2024/09/14 意志の力争奪ミドルスクール決勝 ワイパー(赤単ゴブリン)vsおかち(nWo)
常識に囚われないことも場合によっては必要である。
ワイパーの駆る赤単ゴブリンは、20年余の歴史を持つゴブリンというデッキを知る者からすれば、また見た目だけの意味で言えば違和感のある部分はない。ただ、これまで界隈で勝っていたタイプと比べると「異色」と言わざるを得ないだろう。
土地は限界まで切り詰めた20枚かつ、拘束要素なしの赤マナのみ。切り詰めたスロットは《モグの下働き/Mogg Flunkies》が埋め、まさに漢のオールイン赤単の姿である。イメージで言えばラッキースライ寄りの形。
本日はまさに絶好調であり、スイスラウンドを無敗で完走し1位抜け。道中は当然のように《仕組まれた疫病/Engineered Plague》を貼られつつ、《熱風の滑空者/Thermal Glider》の前に足踏みしつつ…等々の虐待を受けていたが、なんとか跳ね除けてここまで辿り着いた。
余談ながら、ワイパーは先月の渋谷店の争奪戦にて涙の決勝没。今日こそはこのままの勢いで走りきりたいところだ。
そんなワイパーの前に、おかちのnWoもまた「異色」のデッキとして立ち塞がる。
現在のミドルスクールの黒緑の代表的なデッキといえばTheRockだろうか。確かに今回のデッキもベースはTheRockのようにも見えるが、おかちはスペースを削り《自然の秩序/Natural Order》でいきなり切り返すスタイルを取った。こうする事により普段腐りがちなマナクリーチャーや壁を無駄なく使ってしまおうというわけだ。
持ってくるのはSecret Force要素こと《新緑の魔力/Verdant Force》はもちろん、《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》や《マローの魔術師ムルタニ/Multani, Maro-Sorcerer》も取っていて状況別で選ぶ形。なお、これらの方々が(序盤に)手札に来訪されて困っている光景もよく見られた。
今日はそんな不運もありつつの戦いになったが、スイスラウンドは後半巻き返し2位抜け。是非活躍に期待したい。
【ROUND:1】
スイスラウンド上位のワイパーが先攻。
焦点となるのはワイパー側の《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》。先手1ターン目に出てきた場合、おかち側が抗う選択肢は損を覚悟で《極楽鳥/Birds of Paradise》でブロックするか、あるいは全知全能の《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で出される予定のカードを予想するか。いずれにしても取りにくい選択肢であり、同時にワイパー側のマリガンも(良い方向で)シビアになるかもしれない。
そんなワイパーは初手を一瞥すると即キープ。
早くも処刑用BGMが流れていそうな雰囲気だ。
というわけでワイパーは《山/Mountain》から…《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》!
ああ、これが同時に4枚入っている《モグの狂信者/Mogg Fanatic》なら。天を仰ぐおかち。
逆におかちのセットランドは《樹上の村/Treetop Village》。
ターンが返ってきて《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》が小突いたところから誘発で《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》が現れる。
早くも終わってしまったか…というところだが、めくれた4枚は
《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》
《山/Mountain》
《山/Mountain》
《稲妻/Lightning Bolt》
…と控えめな内容。
しかしながら更に《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》を通常プレイし圧力をかけ続けていく。
おかちは《沼/Swamp》《根の壁/Wall of Roots》と展開しじっと耐える。
この時点でワイパーの手札には《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》などがありつつも3枚目の土地がなく、次のターン《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》の攻撃はさすがに通らない気がするので一旦お休みかに思われた。
だが今日のワイパーは一味違う。
祈るようにカードを引き込むとそこには《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》が!
すぐさま《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を導くと全軍突撃。
この速攻もあり7/2、2/2、2/2、1/1が併せて突っ込んでくるという悪夢のような場になった。これで3ターン目だというのだから恐ろしいものである。
堪らずおかちは《根の壁/Wall of Roots》で《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》をブロックしてみるが、あっけなく踏み潰されてしまう。
脇をすり抜けた《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》が《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》を呼びつけ、更に《ゴブリンの王/Goblin King》が次ターン内定。
マスト除去のクリーチャーの暴風に曝されながらもおかちは《根の壁/Wall of Roots》→1個使って《花の壁/Wall of Blossoms》と守り通す。しかしながらパワーが無いためワイパーはひたすら突撃を繰り返しても問題ない状態だ。
勢いに乗るワイパー、4枚目の土地を引くと《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》《ゴブリンの王/Goblin King》と全て展開しきって再びフルアタック。
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》、あとは《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》をそれぞれブロックしてみるが、返しの《破滅的な行為/Pernicious Deed》ですら間に合わないライフまですり減らされてしまっては。
ワイパー 1-0 おかち
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ワイパーは役に立たない《ゴブリン修繕屋/Goblin Tinkerer》をサイドアウトしつつ、《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》対策で《Anarchy》を投入。
おかちも当然の《仕組まれた疫病/Engineered Plague》で迎え撃つ。
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【ROUND:2】
おかち、中々に苦しそうだが7枚でキープ。
一方でワイパーは思い初手を1マリガンしつつ6枚でキープ。
その6枚の中にはしっかりと《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》が潜んでいた。
注目すべきポイントは先程のゲームと先手後手が入れ替わっている点である。
1ゲーム目でそうであったように、おかち側は後手で《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》に抗うのは困難だが、先手なら充分…むしろワイパー側の選択肢が狭くなるほどに出せるカードの種類がある。《花の壁/Wall of Blossoms》《根の壁/Wall of Roots》は当然として、《燻し/Smother》だってあるのだ。
ゆえに、後手ワイパーの《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》は走り出せない可能性が非常に高い。
《森/Forest》で返すおかちに対し、ワイパーは《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》。
おかちは《沼/Swamp》を置いてターンエンド。
…エンド?
2ターン目を迎えたワイパー、恐る恐る《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》で攻撃してみると
おかち「(失笑しながら)スルーです」
とおるんかーーーい。全員ずっこけるが、ともかく誘発で出てきた《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》から《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》《ゴブリンの王/Goblin King》と強力な手札が補充され、更に《モグの下働き/Mogg Flunkies》を通常プレイしてターンを返す。
続くおかちのターン。
2マナ域無しでキープしたおかちの秘策、みんな大好き《仕組まれた疫病/Engineered Plague》がプレイされ《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》が退場するが、何故かワイパーの場がまあまあマッスルなため微妙に耐えている。
加えて《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》でめくれたのが《ゴブリンの王/Goblin King》だったのもやや計算外だったか、この《仕組まれた疫病/Engineered Plague》はいつも通り効果覿面とはいかないようだ。
ワイパーの《ゴブリンの王/Goblin King》で一旦サイズが引き戻され、《モグの下働き/Mogg Flunkies》《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》で攻撃を重ねていく。
おかちは土地を起きつつ《スパイクの飼育係/Spike Feeder》でライフを守る姿勢を見せるが、返しのワイパーの攻撃を一旦スルー。
見た目《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》と相討ちを取ってしまっても良さそうに見えるが…。
そんなプレイの裏にあるものを訝しんだか、ワイパーの脳裏には《自然の秩序/Natural Order》がちらつく。
とはいえゴブリン側に物理的な暴力以外で抗う手段を求めるのも酷というもの。ワイパーは《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》で《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を探し、《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を2枚追加。
展開力は物凄いのだが全てが《ゴブリンの王/Goblin King》に託されている物凄い状態だ。死んだ瞬間にほとんど崩壊してしまう。
ここでおかちは起死回生の《破滅的な行為/Pernicious Deed》!
だが残りマナは2つで、なおかつ次のターンまで我慢して重く起動すると《仕組まれた疫病/Engineered Plague》ごと吹き飛ばしてしまう諸刃の剣だ。
ワイパーはここを機と見たか、《ゴブリンの王/Goblin King》以外の全員で突撃。
《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》が駆け抜けついに《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》が登場する。
しかもこのターンに6枚目の土地を引き込んでおり、《破滅的な行為/Pernicious Deed》をX=5で起動された場合に6点打ち込める状態になってしまった。
先程の戦闘を《スパイクの飼育係/Spike Feeder》でどうにかしたおかちのライフは僅か7。
つまりどうあがいても1しか残らないのだが、どうしようもないので自身のターンで《破滅的な行為/Pernicious Deed》で《仕組まれた疫病/Engineered Plague》ごと流し、トップデッキに賭ける事になった。
とはいえそのトップデッキ勝負もワイパーから始まるわけで。
注目のトップバッターは…《モグの下働き/Mogg Flunkies》!!
ワイパー「一番いらないやつ引いたかもしれんw」
これにはおかちも苦笑い。まあ場を和ませる役割は果たしただろう。他にも瞬間的に1点を稼ぎ出すカードはいくらでもある。
返すターン、おかちは待望の《獣群の呼び声/Call of the Herd》により攻守の手段を手に入れる事に成功。
…するのだが。
次ターンのワイパーのドローは《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》!
導かれた《モグの狂信者/Mogg Fanatic》により、おかちは膝を屈することになった。
なお、《自然の秩序/Natural Order》から持ってくる予定の方々も手札に鎮座していた。かなり愛されているようだ。
ワイパー 2-0 おかち
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優勝はワイパー(赤単ゴブリン)!おめでとう!
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