》が導かれ、《伏魔殿/Pandemonium》が手札に入る。更に《浄化の印章/Seal of Cleansing》を追加。
ドリュウは引き込んだ《果敢な隼/Defiant Falcon》をプレイしてみるが…。

ぴんぞう、更に《直観/Intuition》にて死刑宣告。《補充/Replenish》3枚。

どうあがいても助からない状況に陥ってしまい、ドリュウ無念の投了。

ぴんぞう 2-1 ドリュウ


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ぴんぞう、決勝進出!!!

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