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Indesignから全頁モノクロの下版データを作る際、Acrobatの色置換を使うと墨が100→95%になってしまう

経緯
印刷データを下版後、現場から来た一部抜きを見てはじめて墨文字の薄さに気づきました。実物を見ると文字がMS明朝だった事もあり、明らかに全体が薄いし、前回見本もあったので比較してみると明らかにクレームになるレベル。500ページオーバーの書籍でしたがすぐに刷り直しました

作業手順
①Wordから書き出したPDFをインデザインに配置
②x1a準拠でPDFを書き出し
③Acrobatの「色を置換(DotGain15%)」でPDFを墨1cに変換する

制作現場からの検証結果が来た…
② のx1a準拠でPDFを書き出した際にカラー変換が行われ、
変換前はGray100であった値が、変換後はC0-M0-Y0-K100
という値に分解され、この分解された状態で③色を置換(DotGain15%)
で処理すると、K100 が K95に変わってしまうことが分かった。
また上記②③は前提として①のファイル(Wordだけでなくオフィス系全般と思われる)の場合に起こる。
カラー変換しないX4準拠で書き出されたPDF(②に該当しない)や、
Word等を使用せず純粋にインデザイン上で組版しているデータの場合(①に該当しない)であれば、上記の問題は起こらなかった。

図1

インデザインにPDFをあらかじめ1cに変換してから配置すれば回避できるが、印刷はモノクロでデータ納品はカラーでする場合が多いため、別々にデータを作るのは効率が悪い。

是正処置
プランA:
①Wordから書き出したPDFをインデザインに配置
②x4準拠でPDFを書き出し
③Acrobatの「色を置換」(DotGain15%)でPDFを墨1cに変換する

プランB:
PDF 書き出しプリセットGRAYSCALE1.7(設定は図2)
これを各オペレータインデザインにインポートする
ファイルメニュー/書き出しプリセット/プリセットを管理
>読み込みからPDF 書き出しプリセットGRAYSCALE1.7.joboptions
を読み込む

GRAYSCALE1.7.joboptions (for Indesign)
どんなドキュメントでもDot gain15%にプロファイルしX4に変換してくれます。
ドキュメント内の墨版がK100でもグレー100でも特色Black100でも関係なく
全部パーセンテージは維持したままグレーになります。

(新)作業手順
1)入稿データ>Indesignに配置作業や組版作業
2)GARAYSCALE1.7プロファイル変換しPDFx4完成
軽オフでもPODでも外注でもALLモノクロの仕事なら基本そのまま下版してOK。K100がK95になってしまう等の不具合は回避される
(ただチェックはpitstopのインスペクター等でチェックするしかない。プリフライトに組み込めないか今後検討)

図2

参考
ドットゲイン設定によるK100の濃度変化。部分的に写真の濃淡を上げ下げする等の目的に使うべきであり、文字に適用してはいけません。
ドットゲイン10% 100→97
ドットゲイン15% 100→95 コート紙
ドットゲイン20% 100→93
ドットゲイン25% 100→90 上質紙(コートよりインキが染み込むので濃くなる)
ドットゲイン30% 100→86
グレーガンマ1.8 100→92
グレーガンマ2.2 100→87

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