料理に込める思い
料理教室を長いことしているのですが、最近よく「自宅に醤油や味醂が無い」という話を耳にします。自宅で料理をしないというのではなく、麺つゆで代用しているようです。先日も、TVのロケで農家さんの作るお料理をいただきましたが、そこでも麺つゆで調味していました。どれもこれも甘辛味で旨味が強く、大根や里芋の本来の味わいを感じることはできませんでした。私は、調味料の味がしないような料理を作りたいと思っています。もちろん調味料は使用しますが、食材の持つ味以上の過分な味付けはしません。足らない味を足して、素材そのものの味を引き立てる調味です。同じ種類の野菜であっても、それぞれ味が違います。料理のレシピ本などに記載されている調味料配合のままの料理を作っても、本当においしい料理はできませんし、上達もしないと思っています。私は、目の前にある食材の状態を見て、触って、確かめて、今作ろうとしている料理に向くものなのかを考え、調味や料理方法を変えています。素材の持ち味を殺さぬよう、素材以上に味付けしないよう心掛けています。また、食べる人が誰なのか、どんな状況でいつどのような環境でなどの条件を考慮し、温かい状態でいただくのか、冷めてしまってからなのかで調味を変え、少しでもおいしく召し上がっていただけるよう料理を作っています。
(2016.8.5公開)
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