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CDツトム・ヤマシタ+サヌカイトその2

Listen to the Future Vol.1  /  懐かしき未来
SONY Musicから2001年リリース
 
 ソニーとフィリップスが開発した記録方式DSD(Direct Stream Digital ダイレクト・ストリーム・デジタル)を使い録音し、10万ヘルツまで収めた音楽データをソニーがSACD(スーパーオーディオCD)という新しい規格CDとして販売するにあたって、倍音成分が多く含まれ50万ヘルツまで出す音に含まれるサヌカイト楽器に注目して、ヤマシタさんに熱心に交渉して実現した。私も未開封は3枚しかもっていない貴重な作品です。

SACDとCD2種類発売された

 ここでDSDについて語るつもりはないのですが、PCM録音とサヌカイト楽器の音のネガティブな部分が減じられることは私が体感しています。2度DSD録音によるCD(PCMに変換して)を作ったことがあり、生っぽいと言われる音はサヌカイトに合っています。ただ当時はデータ量が非常に大きくなりハードもソフトも発展途上でした。PCM-D100というポータブルDSDレコーダーもソニーから発売されて私も購入しましたがあまり活躍しなかったのは私が未熟だったという事。

たくさんの楽器ROUが鳴った

 レコーディングはSONY乃木坂スタジオStudio1でおこなわれた。(とても良かったので私が制作した小松玲子さんのCD「LoveLetter」もこの部屋でおこなった)コンソールはNEVEでモニターはAmcron、ヴィンテージアナログ機材がたくさんあって楽しいスタジオ。サヌカイトの音は繊細で大きくないのであまり大きなスタジオだと空気の動く音が入り込み邪魔になるが、そこはエンジニアの腕次第という事になる。マイクはSCHOEPSだったように記憶しているが定かではない。あまりじろじろ見るのも失礼で。

 ベースになる音楽があって(前田仁が発注した30分のCD「美しき出逢い」非売品)佼成出版からのCDで録音を担当した粕谷さんが持ち込んだPROTOOLSに収められた音に、このスタジオで新しく録って重ねていく感じと、全くの新曲新録音。スタジオにあるDAコンバーターとNEVEを通って音の質は上がったのかもしれません。サヌカイト楽器SOUとROUも奇麗に録れていますが、硬質な高音域をもつKINがSACDらしいアクセントになっています。

 2分程度の映像は総本山善通寺での供音式(1988)ですが演奏しているのはこのCDに収められている「夢」。ヤマシタさんの演奏のタッチが良くわかる。

 ツトム・ヤマシタさんをGO(1976)で知って、サヌカイトで1986年から2006年までいろいろな場面を共にして来て、レコーディングやコンサートPAを勉強させてもらったし、なによりロックの世界の昔話が楽しかった。次からこれまで出さなかったコンサートのお話を書きたいと思う。


コントロールルームにて 今は亡き森さんと談笑している

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